「朝っぱらから新大久保で韓国焼肉」
の32時間後……。
わてくしは再度、ソジュを傾けておりました。
日本人の友達がオススメするお店に
連れてきてもらいました。
その友達は、駐日韓国大使館の人の
勧めで知ったというお店の名は
【テンチョ】
慶尚道(釜山や大邱のある韓国南東部エリア)の方言で
「辛い青唐辛子」を意味します。
ソウルから帰国して12年、
日本で本場っぽい韓国料理店を探し続けるなか、
どんなにレビューが高いお店でも、
本場の味!と思うことは滅多にないのですが、
この店は本当にソウルの居酒屋の味、
しかも相当美味しい部類の居酒屋の味でした。
それも一昔前の、鍾路の路地裏の感じ。
大規模な再開発事業でソウルからは失われつつある
古き良き景色が新宿歌舞伎町に息づいてて、
時空が歪んだかと思った。
鉄板で仕上げる「チュムルロク」が一番人気、
ということで注文。
えのき茸のサイズで鍋のサイズが伝わるとよいのですが、
そこそこ深さもある鍋で、豚肉が山盛り入ってます。
大食いの私たちは二人でなんとか完食しましたが、
別テーブルの女子3人は半分くらい残してたくらいの
とんでもなく気前のいい量です。
それまではバンチャンをパクパク。
一番美味しい状態に仕上げてくれます。
野菜もたっぷり!
コチュジャンの甘辛とニンニクの香りが
口いっぱいに広がって、うんま〜!
こりゃ本場の味だ!と思った理由は、大量のニンニク。
みじん切りになっているのでその姿は見えませんが
味と香りにものすごい存在感を発揮しています。
ニンニクが基本すぎてTPO問わず食べる韓国とは違い、
日本はそれなりに気を使う人がいるからか
日本の韓国料理屋さんはニンニク控えめ感がありますが
テンチョは容赦なく入っています。
サニーレタスとエゴマに巻いて食べると
さっぱりしてますます美味しい。
しかもたっぷり野菜とビタミンB豊富な豚肉、
唐辛子のカプサイシン、コチュジャンの発酵パワーで
これはもはやダイエット美容食なのでは……!
「ミナリジョン」こと、セリのチヂミ。
平べったく焼いたチヂミで、
つなぎをほんのちょっぴりしか使っていないので
ほぼセリだけを食べている感じ。
でもその僅少のつなぎのおかげで
パリッとした食感と香ばしさがあって
最高のスルアンジュ(お酒のつまみ)でした。
セリのチヂミは韓国で見たことがないんだけど
今はよくあるメニューなのかしら?
それともテンチョのオリジナルなのかしら?
少なくとも東京の韓国料理店では初めて見たので
テンチョに行ったらぜひどうぞ!
テンチョの社長にも挨拶させてもらいましたが
とにかく仕込みが大変だ、
でも仕込みをしっかりしないと美味しくならないから
毎日がんばって仕込むんだ、と
マスク越しに分かるほど疲れた表情で
おっしゃっていました。
ちなみに先ほどの豚肉料理「チュムルロク」は
「揉み込む」を意味する動詞「チュムルダ」から
名前を得た料理で、
その名の通り、肉と野菜に調味料をよく揉み込んで
味を含ませるのが鍵、
つまりは、仕込みがなにより肝心。
テンチョのチュムルロクが最高に美味しいのは
社長渾身の仕込みの賜物なんですね……!
18時には満員になっていたので予約推奨です。
韓国に行かずとも旅行気分になれる
料理と雰囲気を、ぜひ味わってみてください。