別府がなぜ特別かというと、活火山、鶴見岳から海に広がる扇状地で、この扇状地の南北に4つずつ別府八湯が分布しているということ。異なる断層から様々な泉質の湯が湧いているので、ユニークな湯めぐりができるのだそうです。酸性のお湯でクレンジングをしてから、しっとり美容液のような美肌湯へ向かうこともできます。鉄輪、亀川、柴石、明礬、別府、観海寺、堀田、浜脇の別府八湯と呼ばれる温泉郷には、放射能泉と二酸化炭素線を除く9種類の泉質が揃うお湯のデパート!2,500を誇る源泉数は世界一、湧出量は世界二位なのだとか!
今回滞在したのは、素敵すぎる湯治体験ができる鉄輪温泉の「湯治 柳屋」。人気シフォンケーキ店「サリーガーデン」の手がける宿では、地獄蒸しも体験でき、温まる塩化物泉も堪能できます。驚いたのは、飲泉のおいしさ!まるで優しい出汁のようなのです。カフェエリアには自由に花を飾れるように花器と花が用意されていたり、ピカピカに磨かれたレトロな和のインテリアに、穏やかな気持ちになるアートがさりげなく飾られていたり。ショップも隣接し、噂の「はなやもも」の低温スチーム製法の温泉コンフィチュールも買えました。宿泊客は浴衣で近くの共同湯も楽しめたり、さまざまな効能が期待されるハーブ、石菖を使った蒸し湯までもすぐそこです。温泉成分を含む地獄で蒸されたおいしい朝食も蒸籠で。パンもふかふかで幸せ!青や赤の湯が湧く、地球の鼓動を感じる地獄めぐりも散歩にうってつけです。
鉄輪温泉からさらに山を登ると明礬地区と湯山地区があり、そこにはこの地ならではの湯の花小屋が点在します。鉄小石や粘土を敷いた湯の花小屋で、噴出する蒸気を集めて絹糸状の柔らかな結晶にするのです。これは、ここ明礬地区と湯山地区の世界で唯一の湯の花の製法。江戸時代から続くこの国の重要無形民俗文化財に指定されている、奇跡のような製法です。
そして、別府の町にある有名な雑貨店SPICAで出会ったのが、HAA。別府出身の池田佳乃子さんが、「はあ~」と自然に深呼吸をして、心と体を整える湯治文化を自宅でも再現できるよう、養生のため、この別府湯の花を独自の製法でゆっくり時間をかけて完成させた入浴剤です。硫黄成分は含まないので風呂釜にも優しく、入浴後の肌のしっとり感と温もりの持続性に目から鱗。パッケージも素敵でギフトにも良いし、日常使い用の大容量パックも自分へのご褒美に欠かせなくなりそうです。また、明礬温泉には青く白濁したパワフルな温泉を140年余り守ってきた岡本屋の、名物の地獄蒸しプリンもあります。まろやかでミルクの味が際立つプリンは最高です!ミルキーブルーの露天風呂には冬は大きなザボンがいくつも浮かんで風情があります。女将自慢の神秘の湯の恵みを閉じ込めた極み石鹸も評判なので試してみて。やっぱり別府は、温泉好きの聖地。世界を虜にする魅力にあふれています。