2022年6月9日

カンヌ国際映画祭で二冠！是枝裕和監督のソン・ガンホさん主演ロードムービー、韓国映画『ベイビー・ブローカー』

一緒に作品を作ろうと思った俳優が韓国にいたから、と『万引き家族』の是枝裕和監督が、６年まえに釜山の映画祭で出会ったソン・ガンホさん、カン・ドンウォンさん、『空気人形』以来12年ぶりの再会となったペ・ドゥナさんらと実現し、運命に導かれ生まれた韓国映画『ベイビー・ブローカー』。カンヌ国際映画祭でもソン・ガンホさんが韓国の俳優では初となる主演男優賞、エキュメニカル審査員賞を受賞した話題作が、6月8日の韓国公開に続き、24日（金）に日本でもいよいよ公開されます！

舞台は大好きな推しの海街、釜山。冒頭の雨のシーンから『パラサイト半地下の家族』で、匂いまで伝わってきそうなセンスと手腕に見惚れたホン・ギョンピョ撮影監督の映像に引き込まれます。美術は「Sweet Home -俺と世界の絶望-」『神と共に』『新感染ファイナル・エクスプレス』のイ・モグォンさん、衣装は、『10人の泥棒たち』『パラサイト半地下の家族』のチェ・セヨンさん、「イカゲーム」『パラサイト半地下の家族』の、余韻を残すチョン・ジェイル音楽監督など、韓国最高のスタッフの才能と、是枝監督作品の魅力の相乗効果もこの映画の見どころです。

物語は、赤ちゃんポスト、ベイビー・ボックスのまえに置き去りにした赤ちゃんを連れ戻しに来た母親と共に、ただ赤ちゃんを高く売る、それだけのはずだったブローカーのふたりと、それを追う刑事たちの繰り広げるロードムービー。ブローカー役は『タクシー運転手～約束は海を越えて～』『パラサイト半地下の家族』のソン・ガンホさんと『義兄弟SECRET REUNION』『新感染半島ファイナル・ステージ』の、ハリウッド進出も楽しみなカン・ドンウォンさん。刑事役は「秘密の森」のペ・ドゥナさんです。そして赤ちゃんの母親役は、韓国無双の歌姫で、”国民の妹”の異名を持つ絶対的な人気を誇るアイドル、名作「マイ・ディア・ミスター私のおじさん」「ホテルデルーナ　～月明かりの恋人～」で女優としてもその才能を発揮しているイ・ジウン（IU）さん。是枝監督もコロナ禍にハマった「マイ・ディア・ミスター私のおじさん」でジウンさんの虜になったそうで、「梨泰院クラス」で惹かれたというイ・ジュヨンさんも登場します。（「マイ・ディア・ミスター私のおじさん」と同じ脚本家の、5月末に最終回を迎え話題となったドラマ「私の解放日誌」も名作なので監督にこちらもお勧めしたい！）映画は、美しい映像と、これでもか、というほどの名優揃いで、「夫婦の世界」「39歳」のイ・ムセンさん、『三姉妹』で助演女優賞を席巻した「椿の花咲く頃」「愛の不時着」「十八の瞬間」のキム・ソニョンさん、「恋のスケッチ応答せよ1988」『エクストリーム・ジョブ』のイ・ドンフィさん、『はちどり』のキム・セビョクさん、「ミセン～未生～」「夫婦の世界」のパク・へジュンさん、「梨泰院クラス」「地獄が呼んでいる」のリュ・ギョンスさん、「模範タクシー」「悪魔判事」のペク・ヒョンジンさん、「グリーン・マザーズ・クラブ」でも刑事の相棒役だったオ・ヒジュンさんなどこれ以上ないキャスティングに目を見張りました。

時に笑え、家族とは何かを考えさせられ、それぞれが心に抱える闇と向き合う姿を穏やかに温かく伝える作品。コロナ禍で監督やスタッフが韓国と日本を行き来するのもままならない状況下に、こんなに素晴らしい作品が完成したことにも感動しきりです。