最高のキャストが放つ、新しい魅力に痺れる!
『最悪の悪』は、映画『傷だらけのふたり』で知られるハン・ドンウク監督による、全12話のノワール・クライムアクション・ドラマ。この秋世界の視線が集まっている作品です。今もっとも勢いのあるふたりの俳優、チ・チャンウクさん、ウィ・ハジュンさんの競演はもちろん、『帝王の娘 スベクヒャン』『ショッピング王ルイ』『私の恋したテリウス~A Love Mission~』『女神降臨』のイム・セミさんというキャスティング! これは見逃せません!
●2月ににインタビューをさせていただいたときに、ちょうど撮影中だとおっしゃっていて楽しみにしていた『最悪の悪』。ハン・ドンウク監督がチャンウクさんを「アンダーカバージャンルの作品の中で最高の演技をした俳優」と絶賛されていますが、ご自身もパク・ジュンモを演じて、手応えがありましたか?
チ・チャンウク こうして演技のことを褒められるのは、もちろんとても気分のいいことですが、同時にちょっと気恥ずかしくもあります。自分自身の手応えというか、満足感についてはよくわからないです。現場で自分の演技に自分で満足するということはあまりないのですが、ただ、演じた後にOKという声を発してくれる演出の方、監督のことを信頼しているという点があります。というのも演技をしながら自分自身が感じることと、画面を通して観るものには違いがあると思うんです。なので自分自身の感覚で満足することよりも、演出の方の判断を信じるようにしています。ハン・ドンウク監督は本当に僕に大きな信頼を寄せてくれました。ですので、現場ではハン監督のことを信じていたことが、僕にとってはとても有利なことだったと思います。
●チャンウクさんはミュージカルを終えたばかりで、また、映画やドラマの撮影が続き、11月の日本でのCDデビューも控えていて多忙を極めていますが、『最悪の悪』という大作の撮影を終えてその余韻に浸ることはありましたか?
ウィ・ハジュン ああ、時間はなかったと思いますよ(笑)
チ・チャンウク 非常に残念ながら、その余韻に浸る時間はまったく、まったくありませんでした(笑)。この『最悪の悪』という作品が終わってからほかの作品、『ウェルカム・トゥ・サムダルリ』『于氏王后』を撮って、映画『リボルバー』の撮影もあり、ミュージカル『あの日々』の10周年記念公演、昨日から『最悪の悪』の日本でのPR活動もあり、もう、すぐ明日にでも事務所をやめようかなと思うくらいの忙しさではありました(笑)。そんな忙しさの中でもとても面白く楽しく幸せだったなと感じることができています。作品のそれぞれのキャラクターが自分にとって目新しくて、皆さんがこのキャラクターたちをどういうふうに見て感じるのだろうと思わせてくれるキャラクターばかりなんです。『于氏王后』でも自分でも自分だとわからない姿、『リボルバー』にしても今まで見たことのない自分の姿を見ていただける作品になるので、そう考えるととても幸せで、大変ではあるけれど幸せも感じています。今こうして『最悪の悪』のPRをしながら改めて作品のことを考えることができ、ああ、本当にこの現場はよかったな幸せだったなと感じています。大変だったし、苛酷な中で撮影に臨んでいましたが、すごくいい現場だったなと今思い返すことができています。
●ハジュンさんは魅力的な役の作品が続き、マリソル読者にもファンが多いのですが、チョン・ギチョルを演じた『最悪の悪』はこれまで出演した作品とどんなところが特別でしたか?
ウィ・ハジュン 今まで演じてきたキャラクターの中でもいちばん愛着の持てる、そんなキャラクターだったなと思います。ある意味似た感じのキャラクターが過去にもあったりしましたけれど、この作品のギチョルというキャラクターは、本当に感情的にもとても繊細な演技が求められました。そして時がたつほどにとても壮絶な気持ちを抱えるキャラクターだったので、だからこそ自分もしっかり感情移入ができたのかなと思います。ある意味、このギチョルという人物には僕と似ている部分があって、自分の内面に抱える傷だとか痛みという部分に関しては僕自身も共感することができました。だから、この作品が終わってこのギチョルというキャラクターを送り出さなくてはいけない、離れなくてはいけないという時には心の痛みがあり、ちょっと虚しいなという感覚がありました。それくらい今までの作品とは違った愛着の持てるキャラクターでした。
●マリソルの読者はまさにセミさんと同世代の女性です。俳優としての仕事、そして環境・動物保護の活動などをなさっていますが、その原動力となっているのはどんなことですか?
イム・セミ そういったことの力の源となっているのは、愛だと思います。あとは自分がやりたいという気持ち、自分がしたいことをしているだけです。やっぱり自分の目のまえにあるものをすべて守っていきたいという、自分の中の責任感がそうさせているのかなと思います。甥っ子姪っ子を守りたいとか、自分と一緒に暮らしているペットを可愛がりたいし愛したい、こんなふうに生きている私たちのまわりに生きている自然や動物も、結局は私たち人間と同じ存在なんじゃないかなと思います。私たちはまわりにあるものに影響をもらっていますよね、例えば今日は『最悪の悪』のプロモーションで日本にこうしてやってきました。おそらくたくさんの方々が作品を観てくださって、その作品から皆さんが何らかの影響を受けるように、私たちが自然を守る努力をしたり、動物を助ける、保護したりするということは、きっといずれまた私たちに戻ってくることで、それが共存というものなんだと思っています。だから自然が失われたり、動物が苦痛を受けたり、危機に瀕したりしているという現状があるのならそれを知らずにいてはいけないと思うんです。遠く離れた海外の俳優ホアキン・フェニックスさんに、本当に離れていて遠い存在ではありますが影響を受けています。演技をしながらもこういう活動をちゃんとやっていけるんだなと感じました。
チャンウクさんが『チェンソーマン』のファンということでグッズを差し入れると、「昨日日本に到着してからずっとチャンウクさんは、『チェンソーマン』の話しをしていたんですよ(笑)」とセミさん。チャンウクさんが11月15日に日本でCDデビューするという話には、ハジュンさんもセミさんも目を丸くして「おお!」と、チャンウクさんの多忙ぶりに驚いていて微笑ましかったです。セミさんにはヴィーガンのクッキーを用意したのですが、ハジュンさんが「ヴィーガンのクッキーなの?」と感心するなど、仲のよい兄と姉と弟のようにも見えました。『最悪の悪』は、ディズニープラス スターで独占配信中ですが、このほかにも最近大ヒットした大作『ムービング』や『悪鬼』『アスダル年代記 シーズン2:アラムンの剣』、また『わずか1000ウォンの弁護士』『ゴールデンスプーン』などなどオススメの作品がたくさんそろっているのでぜひチェックしてみてください。
『最悪の悪』
舞台は1990年代の韓国。江南、中国、日本の麻薬密売トライアングルに挑み、昇進を狙い潜入捜査官となる田舎の刑事パク・ジュンモ(チ・チャンウク)、ジュンモの妻で彼を助ける麻薬保安官ユ・ウィジョン(イム・セミ)、元DJで犯罪組織のリーダー、チョン・ギチョル(ウィ・ハジュン)。最後に笑うのは誰なのか、最悪の悪は誰なのか?