ワイン造りもサステナブルが要に。カリフォルニアワインの最新事情|Forbes JAPAN

サステナブルなワイン造りにおいて、世界のワイン産地のなかでも先行しているというカリフォルニア。先進的な取組みをおこなっている2つのワイナリーをご紹介。
この記事は2021年8月9日にForbes JAPAN Webサイトに掲載された記事を一部編集したものです。Marisol ONLINEとForbes JAPANはメディアパートナーとして相互提携を行っています。
ワイン造りにおけるサステナビリティとは、ブドウ畑からグラスまで、全ての過程をカバーする(写真:筆者撮影)
ワイン造りにおけるサステナビリティとは、ブドウ畑からグラスまで、全ての過程をカバーする(写真:筆者撮影)

筆者の住むカリフォルニアは、環境問題への意識が高い住民が多く、環境への配慮は日常生活に当たり前のこととして溶け込んでいる。近辺のシリコンバレーには、地球規模の課題を解決しようと、世界中から強者が集まり、環境についても、先進的な取組みに出合うことが珍しくない。
 
ワイン産業も例外ではない。カリフォルニアは、環境への配慮や気候変動に対する対策といった、サステナブルな(持続可能な)ワイン造りに関して、世界のワイン産地のなかでも先行している。こういった取組みは、ワイン産業が、今後も成長を続けるために重要かつ必須であり、その注目度は年々高まっている。
 
これは、生産者による、環境や人の健康に配慮したワイン造りを目指すという意識の高まりと同時に、特に若い世代を中心とした消費者たちが、ワインを購入する際に、味だけではなく、そのワインがどのようにできたかという背景への関心を寄せることが増えていることも一因であろう。
 
実際、アメリカの消費者意識に関する2020年の調査では、ワイン愛飲家の71%がサステナブルな方法で生産されたワインの購入を将来的に検討すると回答し、ミレニアル世代の10人中9人は、サステナブルなワインにもっとお金を払ってもいいと思っているという結果がでている。
 

 

カリフォルニアワイン協会の取組み

 
サステナブルなワイン造りとは、土地に配慮したブドウ栽培、水やエネルギーといった限られた資源の利用方法、化学農薬等の使用制限、従業員や隣人などコミュニティへの配慮など、多岐にわたる。

 

非営利団体のカリフォルニアワイン協会(California Wine Institute)は、20年以上前から、カリフォルニアでのブドウ栽培とワイン造りが、長期にわたって持続可能なものになることを目指し、認証基準や指針を出すなど、その促進に取り組んでいる。
 
その中核となる理念は、環境面で健全で(environmentally sound)、社会的に公正で(socially equitable)、また経済的に妥当(economically feasible)であること。
 
これらを実行するために、約500ページからなる規範(コード)を作り、第三者による認証(certified)制度を設けている。これは、消費者に、透明性と信頼を与えるものだが、実に、カリフォルニアのワイナリーの80%がこの認証を受けていて、広く普及している。中でも、先進的な取組みをおこなっている2つのワイナリーを紹介したい。

 

 

リッジ・ヴィンヤーズ(Ridge Vineyards)

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リッジ・ヴィンヤーズは、カリフォルニアを代表する、トップクラスの生産者だ。
  
ソノマの拠点には、樹齢100年を超えるブドウの木が植わっているが、自社畑には有機農法が採用され、ソノマで有機栽培を実践するワイナリーとして最大規模。有機農法を採る理由は、ブドウの質をあげるだけではなく、昔ながらの伝統的なワイン造りを大切にしたいという思いもある。
  
サステナブルな取組みは、畑だけではなく、ワインセラーや従業員の待遇、事業としての持続可能性にまで、広範囲に組み込まれている。

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ワイナリーの改築の際には、根本からサステナブルの構想を取り入れた。例えば、太陽光発電を最大限活用するため、建物の屋根は南向きに設置し、今ではワイナリーで使用する電力の75%を賄っている。建築資材には、リサイクル資材や自然な断熱効果が期待できる藁素材を使うなど、様々なところで工夫がなされている。
 
リッジでは、水質改善と環境管理の優秀性が認められ、米国下院とカリフォルニア州義会から表彰されている。次の目標は、カーボンニュートラルだという。
 

 

シルヴァーオーク(Silver Oak)

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シルヴァーオークは、カベルネ・ソーヴィニョンを主体とした赤ワインで有名なワイナリーだ。ナパから始まり、現在ではソノマのアレキサンダー・ヴァレーにも拠点を持つが、そのソノマの拠点は、“世界中で最もグリーンでサステナブルなワイナリー”を建てることを目標に設計された、先進的なものだ。
 
要件が厳しく取得が難しい「Living building certification」建築基準にも合格した建物で、太陽光パネルでは、必要な電力の120%を創出。干ばつが続くカリフォルニアで貴重な水資源も、1ガロンのワインを造るのに以前は7〜8ガロンの水を使用していたものを、1ガロンの水量にまで削減するなど、日々、改善に取り組んでいる。

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カリフォルニアのワイナリーには、頻繁に足を運び、生産者から様々な取り組みや話を聞く機会があるが、この2つのワイナリーの例でみられるように、いまや、ワイン生産者が、サステナブルなワイン造りを念頭に置くことは、必要不可欠であることを感じる。
 
環境問題は、様々な要因が複雑に絡み合い、消費者の目からわかりにくい面もある。いち消費者としても、表面的な謳い文句や個別の要因に惑わされずに、それが真にサステナブルなものかを判断する目を持ち、そうした取組みをしている生産者をサポートしたい。

 

文=島悠里 写真=ワイナリー提供
島 悠里

島 悠里

ワイン・シャンパンの分野で記事を執筆。米国ニューヨーク州弁護士。サンフランシスコ・ベイエリア在住。慶應義塾大学卒業後、外資系投資銀行勤務を経て、米国ロースクール留学。その後、国際弁護士事務所勤務を経て、国際機関勤務のためパリに駐在。日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート。ワインの国際的な資格であるWine&Spirit Education Trust(WSET)の最上位資格であるLevel 4 : Diploma取得。

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