幕が開けると、レディオヘッドの名曲「クリープ」を歌い上げて聴かせ、会場はうっとりさせたイヌさん。自身のスマートフォンの翻訳機能で、「明日がないかのように遊びましょう!」と挨拶して茶目っ気を見せ、緊張も解けている様子。東京で開催された3公演の最終回なので、余裕を感じさせ、東京で買った趣味のギターがちょうど手元に届いたことも手伝ってウキウキなのだとか。188センチの無双の完璧スタイルに甘いマスクというだけでも眼福なのに、満面の笑顔での誠実さあふれる楽しいトークが進みます。「クリープ」は、子供の頃は自己肯定感が低く、メロディーも好きで、この曲の歌詞に共感して選んだそうです。時折飛び出す日本語の発音も美しく、高校時代に勉強したと告白。右折、左折など簡単な単語を覚えたと言います。
そして、初めてのファンミーティングということで、あだ名を決めようという流れになり、「部長」に決定。「部長!』と呼ばれるたびに「なに?」と日本語で答える笑顔がまた眩しかったです。途中、「名古屋に”2022 Asia Artist Awards”のプレゼンターで来た時に、ピカチュウのパスポートケースを買ったので、ピカチュウ好きだと思われていますが、ヒトカゲとゼニガメも好きです」と屈託なくTMIを披露したり、MCの方が思ったより10歳くらい歳を召されていた事実を知り、急に恐縮して「子供の日のプレゼントを贈らせてください」と、何度も念を押す姿にも人柄が滲み出ていて、彼が美談製造機という噂は本当なのだと会場は確信したのでした。好きな日本食は、なんといってもラーメン、豚骨の濃厚な味がたまらないそうで、ビールと合わせてが最高なんだとか。
また、かつてアイドル練習生だったけれど、初めから演技をしたかったし、アイドルになりたいというより、バンドがやりたかったというイヌさん。初ファンミーティングということで、血のにじむ練習を重ねたという、オジー・オズボーンの「Mr.Crowley」を披露。一瞬にしてZeppがライブ会場に早変わり、迫真のギター演奏に圧倒されて会場は息を呑み、会場の誰もが彼にまた惚れ直した瞬間となりました。
6月13日(木)には、韓国観光公社主催の名古屋でのトークショーも予定しているイヌさん。韓国のおすすめの旅先を聞かれると、順天湾自然生態公園を推薦。私も韓国観光公社主催の旅取材で訪れたことがあるのですが、干潟と葦原の美しい湿地で、鶴などの渡り鳥が飛来する雄大で美しい湿地保護区です。順天ドラマ撮影場があり、ドラマや映画で使われてきた50年代~80年代のセットを見学でき、さらに、近くの食堂のカンジャンケジャンがとっても美味しくて感激した思い出があります。
ドラマの場面再現など抽選でステージに上がったファンが舞台を降りるところまでさりげなくエスコート、2日間のイベントを楽しく盛り上げてくれた各MCへの感謝も述べてハグするなと、美しさのみならず謙虚さも滲み出ていて好感度上昇は止まらず!
会場には、大ヒットした話題作「私の夫と結婚して」でイヌさんに沼落ちしたファンが最も多く、ヒロインを一途に想い助けるユ・ジヒョク部長の人気も再確認。人気バラエティ番組「1泊2日」のファンも多いようでした。ちなみに、私は2019年の「最高のチキン」で、オーラを放ったイヌさんに注目、翌年、推し作品の「哲仁王后~俺がクイーン⁉︎」で繊細な役どころを好演しブレイク、「王女ピョンガン 月が浮かぶ川」の主演に抜擢されたのにも納得でした。この作品のあらすじや概要を書いたこともあり、幾度も観たのですが、彼以外のオン・ダルは考えられないほどのハマり役で、観るものを魅了し一気に注目のスターに。「クリーニングアップ」「ジンクスの恋人」のイヌさんもチャーミング、「ゴールデンスプーン」のカメオでも、映画『同感~時が交差する初恋~』でも存在感を発揮しています。
最後に、一緒に歌ってくださいと日本語の歌まで用意、しかもそれはオレンジレンジの「花」。心の底からあふれ出るイヌさんの優しさに包まれ、感心しっぱなしの2時間半でした。「帰りたくない~、また会いましょう」と言いながら手を振り、ファンのための癒しの時間は幕を閉じました。