暑い日が続いていますがみなさま体調管理は万全ですか?
つい冷たいものばかり食べて食事が偏ってしまったり夏バテで食欲自体が低下したりしやすい時期ですよね。
かくいう私はいつも大好きなあんこを爆食しているブログが多く健康を疑問視する声があがっている(ような気がする笑)のですが、一応これでも医者のはしくれ。健康についてはそれなりに結構気にしているのです。
というわけで今回は、現在の通年テーマとなっている「人間ドック」について、まじめに本職の医師としての立場から綴りたいと思います。

そんな中で私が内科医、とくに消化器内科医として最も推しの検査、それはずばり、、、
大腸カメラ(下部消化管内視鏡検査)!
です。
以下詳しく解説していきたいと思います。
〈なぜ大腸カメラをオススメするのか〉
この統計は時代とともに変遷するのですが、一番最新の統計では、女性の部位別がん罹患数(がんにかかる人)で大腸がんは乳がんに次ぐ2位、そしてなんと部位別がん死亡数では堂々の第1位なのです!
ピロリ菌の除菌がすすんできた今、かつて多かった胃がんは急速に減少している反面、食生活の欧米化などを背景に、大腸がんにかかる人、そして大腸がんで命を落とす人が増加したのです。
(最近は検診などでの早期発見の機会が増えたり治療の進歩で少しづつ減ってきているようです)
ですので、とくに40を過ぎたら是非定期的な検査をお勧めしたいです。
そしてそんな大腸について最も精密な検査ができるのが大腸カメラです。
一番大切なのは当然ながら大腸がん。
そして大腸ポリープ。大腸がんの多くは小さな良性ポリープから発育していきます。このポリープの段階で発見して切除することが肝心です。
検査を実施している身の実感としては、年代にもよりますが全体的に半分以上の方でこのポリープがみつかり切除しています。
他にも、炎症性腸疾患(ざっくりいうと自身の免疫が悪さして腸に炎症をおこす病気)や憩室(大腸の壁にできたポッケ。炎症や出血のリスクになります)、痔などなど多くの病気をカメラで直視することができます。
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大腸ポリープ
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大腸がん
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大腸憩室
〈具体的な検査の流れや方法〉
まず最初の関門が検査前にのまないといけない下剤。前日から色々な下剤を組み合わせて行う施設が多いかと思いますが、メインとなるのが検査当日(検査が午後からのパターンの場合)の朝から内服する大量の液体の下剤。大体2リットル近い量の下剤を数時間の間にただひたらすら一生懸命のまないといけません。(そしてただひたすらトイレに向かうの繰り返しです。)
その味も使う下剤により色々ですが、まずい塩水のようなもの、まずいスポーツドリンクのようなもの、苦くてまずいもの、、、などなど。
つまりは基本的に共通してまずいということです(笑)
それでも最近は、オレンジジュースに近い味のものや、内服量が格段に少なくて済むものなども出ているので下剤の内服に不安のある方は施設に確認してみても良いかもしれません(ただ、個人的には量が少ないものはやはり腸内の洗浄力もやや劣る印象)
そして第2の関門が検査そのもの。
肛門から1.5センチ程度の太さのスコープを挿入し、途中伸ばしたり縮めたりしながらお腹をぐるっとまわって最終的には右下腹部にある盲腸という大腸の終点(または回腸という小腸の端っこ)までおよそ80センチほどカメラを進める検査です。

検査時間は人にもよりますが、大体15分から、ポリープがたくさんある方や挿入が困難な方だと30分、ケースによっては1時間近くかかることも。
検査中は痛みやガスによる張りの感じ方がこれまたかなり個人差が大きく、とくにお腹の手術歴(帝王切開含む)や婦人科疾患既往のある方、普段便秘が強い方はその傾向が強いことが多いです。
ただ、最近は鎮静剤の点滴で眠っている間に検査を行える施設も多く、また送気に使うガスに吸収の早いものを使用する施設もたくさんあるので、検査の痛みが不安な方や痛みに弱い方はやはり施設にそういった選択肢の有無を事前に確認するのが吉です。
ついでにいうと術者の経験や腕もかなり寄与する検査ですので、受ける施設のドクターの内視鏡の経歴や内視鏡専門医資格の有無も確認することをオススメします。
それでも強く推したいのは私自身の経験からも来ています。
実は私は31歳の時、とくに自覚症状があったわけではないのですが、自分が普段患者さんにやっている検査は受ける側としてどんな感じなのか自分自身も経験しておかなくてはいけないかなぁ、となんとはなしに人生初の大腸カメラを受けることにしたのです。
結果、ポリープが2つみつかり切除。しかもなんと1つは病理結果で超早期の大腸がんでした。
幸い内視鏡での切除で取りきれており治療はそれだけで完了しております。
それからは検査の翌年、それ以降3年に一度の定期検査を心がけています。
もし私が医師という仕事についていなかったら、医師になっていたとしても違う診療科に進んでいたなら、、、きっとあのなんとなく経験してみようの初めの一歩はなかったと思います。
そしてもしその一歩がなかったら、今まさに末期がんと闘病していた可能性や下手したらすでにこの世にいなかった可能性もあったかもしれないと思うとゾッとする同時にやはり症状なくても定期的に検査をすることの大切さを強く思い知らされました。
息子たちのかわいい寝顔をみては時折、そんなことを考えてます。
いかがでしたか?
今の40代って本当に若い。
ファッションにグルメに旅に美容に。まだ折り返しにもなっていない長い長い人生をこれからも欲張りに満喫するためにも、結局一番大切な基盤は心身ともに健康であることです。
ぜひ、定期的な健康診断や人間ドックで健康管理をお忘れなきようお願いしたいと思います。
それではまた♪