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働くMarisol世代にエール! 亜希さんが振り返る「40代の悩みや迷い、変わらない好きなもの」

姉Marisol世代の先輩・「AK+1」ディレクター 亜希さんインタビュースペシャル

この春、ジャケットとスカートのMarisolコラボカラーが誕生した大人の女性に向けたブランド「AK+1」のディレクターを務める亜希さん。Marisolに寄せられる働く40代の皆さんの、仕事・プライベート・人間関係etc.さまざまなお悩みに、亜希さんならどんなふうに応えてくれるのかな… そんな思いで彼女のもとを訪れた。

「“悩み”ではなく、“考える”という言葉を使っています」

50代半ばになった今の亜希さんが振り返る。40代の悩みや迷い、変わらない好きなもの。

亜希さんの印象は、大きな口を開けた豪快な笑顔という人は多いはず。モデルとして活躍し、おいしいものを作り、子どもたちを育て上げ、太陽のような笑顔。Marisolのカバーモデルを務めていたことでも知られている。悩める40代の私たちにとって眩しい存在に感じるけれど、彼女にも等しく40代はあり、離婚などさまざまな転機があった。亜希さんにとっての変わったこと、変わらないこととは?

 

亜希さん

(編集部)40代になると、さまざまな悩みが増えがちなお年ごろ。亜希さんは40代をどう過ごしてきましたか? 悩みはありましたか?

亜希さん:

私は今年55歳になるのですが、さまざまな悩みがあるってすごく羨ましいなと思います。そんなに昔じゃないはずなのに、40代がはるか昔のように感じるんです。40代の人たちが悩むのは、良くも悪くも“欲があるから”故な気がします。そう気づけたのは、どんどん欲がなくなってきている自分が今いるから。終活まではいかないのですが、欲のない自分を褒めたい日と、「何やってんの! そんなに欲がなくてつまらなくない?」と自分に声をかけている日が今あります。私の40代はちょうど離婚したころ。だからこそ1人で子どもたちを育てなきゃと鼻息荒かったし、美しいものが好きで、人の目も気になっていて、モデルの仕事もたくさんいただき、とにかく毎日本当に忙しかった。

それから10年もたつと、どんどん削ぎ落とされてしまって、人にどう思われようが、自分は自分でしかないというところに行き着いた感があります。「生きていればそれだけでいい」というところに行き着くと、何も怖くなくなるというか(笑)。

命さえあればいい、元気であればいいって思えるようになってきた今、40代の悩みって愛おしいというか本当に可愛かったと思います。だから、Marisol世代のみんなには悩みを排除するのではなく、抱きしめて大切にしてほしい。体力との勝負になってくる年齢のまだ前にいるからこそ、元気だからこそ、悩みにぐっと全力で向き合えるんですよね。悩みって実はマイナスなものではなかったなぁと、今振り返ると思えるんです。もちろん当時はわからなかったですが。もう一度40代に戻れるのなら、自分が当時抱えていた悩みをもっともっと追求してみてもおもしろかったかもなぁとも思ったり。

今は、朝起きて、普通に健康に過ごせる24時間が自分にある。その自由があるというだけで、それよりも欲しいものはないような気がします。

 

亜希さん

(編集部)何歳くらいで変わっていくのでしょうか?

 

亜希さん:

その人によって変わるきっかけは違うと思うのですが、私はコロナをきっかけに、「人間って大切な人は少なくていいんだな」「こんな24時間の使い方ってあるんだ!」など、感じることや気づくことが多かったんです。そんなふうに、必要なものやムダなものなどを改めて考え直す人は、あのころ多かったのではないでしょうか。

コロナの前に、モデルの仕事から裏方へのシフトを考え始め、それによってすでに生活の軸や考え方が変わってきていましたが、コロナを機にさらにその方向に向かった気がします。どんどんいろいろな整理ができてきたことで、ここ2,3年は物欲や悩みなどいろいろなものがどんどん減ってきて。思い返してみると、私は「悩み」という言葉をそもそも使うことはなく、「悩み」ではなく「考える」という言葉に置き換えていました。だから、人に相談することもあまりなく、自分で「考えて」答えを出すことが多かったかもしれません。すべて自分に起きたことだからこそ、自分で考えるしかなく、最終的には自分で決めるしかないんですよね。そしてその自分で決めたことを、信じるしかない。「悩み」ではなく、「考える」だと思うと、道筋がシンプルになるかもしれませんね。

 

(編集部)「悩み」ではなく、「考える」ことで、解決をしてきたのでしょうか?

 

亜希さん:

解決…うーん、私の考えごとは、解決してそうでしていない…、けれど最終的には解決していたね!ということばかりかも(笑)。

そもそも、「解決」っていうゴールはないと思うんです。今日乗り越えた! 今解決した!なんて、そんなふうに明確に終わることは誰にも起こり得ないはず。日々暮らしていて、考えながら凸凹な日々を積み重ねていくことでいつの間にか悩みが消えていたということが多いです。40代、50代…もっともっと先に答えみたいなものはあるのかもしれない。みんな結果を求めすぎるし、時間軸が短すぎるんじゃないかな!? 悩んでいると口に出して言える人は、まだ元気な証拠! それがあることで先に繋がったり変化したり成長していくと思いますし、そこにマイナスはいっさいないんですよね、きっと。「悩む」より「考える」という意識に切り替えながら進んでいった先に、あれ? そういえばいつの間にか解決していたなぁという未来が続いているんじゃないかなと思っています。

 

亜希さん

(編集部)亜希さんは落ち込んだ時にはどう対処して乗り切っていますか?

 

亜希さん:

自分のご機嫌をとるということを意識したことはないけれど、誰にも会わない日を作っています。

ちょっと落ち込んだら、もうとことん廃人みたいになって、顔も洗わず、お風呂も…(笑)。そこまで1人でぐぐっと落ち込むと、次の日が幸せだと感じられたりするんです。家に居続けると案外つまらなくて、とことん孤独を感じたりもして、発見は外にあるんだと気づき、結局外に出たいかもしれないと自分で思えるようになっていく。落ち込んでいる状態で人と会う、仕事をするということができないので、一度自分をとことん孤独にして下げてみるという荒療治が私らしいみたいです。でも、それもまた人それぞれ。自分が経験したことでない限りは、軽々しく言葉にしてはいけないなぁと思っています。だからこそ、自分の口から人に対してアドバイスできるのは、自分が本当に経験したことだけにするようにしているんです。1人で家に閉じこもるというのは私なりの方法なので、いろいろ試してみながら自分の抜け出し方を見つけてもらえたらいいなと思います。

 

(編集部)「悩み」はどこから生まれてくると思いますか?

 

亜希さん:

悩みは、他人と比べることから生まれやすいと思います。そう思うと、私は嫉妬がとても多い幼少期でした。貧乏な家庭に育ち、そのころはほかと比べてばかりいて…。「みんなのおやつはすごいなぁ」「あれを買ってもらえるんだ~」など、嫉妬ばかり。アイドルでデビューしても売れなくて、そこでもまだ嫉妬は続きましたし。

15歳のころから働いているので芸歴も長く、ほかの人に比べてずいぶん早くそういう嫉妬の多い時期を通過してしまっているのかもしれません。そうして早く終えているから、今は60代後半のような気持ちで子育てしている気がします。子どもたちにも、本当に怒らなくなり、よく言っていた「●●しなさい」を、言わなくなりました。怒りや命令って、何一ついいことがないと思えるようになりました。なぜ普通に会話をできなかったんだろう?と、今思います。寝坊しただけで、「なんで起きられないのー!」って怒っていましたから。

この4,5年、本当に怒らなくなったのですが、話せばわかるんですよね。私は何にこだわっていたのかなぁって不思議です。怒るということを私が捨ててから、彼らは好きな感覚で物事を選べ、好きな道に行けますから、息子たちもぐっと伸びました。命令で子育てしている時は、子どもがレールから外れないよう私が一生懸命レールに乗せようとしていただけなんだと今ならわかります。息子たちに今聞いてみたら、この数年怒られてないと言うと思います。でもそれは、いい子だから怒るところがないんですという話ではまったくなく、こちら側の問題で、「信じる」「手放す」という話。『家 ごはんと野球』という本を書いた時、自分の過去が蘇ってきたのですが、私は本当に何も怒られずに育ちました。母は、いつでも全部信じてくれていた。こうしなさいというレールもなく、叱られることもなく、すべて自分で決めてきました。それがいかにありがたいことだったか、思い返してしみじみよくわかったんです。親の感覚ではなく、子どもの感覚が一番素直で大事なんじゃないかと思えました。

 

(編集部)40代から50代、さまざまな変化が亜希さんに訪れているんですね。そんな中、続けてきた「AK +1」にも変化はありましたか?

 

亜希さん:

今日『DayDay.』の収録だったのですが、着ていた服が長男の卒園式で着ていたものだったんです。15年前ですよ、すごくないですか?(笑)それくらい、私は「好きなもの」が変わらないんです。

色、素材、編み方、ディテール、好きなものはずっと一貫しています。だからこそ、服作りを続けていられるのかもしれません。ただ、好きなものは変わりませんが、ブランドは変化してきています。「AK +1」スタートのころは、「私が好きなもの」というテーマでのスタートだったこともあり、みんなが似合う服というよりも自分が好きなものという部分がとても強かった。だからこそ、メンズライクな服が圧倒的に多くて。けれど、イベントなどで買ってくださったかたの顔が見えて、それがまたうれしくて、「そんなふうに合わせて着てくれているんだ」と学んだりと、いろいろなことを体感したりわかっていくうちに、例え自分にあまり似合わなくても、喜んでもらえる服を作ってもいいのではと自然に思えるようになりました。「私が好きなもの」という部分はもちろん譲らないまま。女性ならではなの着こなしって、いろいろな楽しみ方があるから、本当に魅力的だと思います。

今、ブランドは11年目を迎えるのですが、ずっと一緒に続けてくれているビームススタッフの方々の一生懸命さ、着てくれている人たち、実績などが自信をもたらしてくれ、ようやく胸をはって自分のブランドを自慢できるようになりました。今までは、ちょっと遠慮している部分もあったのですが。簡単ではなかった11年を思い返すと、愛着が湧くばかりです。

 

亜希さん

\AK+1 × Marisol別注アイテムが登場!亜希さんのコメントも/

 

|亜希さんの近況|

亜希さん

日本テレビ系列朝の情報番組『DayDay.』に挑戦し、あれよあれよと1年が過ぎます。自分らしさを表現するお仕事をしてる中で、一番難しいかもです(笑)。もう少しで発揮できるかと思われますので、気長にお付き合いいただきたく…。時々AK+1を着用してアピールしてます(笑)。

 

亜希さん鹿児島旅行
鹿児島旅行の食事

3月上旬ひとり旅で鹿児島へ… お酒も飲めないのにカウンターで、かんぱちと揚げたての天ぷらに、さつま揚げ。年々、ひとりの時間を楽しめるようになってきました。おひとり様万歳です!

 

亜希さんバイオリン演奏

昨年思いがけずスタートした、ヴァイオリン。ザワつく音楽会に参加させてもらって7回の公演を経験させてもらいました。まだまだ私の老体にあの時の熱が残っています。昔から、経験こそが語れることだと思っていて…。想像や、SNSだけの情報では、なにひとつ説得力がない。でも、この公演に参加したことでまたひとつ自分にしかない言葉、想いが増えました。すべてに感謝です。

 

亜希さんのお弁当

長男が家を出て寮で生活するようになり今年で4年目。久しぶりに野球弁当を作ることになり…。気持ちが昂り夜中の2時に目が覚め、作り始めたの巻(笑)。母さんってそんなもんなんだと、改めて再確認しました。おまけはちさこのチョコ付き。

 

取材・文/柿本真希 インタビュー写真/伊藤奈穂実

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