【今月のお悩み】「スタイルにとらわれず自分らしく生きるにはどうしたらいい?」
(石川県・ちゃい・45歳・フリーライター)
☆辛酸なめ子さんの回答
☆みうらじゅんさんの回答
何にも属さない=自分らしさ、では? でも、その境地にいたるのは大変です
「ライフスタイル」って言葉、たまに耳にしますけど、何なんですかね? 僕は、ライフスタイルなんて思ったことも言ったことも一度もないので、よくわからないんですけど、「生き方」ですか? ちゃいさんが、「どのスタイルにも」と言うのは、生き方にはいろいろあるということでしょうか。そりゃそうですよね。10人いれば生き方は10通りありますから。
ん? だとすると、どこかに属さなくてもいいですよね。ちゃいさんにはちゃいさんの生き方がすでにあるわけですから。
それから、ちゃいさんの「変人」の解釈も、ちょっと違うような気がします。変人って、「どのスタイルにも属さないでいたら自然となれる」ものではありません。生まれつきの「DNA変人」もいますけど、数としてはものすごく少ない。はたから変人に見える人の多くは、変人になるために努力をしているんです。
大ざっぱに言うと、変人は「人に気を遣わない、まわりにどう見られようが気にしない」。そういう人間になるのって、けっこうむずかしいんです。僕もこういう職業についたからには「変人じゃないと仕事をもらえない」と思って、人に後ろ指さされるようにがんばってきましたけど、どうもそっちに振りきれない。なぜって、僕はものすごく“気にしい”な性格で、どうしてもまわりが気になるし、人に気を遣ってしまうからです。僕ほどじゃないにしても、世の中の多くの人はそうなんじゃないでしょうか。人に悪く思われたくないですもんね。
でも、「まわりにどう思われてもかまわない」のが変人。そこにいたるまでのハードルは相当高いんです。多くの変人は、がんばってそれを越えてやっと変人になれたわけでして。だから、変人もスタイルのひとつなんです。
……すみません、熱くなってしまいました。ええと、「自分らしく生きるにはどうすればいいか」でしたね。文面から察するに、ちゃいさんの考える「自分らしく生きる」は、何ものにもとらわれないということでしょうか。でも、そういう生き方=変人なので、「変人にもなりたくないけど自分らしく生きたい」って、矛盾しているような気がしますけど、どうでしょう?
それでも「自分らしさ」を追求したいと思ったら、一度、友人知人5人くらいに「私(ちゃいさん)らしさ」は何なのかインタビューしてみては? きっと、ちゃいさんが考えている「自分らしさ」と、まわりが感じている「自分(ちゃいさん)らしさ」は違うと思うんです。でも、後者が真実だったりするんですよね。自分のことを自分では見ることができませんから。
ただしこのインタビュー、飲み屋では避けたほうが賢明です。みんなが楽しくお酒を飲んでいる席で「私ってさあ」というような話を始めると、場をしらけさせてしまう可能性が。もし変人になりたくなかったら、そこは配慮が必要かと思われます。ぜひ、ほかの場所をおすすめします。
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●JUN MIURA: イラストレーターなどなど。「マイブーム」「ゆるキャラ」ほか多くのブームを生み出す。近著に『男気の作法』(マガジンハウス)、『人生エロエロだもの』(文藝春秋)など
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●NAMEKO SHINSAN: 漫画家、コラムニスト。巫女的な感性でアイドル観察からスピリチュアルまで、あらゆる事象を取材。近著に『魂活道場』(学研)、『おしゃ修行』(双葉社)などがある
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