私が初めて香港を旅したのは、1991年。香港通の友人が予約してくれたリージェントに夜便で到着し、満面の笑みのスタッフが迎えてくれたのをいまでも覚えています。香港島の夜景の美しい部屋に案内され、香港というコスモポリタンにすっかり魅了された瞬間でした。
それから、風水が良いとされ、活気と美味しいもので満ちあふれた香港には、幾度となく訪れていますが、4年ぶりとなる今回の香港旅の目的は、香港を代表するホテル、生まれ変わったリージェントに滞在すること!ヤシの木が並び風水噴水のある懐かしい車寄せに到着し扉が開くと、ヴィクトリアハーバービューのパノラマ、そして現代アートのようなフロント、創業当時フレッド・アステア&ジンジャー・ロジャースをイメージしたという、イタリアから運んだ白いカララ大理石の階段が広がります。新旧のデザインが不思議と調和していて圧倒されました。
フルリノベーションを終えた客室からのヴィクトリアハーバーの眺めは相変わらず最高で、アクアマリンの水面を行き来するスターフェリーなどのカラフルな船、対岸のコンベンションセンターの横のヘリポートに離着陸するヘリ、群れをなして飛んでいる鳥など、マジックアワーも夜景にもときめき、見飽きません。滞在したクラシックハーバービューの部屋のインテリアは、きらびやかなゴージャス感ではなく、落ち着いたラグジュアリー。窓が額縁のような演出で、景色もアート作品のようです。家具デザイナーで知られる盧志榮(Lo Chi Wing)氏が初めてホテルインテリアを手がけたという、オーセンティックで親しみの持てる温かさのあるデザインは、非の打ち所がない心地よさ。すっぽりと包まれるような形のバスタブや、バスエリアのグラナイトの床面までこだわりが伝わってきます。客室のドアも「私だけの城」の扉を連想させるデザインで、開けるたびにワクワクしてしまいます。
アメニティはアンチエイジングで知られるドクターペリコーン、フランキンセンスの香りのバスソルトも。冷蔵庫にはクラフトビールなどのアルコール類、マンゴージュースやココナッツウォーターなどが用意され、スナックもローズマリーとカマルグの塩のカシューナッツや、チョコレートマシュマロベアなどなど気の利いたラインナップですべてインクルーシブ。しばし居心地の良さに酔いしれてから、2階にある「リージェント クラブ」へ。ここには朝食、アフタヌーンティー、イブニングカクテルが用意され、1泊につき1時間過ごすことができます。また、香港を知り尽くしたリージェントエクスペリエンスエージェントが待機しているので、旅の相談にも完璧に応えてくれます。
ホテルにいるだけで多幸感満載ですが、せっかくなので、「いま、TSTが熱いんですよ!」と言われているホテルのある九龍の尖沙咀(チムサーチョイ)エリアを散策するのもお勧めです。まずはリージェント直結のモール・K11MUSEA、徒歩圏内の市場、2021年のオープン以来、新ランドマークとして話題のアジア最大級のヴィジュアルカルチャー美術館M+、そして地下鉄に乗って油麻地(ヤウマアテイ)のノスタルジックな路地を歩いてみたり。もちろんホテルのすぐ近くからスターフェリーが出ているので、対岸のセントラルまでクルーズもできます。南国の鳥の声が心地いい、温水プールやジャクジーでのんびりするのも良し。インテリアも素敵なバーも人気スポットになりそう。このほか、美食家の目指すミシュランの2つ星、憧れの王道の広東料理の麗晶軒(ライチンヒン)、サラダバーが圧巻のステーキハウスやNOBUも加わりダイニングのチョイスも最強です。朝食のビュッフェも夢のような美味しさで心躍ります!
結婚式、家族の集い、アフタヌーンティー、ベイビーシャワーなど、香港の人々にとってもずっと大切な、愛すべき場所であり続けてきたリージェント。11月8日のグランドオープニングには、地元の著名人など多くの招待客がホテルの新しい時代の幕開けのお祝いに駆けつけました。風水噴水のあるエントランスにたくさんの車が泊まり、レッドカーペットが敷かれまるで映画のワンシーンのようでした。新しいチャームを発揮する、唯一無二のラグジュアリーホテル、リージェント。その進化した美しさと、ホスピタリティに、30年まえに訪れたときと同じく、忘れられない滞在になりました。また、5年以内に京都などに11軒のリージェントが誕生予定だそうでそちらも楽しみです!