【今月のお悩み】「子供のころからの、 爪を嚙むクセが治りません」
(新潟県・ポン・39歳・会社員)
☆辛酸なめ子さんの回答
☆みうらじゅんさんの回答
心の健康のためにも無理に治さず、“見栄え”をよくしてみては?
爪は、死んだ細胞とはいえ自分の体の一部だったわけですから、それが体に入ったところで別段、悪い影響はなさそうですし、爪切り器を使う手間も省けます。足の爪を嚙むとなったらまるでヨガ! そうなると、なんだか健康によさそうなイメージも……(冗談です、すみません)。
でも、例えば猫の爪とぎにも、リラックスや気分転換の意味があるようですよね。人間の爪嚙みにも、同じように精神を落ち着かせる効果があるのでは? だからポンさんも、なかなかやめられないんだと思うんです。実際、「爪を嚙めずイライラ」とおっしゃっていますし。
お母さんに叱られた記憶があるから「子供のころからのクセが治らない」と困ってらっしゃるのでしょうけど、ポンさんはそれこそ“いい大人”なんですから、汚れた手のまま爪を嚙むなんてことはありませんよね? ほかの人の爪を嚙むなんてことも、ないですよね? だったら、無理に治さなくてもいいんじゃないですかね。
ポンさんは、爪嚙み防止に「ネイルにお金をかけた」とのことですが、きれいに飾られたネイルが苦手な男って案外多いんです。こんなことを言うと女性のかたたちを敵に回してしまいそうですが。爪に色を塗るだけじゃなくて、真珠とかキラキラ光る石がいっぱいついていると、電飾満載のデコトラのようで気圧されてしまうんです。
いや、きれいだとは思うんですよ、でもそこに自己主張の強さを感じてしまって。僕だけでなく、男は基本的に女の人に勝てません。そのことを十分自覚しているので、さらに何かアピールされていると感じると引いてしまう……情けないのですが。
ということもあり、爪嚙みのクセは治すより見栄えをよくするという方向でいかがでしょうか。爪を嚙んだ指先でも、つるつるぴかぴかに整えられていたら、美しいですよね。僕なんかは、さらにそこに職人芸のすばらしさを見て感嘆してしまいます。
また、爪を嚙む時のしぐさにはちょっと幼さが感じられて、男としてはホッとするんです。強さの中にほのかに見える弱さにグッとくると言うんでしょうか……。
と、今回も男の勝手&バカな言い分ばかりで恐縮ですが、他人の迷惑にならないかぎりクセは治さなくてもいいのではないか、というのが僕の考えです。子供のころからずっと続いているということは、その人にとってそのクセは必要なことなのではないか、という気がするんです。
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●JUN MIURA: イラストレーターなどなど。「マイブーム」「ゆるキャラ」ほか多くのブームを生み出す。近著に『男気の作法』(マガジンハウス)、『人生エロエロだもの』(文藝春秋)など
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●NAMEKO SHINSAN: 漫画家、コラムニスト。巫女的な感性でアイドル観察からスピリチュアルまで、あらゆる事象を取材。近著に『魂活道場』(学研)、『おしゃ修行』(双葉社)などがある
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