【今月のお悩み】「売れない芸人の息子が心配です」
(広島県・らん・45歳・パート)
☆辛酸なめこさんの回答
☆みうらじゅんさんの回答
〝売れない日々〞もネタのうち。 まずはご自分の幸せを!
息子さんが「売れない芸人」、お母さんとしては、そりゃ心配ですよね。ただ、らんさんの年齢から考えると、息子さんはまだ芸人の世界に入って間もないですよね? 20代前半でしょうか。でも、突然ブレイクなんてするとまたそれはそれで大変です。世間は、「一発屋で終わらないか?」と心配(するふりをして騒ぎ)始めますから。まわりのそういう空気は当然、本人も感じますから、ものすごいプレッシャーでしょう。それもキツイですよ。
芸人さんの世界は、「売れない」が基本。地上波のテレビに出られる人なんて、ほんのひと握りでしょう。息子さんも、そうした事情がわかったうえで、それでもお笑いが好きでその道に入ったんじゃないでしょうか。
らんさんは、売れない=お金を稼げないから心配なのかもしれませんが、息子さんご本人はそのことを「つらい」と思っているのかどうか? そこが問題です。 僕の仕事もやはり"好きなことをやっている"ので、「売れない」が基本です。今でこそこうして仕事をいただけていますが、仕事を始めてからしばらくはほとんど稼げませんでした。でも、好きなことさえしていられれば、お金がないことなんて気にならなかったもんです。それに、何かの拍子でお金を稼げてもしょせん自由業ですから、いつまた稼げなくなるかわかりません。なので、お金を稼げるかということより、好きなことをやれるかどうかのほうが大事(もちろん、お金があるに越したことはありませんけど)。
息子さんは、小さいころから芸人になりたくてなったんですから、売れていない現状を「つらい」とはあまり感じていないんじゃないでしょうか。テレビのお笑い番組を観ていると、芸人さんたちは売れていない時代のビンボー生活のことをネタにして、それで笑いを取っていますよね。らんさんの息子さんも、今はネタを仕込む時期だと思って案外、充実した毎日を送っているような気がします。
なので、親心はわかりますが、らんさんが悩んでもしょうがないような気がします。それより、息子さんが好きなことをやれるよう、健康で毎日を楽しく過ごすことを考えていたほうがいいんじゃないでしょうか。
近所の人に「おたくの息子さん、芸人になったって聞いてるけど、見ないわね?」なんて聞かれちゃイヤかもしれませんが、そこは芸人さんのお母さんとして「あはは、まったく売れないんですよぉ」って笑い飛ばすくらいの度量が必要かもしれません。
ただ、息子さんがらんさんに「つらい」と泣きついてきたのだとしたら、話は別です。好きなことをやっているはずなのに「つらい」と感じたらそれは、お笑いが息子さんに向いていないのだと思います。そうなったららんさんの出番です。「ここまで十分頑張ったんだから、やめてもいいんじゃない? もっと向いている仕事があるんじゃない?」って声をかけて、相談に乗ってあげてください。
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●JUN MIURA: イラストレーターなどなど。「マイブーム」「ゆるキャラ」ほか多くのブームを生み出す。近著に『男気の作法』(マガジンハウス)、『人生エロエロだもの』(文藝春秋)など
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●NAMEKO SHINSAN: 漫画家、コラムニスト。巫女的な感性でアイドル観察からスピリチュアルまで、あらゆる事象を取材。近著に『魂活道場』(学研)、『おしゃ修行』(双葉社)などがある
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