そう今夜も。
ママ 「あらケビちゃん、いらっしゃい。あら?あら!今日はなんだか肌艶がいいわね。良いことあったのかしら?」
ケビ子 「実はね、新しく買った美顔ローラーがとっても良くって肌の調子がすごく良いの。まだまだ私も行けるわって思える久しぶりの実感肌なのよ!血色良くなって、ほっぺがさくらんぼ色になるのよ。化粧ノリも最高で、気分が上がるわ~」
ママ 「んま!ダブルピースなんてしちゃって、古いわね~。アラフォーのダブルピースはカニみたいに見えるわよ?」
ケビ子 「カニ?あ、それで思い出した。カニ男の話・・・」
ママ 「カニ男ってなんなのよ。横歩きでもする男かしら。それとも蟹江敬三みたいな渋いタイプかしら。ママ、角田信朗の次に蟹江が好きよ。素敵よね~」
ケビ子 「そうよね、蟹江敬三、素敵よね。病気で亡くなったときは結構ショックだったわ。けど蟹江敬三みたいな感じじゃないのよ、カニ男は。ていうか蟹江敬三って名前がカニなだけじゃないの!」
ママ 「蟹江さん、今頃天国でママの元カレたちと知り合ってるかしら。なんだかセピア色よね、昔の男の話って」
ケビ子 「え?元カレin天国ってママっていったい何歳なの?いや、でも聞きたくないわ!そんな戦前の話!」
ママ 「戦前ちゃうわ!ギリ戦後だわ!いや、ギリじゃないわ!せめて昭和だわ!」
ケビ子 「ママ、そんなに興奮すると血圧あがっちゃうわよ。ジョークじゃないの。それでカニ男の話よ!コンパで出会ったのよ。実はね、そのカニ男すごいのよ。コンパしたのは数年前なんだけど自己紹介で言ったのよ『年齢=彼女いない歴です』って。」
ママ 「いやああああああああ~!!!天変地異!そんなラッキーあるの?ママに、ママに紹介、して、ゲホゲホ」
ケビ子 「そのコンパは某企業の研究所に勤務で、勉強と研究しかしてきてないから彼女ができたことがないって言ったのよ!」
ママ 「ああ、しみじみと思うわ。長く生きているとそういうギフトが神から送られるのね。素敵じゃないの!」
ケビ子 「そう。ピュアなチェリーボーイよ。ポイントやマイルをとにかく貯めているって話は面白いし、とにもかくにも彼女が欲しいと欲望を口に出して素直でかわいいの。それでね、コンパのあとカニ男から連絡が来るようになって二人で何度か会うようになったのよ」
ママ 「あ・ら~!しっかりリードしないと、いざって時「いやん、ばかん、そこはおへそなの」ってことになりかねないわよね」
ケビ子 「ママ!怒るわよ!その彼、とてもサービス精神があって、会うたびに手品を披露して私を笑わせようとしてくれたのよ。輪ゴムが消えちゃう手品とか、ボールがどっかから出てくるようなやつ。あと、必ずプチギフトをくれるの。入浴剤のセットとかあんこ玉みたいな和菓子とか。なかなかいないわよね。話は面白いし、優しいし、何より私に好意を持ってくれてるってのがうれしかったわ」
ママ 「ボールがどっかから出てくるって手品よね?下ネタじゃないわよね?それなら良いじゃない!何か気に入らないことでもあったの?」
ケビ子 「言いにくいけど・・・泡よ、泡。バブル」
ママ 「バブル?どういうこと?あ!泡泡のお店に行くのが趣味とか?」
ケビ子 「ちょっとーそれ偏見じゃない?そうじゃなくて、しゃべる度にものすごい量の泡が口角にあふれ出すの。カニみたいに」
ママ 「えー?そういうこと?それは!!」
ケビ子 「でしょー。駄目じゃないの。良い人なの。でも泡だったの。一応泡の原因を調べたのよ。そしたら人より唾液が多いとか、飲み込むタイミングが悪いとか口の中の筋肉が発達してないとかいろいろとあるみたい。一応ね、『お口に泡出ちゃうからあわてないでゆっくりしゃべってー』と言ってみたの。」
ママ 「え?勇者!なかなか言えないわよね。彼、どういう反応だったの?」
ケビ子 「『あ、ごめ~ん』って笑いながら言ってくれたの。でも彼としては気分が悪かったのか、そのあと連絡なくなっちゃったの。なんだか後味悪くって、申し訳ない気持ちがしばらく続いたわ。これも飲み干せない話よね」
43歳で(やっと)結婚。
仕事で培ったフットワークと屁理屈と知恵をフル活用してゴールイン。奴さん(夫)は夢見る世話焼きロマンチスト。Instagram(@kbandkbandkb)