36歳の女性起業家と市長が目指す「女性・若者の活躍推進」とは|Forbes JAPAN

「アタラシイものや体験」の応援・購入サービス「Makuake」を運営するマクアケと徳島県徳島市が3月25日、中小企業支援に関する連携協定を締結した。「Makuake」の活用を通した徳島市の中小企業等の販路拡大支援、そして女性・若者の活躍推進を目指す。
この記事は2021年3月30日にForbes JAPAN Webサイトに掲載された記事を一部編集したものです。Marisol ONLINEとForbes JAPANはメディアパートナーとして相互提携を行っています。
左:徳島県徳島市市長・内藤佐和子氏と右:マクアケ共同創業者/取締役・坊垣佳奈氏。
左:徳島県徳島市市長・内藤佐和子氏と右:マクアケ共同創業者/取締役・坊垣佳奈氏。

マクアケ共同創業者・取締役である坊垣佳奈氏は、現在36歳の女性経営者。そして、徳島市市長・内藤佐和子氏も奇しくも坊垣氏と同じ36歳(※記者会見当日の年齢であり、28日より37歳となった)で、昨年4月、日本最年少の女性市長として注目を集めた存在だ。

 

徳島市のあるオンラインセミナーで出会ったという二人は、共通のバックグラウンドの多さからお互いに感覚の近さや理念など共鳴する部分を感じたこともあり、今回連携協定を結ぶに至ったという。

 

記者会見・トークセッションの場で、坊垣氏と内藤氏に「日本の組織におけるジェンダー課題やその解決方法」について聞いた。

 

 

女性が活躍する企業と自治体が提携

 

マクアケはこれまで、「Makuake」の運営を通じて、各地で作られるこだわりの商品やフード、お酒、飲食店、イベント、コンテンツ、伝統工芸の新たな挑戦など、1万3000件以上のプロジェクトをサポートしてきた。全国100社以上の金融機関と連携して日本各地の事業者を支援しており、東京本社の他にも関西支社、九州拠点、名古屋拠点を設け、各地域に根ざしたサポートに力を入れている。

 

今回の取り組みは、女性の社員割合が約5割、管理職登用率が約4割に上るなど、女性の活躍推進にも注力しているマクアケが、全国史上最年少の女性市長となった徳島市の内藤市長が掲げる「女性・若者活躍推進」などの考えに共鳴したことがきっかけとなり、実現に至ったという。

 

徳島県は、女性社長の比率が全国で2番目に高い県だ。またふるくから、元気に活躍する働き者の女性、という意味の「阿波(あわ)女」という言葉がある。内藤氏は、そんな徳島から女性が活躍しやすい社会にむけて発信していきたいと話す。

 

連携概要は、以下の通りだ。

 

【Makuakeを活用した中小企業等の販路拡大支援】

・Makuakeでのプロジェクト実施にあたっての助言等(商品開発支援、徳島の特産物ブランディング支援等)

・Makuake活用セミナー等の実施

 

【女性・若者活躍推進(女性・若手経営者・起業家支援)】

・女性経営者を対象としたセミナー等の実施

・テーマ型セミナー(「女性目線で考えるものづくりセミナー」等)の実施

・Makuakeでのプロジェクト実施にあたっての助言等(商品開発支援等)

・Makuakeサイト内での特集ページの作成

 

【 Makuakeガバメントの活用促進】

・阿波おどりでプロジェクトを実施(時期調整中)

・地域課題解決のためのMakuakeガバメント組成にあたっての助言等

 

 

大事なのは「違いを認める」こと|マクアケ 坊垣佳奈氏

 

──ジェンダーだけでなく、国籍や人種、年齢など、あらゆるバックグランドを持ったリーダーが増えるためには、どのような視点や工夫が必要だと思いますか。

 

お互いに理解し合うことがすごく重要です。理解し合うとは、「完全に理解して同じものにならなければいけない」ということではなく、「違いを認める」ことです。

 

日本には、性別や年齢、国籍だけでなく、ちょっとした「派閥」のようなグループがあったりします、たとえば大学とか、住んでいる地域とか。そういった多少の意識の差によっても、ズレが生じていると感じることは多々あると思います。あらゆる面において過剰に意識するのではなく、できるだけフラットな見方を意識することは重要です。

 

ただそのときに、たとえば女性の場合は、男性と比べて体力がなかったり、生理による不調があったりということが実態としてあるわけです。それをなるべく男性側に理解してもらうことが重要ですが、そのときに女性側も「女性にはこうした実態があるということを、男性は理解しづらいんだ」ということを理解しなければならない。

 

「わかってくれて当然」ではなく、そうしたお互いの分け隔てない理解というのが重要だと思います。そうすると、「違うからこういう発想になるんだ」とか「ここはわかってもらえなくて当然だったな」というように許し合うことができる、そう考えます。

 

マクアケ 坊垣佳奈氏

──理想とする女性像はありますか。

 

女性ということに特にこだわりはないのですが、男女ともに先見性があってフラットな方、偏った見方をしない人が理想ですね。

 

経営者って独自の視点や感覚が重要なので、わりと尖った感覚をもつ人が経営者になりやすいのですが、同時に、みんなで頑張らないと、組織経営って続かないですよね。だから、経営者には、「人がちゃんとついてくる」器量もとても重要なんです。なので「この人のために頑張ろう」とみんなが思えるようなフラットな感覚を持っている人に、男女ともに憧れますね。

 

──坊垣さんのような方を目指して社会で広く活躍していきたいと考える若い方、特に女性に向けてメッセージをお願いします。

 

自分らしさを活かして幸せを感じることができれば、他人の成功や世の中の成功の価値観に引きずられる必要は本当にないと思っています。無理やり「この人を目指そう」と考えるのではなく、自分と対話をして、自分にとって何が幸せか、どういう状態を目指せば、自分を大事にしてあげられるかどうかを考えることが大切です。

 

自分を大事にできると余裕ができ、周りも大事にすることができます。私自身、自分を大切にすることをすごく意識していて、そうすることで周りの社員にも「自分を大切にしようね」と言ってあげることができる。

 

そうすると、今度はその社員がお客様のことを心から思って働くことができる。というように、すべてにつながっていくんです。なので、まずは自分が自分自身を大切にすることを意識してほしいなと思います。

  

 

「社会は自分たちの力で変えられる」|徳島市市長・内藤佐和子氏

 

──これまで、行政の課題解決を行う上で直面する壁、特に若い女性市長特有のハードルについて感じてこられたもどかしさを、どのように受け止めてこられましたか

 

36歳(現在は37歳)の女性で、子育てもしているということで、「子育て支援に注力してくれるだろう」という期待はすごく感じていました。

 

徳島市では待機児童の課題解決として、保育施設の建設に対する補助金を予算に盛り込んでいたのですが、その予算の見直しを提案しました。これは、「新しい保育園を建てても、その分保育士さんを確保できなければ意味がない、現職の保育士さんの負担を増やしてしまうだけだ」と考えた故の提案でした。この案は提案する前から、象徴的な攻撃材料となることはわかってはいたものの、思っていた以上にバッシングを受け、非常に辛い思いもしました。

 

ですが、このことがきっかけで、経営者の方々も「子育て支援について会社としてやっていかないと徳島に、そして自分の会社に人は残ってくれない」ということに気付き始めてくれたんです。

 

そのため、批判されたことは辛かったけれども、話題になったことはよかったと今は思っています。理解されずにもどかしい思いを何度もしても、折れずに繰り返し訴え続けていくことに意味があると思っています。

 

徳島市市長 内藤佐和子氏

──政府が掲げる「女性活躍推進法」のなかに「2020年までに各分野の指導的地位に女性の占める割合を30%以上にする」という目標がありましたが、今だ実現には程遠い状況です。こうした状況を改善するためには、社会のジェンダーにおける思い込みをなくしていくことが重要だと思うのですが。

 

最近は、ジェンダーにおける課題やダイバーシティについて、「女性も声を上げていいんだ」という流れになりつつあると思うので、これを機に多くの人に声を上げてもらいたいと思っています。

 

「2020年までに実現目標としていたものが全然できていないのっておかしいよね」など、意見を平等に言えることが当たり前の環境にしないといけないし、それを継続しないといけない。

 

これまでは、誰かが少し課題提言をしても、その課題に共感はしていても口をつぐんでいる人が多かった。しかし、今は何か問題が起こると広く共有されて、その問題に関する議論が長くされるということが増えてきました。こうした状況は続くだろうし、続いていくと現状は変わっていくだろうと思います。

 

──5年後、10年後の日本で、若者・女性がより働きやすい環境を実現することは可能だと思いますか。

 

はい。社会は自分たちの力で変えられると思っていますし、そうした考えを持つ人がどんどん増えていけば、若者・女性を含め、あらゆる人が働きやすい環境というのは実現不可能ではないと思います。そう思えるような教育・環境を、徳島市ではつくっていきたいなと思っています。

 

取材・文=長谷川寧々
Forbes JAPAN 編集部

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1917年にアメリカで創刊したビジネス誌「Forbes」の日本版として、
2014年6月より「フォーブス ジャパン」と題し新創刊しました。(世界38カ国にてライセンス版を刊行)。「世界から日本に、日本を世界へ」をテーマに、グローバルな視点を持つ読者たちに向け、フォーブス本国版、各国版の記事をキュレーションし、日本オリジナル記事と共に構成。ビジネス、経済、投資、アントレプレナー、ランキングの記事を掲載していきます。フォーブスが取り上げる人物の人生には必ずストーリーがあり、そのストーリーから「未来を切り開くメッセージ」を読者へ届けます。

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