自分で決めたリミットとはいえ、さすがに短いような気もするし、こればっかりは相手のあることだからコントロールが難しい。
一方で、共通の知人を介して知り合ったメリットとしてある程度の人物保証があり、交友関係もわかるから、ゼロからのスタートよりは効率が良い。
従って交際が始まったらお互いの相性と価値観をしっかり見て、あとは宗教観と政治観が確認できたら万々歳。宗教観と政治観はぜひとも知っておきたいが、一方でデリケートでもある。しかし結婚を前提としているのならば、必要なこと。
国会のニュースや季節のイベントなど宗教がからみそうな話題を積極的に出し、反応を伺った。間柄が懇意になるに比例して、率直な意見も出てくるため、こうした相性も問題ないことが判明して心の底からホッとした。
と、書くとケビ子は何か極端な思想や宗教に傾倒しているのかと思われそうだが、その逆でまったく偏りがないがために相手にもできればそうで会って欲しいと思った次第。
「結婚を前提に」と言われた月の月末はお互い別々に夏休みを取った。
知り合ってすぐに「ハワイに行きませんか?」と誘ってくれた、そのハワイ旅行に奴さんは仲間と出かけ、私はハワイを断り、ここ数年連続して行っている香港へ開運一人旅に出かけた。
香港の開運アクション最後のひと押しとして、また印鑑を作ってきた。ペニンシュラホテルにあるタンズというはんこ屋さんで行く度に作る。今回はどっちに転んでもいいように下の名前で作った。
良い印鑑をたくさん持っているのに、いざ結婚してもろもろ書き換える時に、必要な新姓の印鑑はネットで急ぎ注文した1,000円ものとなったことは汗顔のいたりである。
ハワイと香港。行先は違えど同じ期間に日本を離れ旅をしている高揚感からか、奴さんはハワイからもしょっちゅう電話をくれた。本当にしょっちゅう連絡が入るもんで、365歩のマーチのように一歩進んで二歩下がるようななかなか進まない行程となった。それもまた楽しい恋愛の浮かれポンチ期である。
ハワイで友人からのひやかしシャワーをたくさん浴びた奴さんは、ますますその気になったのか、夏休み後も溺愛スイッチが押されたままの状態となった。ヘンリー王子がメーガン妃を見るようなあの優しい眼差しをじゃがいものような顔の女に向けてきた。
そして、会う頻度が高まっていった。
付き合う前は「女性と付き合っても自分の時間も必要だから、月に何回か会えば十分だ」とナマイキなことを言っていた奴さん。しかしこの頃は平日に1,2回、週末は土日どちらか必ず会うという頻度。これが溺愛スイッチなのか!
ちなみに次にいつ会いましょうの約束についてこちらから催促したことは一度もない。「君から会おうという提案はないのか!俺に会いたくはないのか!」と奴さんに言われたことがある。
「嗚呼、これが恋する男の正しき姿であるな」と悦に入り、下を向いて小さくガッツポーズでしたり顔をした。
ケビ子の誕生日は盛大にお祝いしてもらったので、日ごろの感謝と結婚へのアクセル加速のために、やられたらやり返す、倍返しだ!
そこで自宅に招き、ハンバーグをこしらえた。倍返しなので、ハンバーグは2個。特別サービスである。なんでも奴さん曰く「男の誕生日はお祝いなんていらないよ」と言うので困惑のち破顔でお言葉に甘えた。
「ねえ、俺のバースデーなのにドンペリとかないの?」と言うタイプではなかったのだ。
43歳で(やっと)結婚。
仕事で培ったフットワークと屁理屈と知恵をフル活用してゴールイン。奴さん(夫)は夢見る世話焼きロマンチスト。Instagram(@kbandkbandkb)