SNSだけじゃない!多様化するラグジュアリーブランドのメディア活用|Forbes JAPAN

いま、ラグジュアリーブランドのメディア活用術が多様化している。
この記事は2021年5月16日にForbes JAPAN Webサイトに掲載された記事を一部編集したものです。Marisol ONLINEとForbes JAPANはメディアパートナーとして相互提携を行っています。
ファンとのコミュニケーションのあり方が多様化している
ファンとのコミュニケーションのあり方が多様化している

私たちが日頃から慣れ親しんでいるツイッターやインスタグラムといったソーシャルメディアの活用を深化させるブランドもあれば、そうしたプラットフォームからは一線を引き、独自路線を極めるブランドもある。

 

デジタルメディアの活用はいまや、より多くの人々にブランドの世界観を伝える重要なコミュニケーションツールとなっている。ファンとの接点のつくり方は、どのように変化しているのだろうか。 

 

タッチポイントはSNSだけか

 

今年1月にボッテガ・ヴェネタが突然インスタグラムやツイッター、フェイスブックのアカウントを閉鎖したことは記憶に新しいが、デジタル上でのプロモーションから完全に撤退したわけではないようだ。

 

ボッテガ・ヴェネタが公式SNSを閉鎖してから、3カ月あまりが経った今年4月。同ブランドは独自のデジタルジャーナルをネット上に公開した。その名も「ISSUE」。ページをクリックしていくと、ブランドの世界観を伝えるクリエイションがひとつひとつ表示される。従来のSNSのようなタグ付け機能や商品購入ページに飛ぶ機能などは一切なく、ページに没入してクリエイションを味わう。

 

ジャーナルの最初にはコンテンツを制作したクリエイターたちの名前が連ねられており、雑誌のページをそのままデジタル上に移したかのようなシンプルな作りだ。ただしクリエイションは静止画だけでなく、動画やGIF形式のものもある。

 

このデジタルジャーナルは、年4回のコレクション発売と同時期に発行される予定で、次の「ISSUE 02」は今年6月に発表されるという。

 

SNSのように、タイムラインに流れてきたブランドのページを覗くのではなく、このデジタルジャーナルには都度検索してこちらから訪れなくてはならない。また、それぞれのページには作品ひとつのみが表示され、余計な情報が一切ない。クリエイションを通じて深くファンとコミュニケーションをとることを可能にする、新たなプラットフォームではないか。

 

「ジャーナル」といえば今年3月、ロエベが2021年秋冬コレクションを新聞の形式で発表したことも話題となった。ロエベの「新聞」は梱包されてファッション関係者のもとに届いたほか、アメリカのニューヨークタイムズ紙やフランスのル・モンド紙、日本では朝日新聞など、各国の新聞の朝刊に折り込まれた。

 

1面には「THE LOEWE SHOW HAS BEEN CANCELLED」の文字が刷られ、文字通りロエベは3月5日にパリにて予定されていたショーを行わず、紙面の写真でコレクションを発表した。新聞には新作の写真以外にも、アメリカの人気作家ダニエル・スティールによる新作小説も掲載されている。

 

新型コロナ禍でショーを行えないなか、デジタル上だけでコミュニケーションを完結するのではなく物質的な存在感を与えることで、ファッションを一過性のものにしない、深いコミュニケーションがここでも生み出されている。

 

また、新聞という媒体を用いることで、普段はファッションやブランドとの接点をもたない層にも世界観を届けることができる。あえてSNSなどのデジタル媒体とは逆行するツールを選ぶことで、新たな接点を生み出すこともできるのかもしれない。

 

SNS上でバーチャル試着

 

SNSを「見せる」以外でも活用し、コミュニケーションをよりスムーズにする施策を行うブランドもある。

 

ディオールは昨年11月にスナップチャットと協業し、ARを用いたプロモーションを行なった。スナップチャットのフィルターで自分の足を写すことで、バーチャルで6種類の新作スニーカーの試着ができるというものだ。さらに試着後、フィルター画面から直接商品を購入することもできる。

 

実はこのスナップチャットの試着用AR機能は、昨年グッチが初めて実装したのだという。バーチャル試着機能はグッチの公式アプリにも搭載されているが、スナップチャット上でも行えるようにすることで、より多くのユーザーと接点をもちたい狙いだ。

 

好きな靴のフィルターを選んで足にかざすとバーチャル試着ができる
好きな靴のフィルターを選んで足にかざすとバーチャル試着ができる

ディオールの発表によると、AR機能などのスナップチャット上での販促のみで、ブランドの標準的な費用対効果の3.8倍の効果があったという。デジタルツールとの距離感が近いミレニアルやZ世代にとって、手に取らずとも画面を通して着用の様子がわかることは十分な「試着体験」なのかもしれない。
 
ブランドの商品や世界観を「見せる」以外でも、「体験する」までを提供することで、直接的でスピード感のあるコミュニケーションを生み出している。
 
SNSをはじめとしたソーシャルメディアが欠かせないタッチポイントとなった現代において、真に求める形のファンとのコミュニケーションとは何か。今後も各ブランドは模索を続けていくだろう。

 

文=河村優
Forbes JAPAN 編集部

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1917年にアメリカで創刊したビジネス誌「Forbes」の日本版として、
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