『エゴン・シーレ 死と乙女』を観て
「絵筆を持ったリビドーか、お前は!」と
上映中ずっと怒っていた私です、こんにちは。
いくら絵が上手でも、画家たる前にまともな人間であれ!
と鼻息が荒くなっちゃいますが、
まあそんな私の鼻息とは関係なく
このたびエゴン・シーレ作品がドドンと来日しまして
今世紀最大のシーレ展が上野の東京都美術館にて、
4月9日まで開催中です。
たまたま仕事で内覧会に行ってきたので報告します。
(写真撮影の許可をもらっています)
ごめん、単に絵が上手なリビドー男じゃなかったんだね。
映画を見た限り、シーレってとにかく性衝動の塊で
中学生のころ既に自分の妹にヌードモデルをさせ、
不適切な関係にあったという説もあるらしい。
映画では冒頭にそれが描写されていて、
早々にドン引きしちゃうの。
で、21歳のとき、ヴァリというまだ17歳の少女を
自分のミューズにして同棲を始めるんだけど、
4年間ももてあそんだ挙げ句に
自分は安定を求めて中流階級の女性と結婚。
(しかも、結婚しても関係は続けようと
ヴァリに提案したらしい。サイテー)
(ついでに妻の姉とも
不適切な関係にあったらしい。サイテー)
傷心したヴァリは従軍看護師になり、
派遣されたクロアチアで23歳の若さで死亡。
可哀想……。
ヴァリと自分を描いた絵も多く残しているけど、
自分の心はもう無いのに、ヴァリが諦めてくれないんだ、
ああ、僕ちんって罪な男……ヨヨヨ
っていうナルシシズムに溢れたものばかりで、
死んで100年以上経つのに、
これが僕ちんが捨てた女でーす、って
全世界に見せびらかされているヴァリが
気の毒すぎるんよ……。
いざ本物を前にすると、
代名詞のエロティシズムとナルシシズムはともかく
作品自体が発散しているパワーがすごすぎて
ちょっとうろたえました。
過去600年以上も続いたハプスブルク帝国が崩壊して、
第一次世界大戦に突入するという混乱の極みで、
たぶん普通の人でも精神的に参るような
社会情勢だったんじゃないかな。
感受性が鋭い人なら、なおさら。
ほとんどのシーレの作品に死の影が濃厚で、
その反面、人物のドローイングは
体臭さえしそうなほど生々しいのは、
実際に生死を目の前にしたことで
シーレの感受性があげた悲鳴だったのかな。
鑑賞しながら疲弊してしまったんだけど
一人の若者の感性の大爆発、
みたいなものをあんなにビシビシ感じる空間は
古今東西そうそうない気がする。
対象を美しく描こうという意図は全然感じられなくて、
その点でたしかに他の画家とは異なる
特殊な才能の持ち主だったんだなあと思いました。
しばらく無いと思うので、
会期中にぜひ!と言いたいところですが、
こちら側に元気が無いと絵にやられてしまうから
なんかお腹いっぱい食べていったほうがいいと思う……。
いや、ほんとに……。
仕事の後始末をして美術館を出たのが夜8時。
同じくヘトヘトの同僚たちと、
何か食べてから帰ろうということになったので
こういうときに食で絶対失敗したくない私は
間違いのないガチ中華の店をすかさず提案しました!
JR御徒町駅からすぐの「故郷味」。
その後、一人でも友達とでも、何度も行っている店。
すべての料理のレベルが高いのと、
店がきれいなのと、店員さんの感じが良いので
今までで失望したことがないんです。
いつもは少人数だけど、今回は4人もいたので、
張り切っていろいろ頼んじゃいました。
我ながら良策の気がするので
ぜひセットでお試しください。