原因は、老眼が始まったことと、(加齢のせいで)読書スピードが落ちたことだと思います。
これからますます読書を楽しめなくなっていくのかなあと思うと、ちょっと暗い気持ちになりますが、それでも今年も素敵な本にたくさん出会えました。
私が読んだ中で、今年発行された本のベストブックを部門別に3冊ご紹介します。
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まずは、文芸部門マイベスト。
坂崎かおる「箱庭クロニクル」
女性をチアアップする文学作品は、近年本当にたくさん見られますが、本書はその中でもだいぶ先を行っている気がします。文学の潮流をキャッチアップするためにも今絶対に読んでおくべき一冊だと思いました。
何か不思議なものを読んだという気がしながら、どこか爽快かつほんのり暖かい読後感も非常に独特。
月村了衛「虚の伽藍」
若い僧侶が闇のフィクサーと出会ったことにより、地上げ、サラ金、果ては仏像盗難まで、魑魅魍魎がうごめくバブル期の京都を舞台に欲望にまみれた事件を次々引き起こす傑作ノワールです。
どれくらい事実に基づいているのか考えると一気に背筋が寒くなりますが、息もつかせぬ面白さでした。とにかくエキサイティングな読書体験をしたい方に強くお勧め。
窪田新之助「対馬の海に沈む」
という流れだけで、何か大きな組織ぐるみの不正があったことはすぐに想像できると思います。
この本のすごいところは、その不正に関する丹念な取材だけでなく、最終的に行き着いた恐ろしい闇についても、しっかりと食い込んでいるところです。
その闇が何であったかは本書を読んでいただくとして、闇について端的に表した本書292ページの言葉を以下に引用します。
「JAグループの腐敗する構造の向こうには、より大きな背景が控えていた。それは、欲望に蠢く大勢の人たちであり、彼らが暮らしている社会そのものだった。」
今回で今年最後のブログになります。今年も拙いブログをお読みいただきありがとうございました。
2025年もよろしくお願いします。そして、来年も素敵な本に出会えますように。