毎朝の腕のストレッチでひきつるような痛みを感じ、患部を触ったらふくらみもある。再発か?転移か?恐怖におびえながら病院へ。乳がん・ニューライフ (第30回はこちらから)
第31回は調剤薬局の活用。かかりつけの薬剤師制度があるなんて知らなかった話。
病院の近くの薬局なら帰りに寄れるし便利だろうと特に選ぶという意識よりは「そこにあるから」という理由で調剤薬局に行っていた。
病院の目の前なので、病院の検診が終わったら会計用のファイルを受付に出してからすぐに調剤薬局に向かう。処方箋を提出して薬も受付完了。再び病院に戻るとほどなく会計ができますよと私の受付番号が掲示板に出る。病院で会計を済ませて再び調剤薬局に戻ると少しの待ち時間で薬が出来ているというわけ。ああ合理的だ。
乳がんの手術をしたころには我が病院はすでに自動支払機での清算となっていた。支払いまでの待ち時間もそれほど長くなくとても快適である。
調剤薬局は病院の目の前にあるし、薬も処方箋があるからどの調剤薬局でも出てくる薬は同じだろうと思って特になんの感情もなく薬をもらっていたのだが、何度か通ううちに会計後に一枚のプリント用紙をもらった。
そこには「かかりつけ薬剤師」と書いてあり、担当が固定になるようなことが書いてあった。
なるほど、そうなると私の場合は定期的に来るわけだからこのくらいの金額(だいたい1回につき数十円から100円ほど)を払うのは悪くない気がしてきた。
かかりつけ薬剤師は薬全般のことを任せられるようで、服用中の薬の管理や薬の飲み合わせのアドバイス、残った薬の整理もお願いできるのだそう。
まあ、私の場合は担当者がつくことで得られる安心感と、疑問に思ったなぜなぜをぶつけたいこと、そしてついでに私が服用する薬への理解を深めてくれたらありがたいと謎の上から目線で用紙にサインをして紙を渡してくれた人に戻した。
すると見るからに私よりも若い女性がカウンターの向こう側から待合席までやって来て「私がケビ子様の担当になります○○です」とあいさつをした。
今日担当してくれた薬剤師とは異なり、またレジをしてくれた方とも違う方であった。
「お薬の事一緒に管理してまいりますので、なんでも遠慮なく相談してください」
当たり前のセリフかもしれないが弱った心身には染み渡るやさしいポエムに聞こえてくるものだ。もう涙が出そうなほど嬉しい気持ちになる。
私に必要なのはホルモン剤と労り。これはいかにも効きそうではないか。
弱った熟女のキラーフレーズとして「一緒に」「遠慮なく」があげられるだろう。かといって「え?良いの?」と真に受けて遠慮なくあれこれと言ったらいけないことはわかっている。
薬を処方してもらう度にあれこれと質問をするのだが、先日はこんなことを聞いた。
ケビ子「病院に来る日はもしかしたら検査になるかもしれないと思って朝ごはんを食べたくないのですが、タモキシフェン(服用中のホルモン剤)は朝食後に服用と書いてあって朝ごはんを食べないといけないような気がしてもやもやしています」
薬剤師「はい。そうですよね、そういう時もありますよね。では朝食を食べた場合と食べなかった場合の効果の出方を見てみますね・・・。そうですね、とくに朝食を食べなかったとしても効果に大きく影響はなさそうですね。病院などやむを得ない場合は朝食抜きで服用しても問題ないです」
ケビ子「あー良かった。空腹で薬を飲んだらおかしくなっちゃうかもと心配でした。いつもは焼きいもを食べてから薬を飲むんです」
と蛇足情報まで追加して回答する舞い上がるケビ子である。
かかりつけ薬剤師じゃなくても同じようなやり取りは可能だろう。
しかし私のかかりつけ、となったからには多少なりとも薬と私への関心は高まるはずだ。
そして何より私自身がまたあの薬剤師と会えるのだ、と次回の薬局探訪が楽しみになっている。
つづく
※次回【Vol.32】は2023/3/24公開予定です。
治療等の条件はすべての方に当てはまるわけではありません
43歳で結婚、47歳で乳がん。
心配性の夫、奴さん(やっこさん)はなぜか嬉しそうに妻の世話を焼いている。Instagram(@kbandkbandkb)ピンクリボンアドバイザー(初級)資格保有