\ 私が教えます! /
中村綾子先生
アラフォーに多い泌尿器科の病気は、膀胱炎、腎盂炎、尿管結石の3つ!
アラフォー女性に多い腹痛の原因となる泌尿器科の病気にはどんなものがある?
「多いのは、下腹部に痛みが起きやすい膀胱炎や、左右どちらかのお腹の上部に痛みが出る腎盂炎です。膀胱炎や腎盂炎は、冷えや疲れなどによって免疫力が下がるとなりやすいので、忙しいアラフォー女性は要注意です。また、お腹の左右どちらかの上部の痛みから始まる、尿管結石の可能性もあります。尿管結石は女性では50歳以降に多いと言われる病気ですが、身体が変わり始めるアラフォーでもなり得ます。激痛があったり、その痛みがあちこち移動したりするようになった場合は尿管結石を疑って、泌尿器科を受診するのが得策です」(中村先生)
以下から、アラフォーに多い腹痛の原因となる泌尿器科の3つの病気についてさらに詳しく解説。
40代に多い泌尿器科系の「腹痛原因」はこの3つ!
◆ 膀胱炎
どんな病気?
「大腸菌などの細菌が膣から侵入して、それが尿道から膀胱に行き、炎症を起こすのが膀胱炎です。女性は男性と違って肛門や膣が尿道口と近いうえ尿道が短いので、細菌が侵入して膀胱まで届きやすいのです。尿意を我慢したり、冷えや疲れなどによって免疫力が低下したりすると細菌が増殖し、膀胱炎になりやすいので気をつけましょう。また性交渉後に膀胱炎になりやすい人もいます」(中村先生) |
腹痛以外の症状は?
「下腹部がシクシク痛むことがある以外には、排尿時の痛み、頻尿、残尿感、尿に血液が混ざるなどの症状があることもあります」(中村先生)
治療法は?
「症状が軽ければ、お腹を温めたり、水をたくさん飲むことで治る場合もあります。改善しない場合は泌尿器科や内科を受診しましょう。抗生物質を服用して治療をします。症状が治ってきたからと自己判断で服用をやめると再発することがあるので、医師に言われた期間はきちんと服用することが大切です」(中村先生)
自分で膀胱炎を予防・改善することはできる?
「水分をたくさん摂って、尿と共に細菌が排出されるよう促しましょう。普段から尿意を我慢しないことや、お腹にカイロを貼るなどして下半身の冷えを防ぐこともポイント。また、体の抵抗力が落ちると膀胱炎になりやすくなるので、十分な睡眠を摂って規則正しい生活を心がけ、ストレスをためないようにすることも大切です」(中村先生)
◆腎盂炎
どんな病気?
「左右どちらかのお腹の上部が痛む場合、腎盂炎の可能性があります。腎盂炎の原因は細菌感染で、尿道口から侵入した細菌が腎盂(腎臓内の尿がたまるところ)まで到達することで起こります。膀胱炎と同じく、冷えや疲労などで免疫力が低下するとなりやすいです」(中村先生) |
腹痛以外の症状は?
「左右どちらかのお腹の上部が痛む以外に、背中や腰にも痛みが出たり、38度以上の高熱が出ます。頻尿や残尿感、排尿時の痛みなど、膀胱炎と同じような症状が出ることも多いです」(中村先生)
治療法は?
「治療法は膀胱炎と同じように抗生物質の服用です。症状がひどい場合は、入院をして抗生物質の点滴を行います。多くの場合は1〜2週間の治療で回復します。膀胱炎と同じく、症状が治ったからと自己判断で薬の服用をやめると、細菌が再び増えて再発してしまうので、医師から言われた期間はきちんと服用を続けましょう」(中村先生)
予防や改善のために自分でできることはあるでしょうか
「免疫力が低下するとなりやすいので、体を冷やしたり、疲れをためたりせず、しっかり休養をとるよう心がけましょう」(中村先生)
◆ 尿管結石
どんな病気?
「左右どちらかの腎臓にできた結石が尿管に移動して起こるのが尿管結石です。お腹の右上、または左上に痛みが起きます。原因は、尿中でシュウ酸カルシウム、リン酸カルシウム、尿酸などが飽和状態になると結石の前段階である結晶が生じることで、それが徐々に大きくなると結石になります。普段から水をあまり飲まない人や、よく汗をかく人、肥満の人、ビールをよく飲む人、家族に尿管結石の人がある人などは、なりやすい傾向があります」(中村先生) |
腹痛以外の症状は?
「右か左のお腹の上部に突然激痛が起こることがあり、救急車で運ばれるようなケースも。また、血尿が出ることもあります。逆に症状が強くなく、右か左の上腹部になんとなく痛みがある程度のこともあり、痛みがお腹のほかの部位や背中など、あちこちに移ることもあります」(中村先生)
治療法は?
「尿管結石は、まずは自然排斥を待ちます。排出されない場合は、結石の排出を促す排石促進剤を用いたり、痛みがある場合は鎮痛剤などを処方します。数週間以上、自然排斥されない場合や、1cm以上の大きな結石の場合は、体外から衝撃波を当てて結石を破砕するESWLという方法をとったり、内視鏡を尿道から挿入し、レーザーで結石を砕いて取り出す手術をすることもあります」(中村先生)
自分でできるセルフケアとは?
「たくさん水を飲むようにして、よく歩くようにするなど体を動かすと結石が排出されやすいのでおすすめです」(中村先生)
-
「突然、お腹がシクシクする」セルフチェックでお腹の痛みの原因を知ろう【40代の腹痛 #01】
アラフォーあたりになると、原因に心当たりがないのに、お腹が突然シクシクと痛んだり、ムカムカしたり、さらにはお腹と同時に、背中や腰にも痛みが出たりなど、お腹まわりにトラブルが起きやすくなったと感じている人は少なくない。そして、身体の中心部であるお腹に痛みがあり、しかもそれが何の原因からくるものなのかがわからないと不安がいっそう増すもの。そこで、アラフォーに多い腹痛について、その原因や病気の可能性、治療法、セルフケアなどまでを4回にわたってお届け。 第1回めは、お腹のどのあたりが痛むかで、どんな病気が考えられるかについて、2名の医師に伺ったのでご紹介。突然の「シクシク」を感じたら、まずは自分でチェックしてみて。
-
40代に多い婦人科系の「腹痛」原因となりやすい病気4つ【40代の腹痛 #02】
アラフォーになると、なんだかお腹がシクシクするような痛みが起きがちだけれど、これって何が原因!? まさか大きな病気?などと不安になるもの。そんなアラフォーに多い腹痛について、原因となる病気や、治療法、セルフケアなどまでをご紹介する全4回の連載。第2回目の今回は婦人科系の病気をピックアップ。女性医療クリニックLUNAネクストステージ院長の中村綾子先生に教えていただきました。