時代は在宅勤務から「どこでも勤務」へ!|Forbes JAPAN

スポティファイが取り入れた「どこでも勤務」とは?今後定着する可能性があるという在宅勤務の次の形。
この記事は2021年2月24日にForbes JAPAN Webサイトに掲載された記事を一部編集したものです。Marisol ONLINEとForbes JAPANはメディアパートナーとして相互提携を行っています。
在宅勤務
Getty Images

スウェーデンの音楽配信大手スポティファイは今月、新型コロナウイルスの流行収束後の方針として、全従業員が勤務場所を自由に選択できるようにすると発表した。ここ1年間で起きたさまざまな変化に対して組織的に対応した企業が今後、競争力を大きく高めていくことが改めて示された形だ。

 

スポティファイが導入する「どこでも勤務(ワーク・フロム・エニウェア=WFA)」制度の基本理念はとてもシンプルで、理にかなっている。第1に、仕事というのは「活動」であって、「場所」ではない。よって、仕事の成果はオフィスで過ごした時間の長さで評価されるべきではない。第2に、従業員に勤務場所の自由と柔軟性を与えることで、ワークライフバランスが改善し、仕事の効率が高まる。

 

スポティファイはこれにより、コミュニケーションと協働のプロセスやツールを駆使してより効率的で優れた形の働き方を追求する「分散型」組織として自社を位置づけた。

 

同社ウェブサイトの人事ページによると、今後は全従業員が自分の「マイ・ワーク・モード」を選べるようになる。完全な在宅勤務をしてもいいし、オフィス出社を選んでもよいし、その両方を組み合わせてもよい。働く都市や国も選べるほか、近隣に自社のオフィスがなかった場合は、会社がコワーキングスペースの利用料を負担するという。

 

こうした「どこでも勤務」制度はスポティファイに先立ち、タタ・コンサルタンシー・サービシズやツイッター、フェイスブック、ショッピファイ、シーメンス、インドステイト銀行も開始。米国特許商標庁(USPTO)、ギットラボ(GitLab)、オートマティック(Automattic)では新型コロナウイルスの流行前から導入されており、在宅勤務やどこでも勤務は今後、恒久的な制度として定着する可能性がある。

 

この新たな働き方によって得をするのは誰か? 最近のある研究によると、欧州連合(EU)域内で在宅勤務やどこでも勤務が可能な仕事に就いている人は全体の約37%だ。この割合はブルガリア、スペイン、ポルトガル、イタリアでは少なく、ベルギー、オランダ、ルクセンブルクでは多い。特に、管理や補助業務、管理職や専門職、技術職の場合は、50%以上にリモートワークを導入できる可能性がある。一方で営業、サービス、単純作業、機械オペレーターなどはリモートワークを採用できる可能性が非常に低い。

 

どこでも勤務は、在宅勤務の次のステップだ。労働者が居住地を自分で決め、世界のどこでも自分に合った場所に行く自由を与えるという形のほかにも、コワーキングスペースなどの施設利用料を会社が負担するという可能性も広がる。リモート勤務に切り替えるからといって一日中ビデオ会議をする必要はなく、社員を信頼して従業員満足度を優先することで生産性を上げられることに、多くの企業が気付くようになった。

 

同時に一部の国々では、このトレンドを利用した取り組みが生まれている。ポルトガルのマデイラ島では今月、インターネットさえあれば場所を問わず働けるデジタルノマドたちを受け入れる村「デジタルノマド・マデイラ」がオープンした。カリブ海諸国の一部でも、デジタルノマド向けの特別ビザを発給している。こうした働き方は、多くの人にとっては選択肢の一つ、あるいは絶好の機会となるものだ。

 

1年以上にわたるコロナ禍で積み重ねられてきた経験が今、変化を推進している。どこでも勤務は多くの企業にとって、世界中のどこからでも優秀な人材を集められるチャンスとなる。一方で変化に適応できない企業にとっては、人材流出のきっかけとなるかもしれない。

 

編集=遠藤宗生
Enrique Dans

Enrique Dans

I am Professor of Information Systems at IE Business School in Madrid (Spain). I graduated with a B.Sc. from Universidade de Santiago de Compostela, then got my MBA at Instituto de Empresa (Madrid, Spain), my Ph.D. in Management Information Systems from the Anderson School at UCLA, and conducted postdoctoral studies at Harvard Business School. My research interests are related to the impact of disruption and technology at three levels of analysis: individuals, organizations, and the society as a whole. I’ve been teaching and consulting in the technology field since 1990. Besides that, I am a frequent contributor and columnist in business and economic newspapers and magazines, I participate in different technology startups, and I write on a daily basis since 2003 in my page in Spanish, enriquedans.com, one of the most popular technology blogs in Spanish, and in English on Medium.

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