チームミーティングでの意思決定をスピードアップする方法|Forbes JAPAN

会議を効率的に進めるために「制限のある総意(Bounded Consensus)」と呼ばれる意思決定手法をご紹介
この記事は2021年4月6日にForbes JAPAN Webサイトに掲載された記事を一部編集したものです。Marisol ONLINEとForbes JAPANはメディアパートナーとして相互提携を行っています。
Getty Images
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こんなミーティングに参加しながら、ひたすらじっと座っていた経験はないだろうか?チームで、あるひとつの決断を下そうとしているのだが、なかなか決まらず、まるで永遠に続くような時間が流れているようなミーティングのことだ。

 

あなたの頭に浮かぶのは、「投票で決めればすむ話なのに、どうしてそれができないんだ?」ということだけ。あるいは、もしかしたら、「みんなの気持ちなんておかまいなしに、私が決めてしまおうか!」と考えているかもしれない。骨の折れる意思決定には、膨大なエネルギーが奪われてしまいがちだ。とはいえ、手軽な投票に飛びついたら、グループの半分近くが疎外されてしまうリスクが生じる。

 

この問題を解決するために利用できるのが、「全員の関与」と「決定の迅速化」を融合させた、「制限のある総意(Bounded Consensus)」と呼ばれる意思決定手法だ。

 

決断を迅速に下せない理由は、人々から賛同を得る必要があるからだ。意思決定プロセスにたくさんの人々が関与すればするほど、その問題に取り組もうとする人が増え、別の視点からの学びが増える。その結果、最終的に決まる内容がどうであれ、それを支持する人が増える可能性が高くなる。

 

したがって、部屋にいる全員から賛成をとりつけようとする合意形成は、参加者のコミットメントを深めることができる。多くのチームリーダーも以前から、そうした合意形成が好ましいと明言している。

 

ただし、こうした合意形成の問題点は、合意を達成するのが難しく、時間がかかることにある。また、ミーティング(もしくは電話会議)に参加している全員に、積極的に関わってもらう必要もある。なかば眠っていたり、何も発言しなかったり、グループの議論よりもスマートフォンに夢中になっていたりする人の姿は、これまでにさんざん目にしてきただろう。そして、ミーティングが対面であってもバーチャルであっても、この問題は根強く残る。

 

コンサルティング企業のリーダーシップIQは、現時点で在宅勤務をしている3706人を対象に、「在宅勤務の状況(The State Of Working From Home)」調査を行った。その結果、バーチャル会議とオフィスでのミーティングに違いはあるものの、各参加者のミーティングへの貢献度に関してはほとんど違いがないことが明らかになった。

 

たとえば、調査対象者の56%は、ミーティングへの貢献度は在宅勤務でもオフィス勤務でも同じだと回答した。いっぽう、調査対象者の23%は、在宅勤務時のほうが貢献度が大幅に、もしくは、やや大きいと回答した。そして、オフィス勤務時のほうが貢献度が大幅に、もしくは、やや大きいと回答した人は21%だった。

 

つまり、ほとんどの人にとって、ミーティングへの関与の程度は、在宅勤務でもオフィス勤務でも大きくは変わらないということだ。バーチャル会議で関与を深めた人もいるが、そのぶん、あまり関与しない人も出てきている。

 

shutterstock/Who is Danny
shutterstock/Who is Danny

目標は、会議に出席する全員の関与を深め、意思決定に貢献させると同時に、そのプロセスをスピードアップさせることだ。そこで役に立つのが、先述した「制限のある総意」だ。
 
「制限のある総意」では、合意形成をめざして真摯に取り組むが、全員一致の達成が難しい場合には、リーダー(とミーティングの参加者たち)に「最後の手段」が提供される。基本的には、グループの全員が話し合い、議論し、納得するための一定の時間を設ける。その時間内に全員の意見が一致しなければ、リーダーが決断を下すか、投票にかけるわけだ。
 
以下では、次回のミーティングの冒頭で実際に使える脚本を紹介しよう。
  
「みなさん、この会議の目的は、ABC基準を変えるべきかどうかを話し合うことです。どの方針をとるにしても、優れたアイデアがあると思いますので、これからの60分間は、それぞれのアプローチのプラス面とマイナス面を掘り下げる時間とします」
 
「理想を言えば、全体的な合意が生まれ、全員が同じ結論にたどりつく全員一致の結論が得られればいいのですが、それが達成できない場合は、私がすべての選択肢をはかりにかけ、みなさんから出た意見をもとに決断を下します。その狙いは、全員に最高のアイデアを出してもらいつつ、会議が膠着状態に陥って3時間が過ぎてしまうようなことがないように、最後の手段を用意しておくことにあります」

 
 
どんな活動であっても、タイムリミットを設けることで、努力と熱意が高まり、プロセスがスピードアップする効果が得られる。議論を30分や60分、あるいは90分に制限することで、実質的には、グループ全員にこう伝えていることになる。「的はずれの会話をしたり、脱線したりして、時間を無駄にしないように。とにかく、最良と思われる意見を単刀直入に主張すること。そして、些末なことにはこだわらない。なにしろ、時間がないのだから」
 
もちろん、リーダーのなかには、グループの議論に制限を設けることに、少しばかり抵抗を覚える人もいるだろう。100万人を超えるリーダーが受けた「あなたのリーダーシップスタイルは?(What’s Your Leadership Style?)」というテストでは、最も多かったスタイルが「外交官」だった。
 
「外交官」は、人と人との調和を重んじる。社会の接着剤であり、グループをひとつにまとめる親和力でもある。親切で、社交的で、思いやりがあり、たいていは部下とのあいだに深い個人的な絆を築く。ただし、外交官タイプのリーダーは一般に部下から積極的な関与や支持を得られるが、その一方で、コラボレーションを重視したそのスタイルのせいで、迅速に下すべき決断に、長い時間がかかってしまう場合もある。
 
前述のテストを受けて、自分のリーダーシップスタイルが「外交官」と判定された人は、「制限のある総意」を採り入れるにあたって、時間をやや多めにかけて始めてみるといいだろう。30分の議論時間をチームに与えるかわりに、60分に設定してみよう。あるいは、合意形成の達成を試みた最近の議論の所要時間を調べて、その時間を30%だけ短くしてみてもいいだろう。

 

翻訳=梅田智世/ガリレオ
Mark Murphy

Mark Murphy

I am the founder of Leadership IQ, keynote speaker, leadership researcher, and developer of the online “Science of Leadership Academy.” I am the author of five books, including the New York Times bestseller "Hundred Percenters: Challenge Your People to Give It Their All and They’ll Give You Even More." My prior book, "Hiring for Attitude," was chosen as a top business book by CNBC. Some of my most well-known research studies include “Are SMART Goals Dumb?,” “Why CEO's Get Fired,” “Why New Hires Fail,” “High Performers Can Be Less Engaged,” and “Don’t Expect Layoff Survivors to Be Grateful.” I’ve lectured at The United Nations, Harvard Business School, Microsoft, Merck, MasterCard, Charles Schwab, Aflac and hundreds more.

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