【今月のお悩み】「40代独身、人生の展望がありません」
(大阪府・みど・41歳・会社員)
☆辛酸なめ子さんの回答
☆みうらじゅんさんの回答
毎日を楽しむ努力が必要です。 さあ、悩みプレイ、不安ブーム!
こう言っては何ですが、みどさんのお悩みって、「40代、独身」ということは別にしてほとんどの人が抱えている問題のような気がします。多くの人は、仕事も私生活もたいしておもしろくないし、親は年を取り、よほどのことがないかぎり子供より先にあちらに行くし、この先どうなるかなんてこともわからない。みんな、どれもこれもみどさんと同じような感じなんじゃないでしょうか。
ただ、「悩みです」と口に出してしまうとよけいに不安になるから、あえて気づかないふりをして、自分の気持ちをごまかしながら生きているのだと思います。そうしないと、やってられませんから。で、不安を少しでも小さくするべく、毎日を楽しむ努力をしているんじゃないでしょうか。みどさんから見て「結婚して幸せそうで、仕事をバリバリしていて、プライベートも充実、親も元気はつらつ」という人だって、それなりに不安や悩みはあると思いますよ。周囲に、そうやって幸せそうに見せるためにものすごく苦労しているかもしれませんし。
じゃあ、具体的にどんな努力をすればいいのか、っていう話ですが、事情は人それぞれ違うので〝コレ〟という決まった方法はないんですよね。
みどさんはとても真面目な人だと思うのですが、ちょっと深刻になりすぎているんじゃないかな、と感じます。えっと、まずはお悩み文の中に出てくる「確実」「人生」「展望」の3語を使うのをやめる、というのはどうでしょう。この3つ、字面からして硬いですよね? 僕なんて、見ているだけで頭が痛くなります。なので、きっと使わないほうがいいんです。
次に、おもしろくないことをあえて 「おもしろい、楽しい」と思い込み続ける。これ、思い込み「続ける」というのがポイントで、だんだんその気になってくるんですよ。正反対のことを思い込むんですから最初は大 変だと思いますけど、そこはほら、努力です。
努力というか、僕がいつもやるのは、「ブーム」とか「プレイ」という言葉をつけること。実は先日、肩に激痛が走って、動かせなくなったんです。あちこち病院に行っても原因がわからず、全然よくならない。でもある時ふと、「そうだ、俺は努力が足りない!」と気づいて。で、次に病院へ行った時、医者に「どうも〝肩痛いブーム〞みたいで」と言ったんです。そうしたら医者に大笑いされたんですけど、心なしか痛みが軽くなったような。いや、あくまでも「ような」ですよ。でも、その一瞬は痛みが薄れたので、それからは会う人ごとに「オレ今、肩痛いブームで」って。そうすると、痛みが薄くなる回数が増えるわけですよ。これも一種の〝ごまかし〞ですけど、気づいたら最近、肩が少しずつ動くようになって。
みどさんもよかったら一度、「40代、独身プレイ!」「仕事がおもしろくないブーム!」って口にしてみてください。次の日から、気分がちょっぴり変わるかもしれませんよ。
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●JUN MIURA: イラストレーターなどなど。「マイブーム」「ゆるキャラ」ほか多くのブームを生み出す。近著に『男気の作法』(マガジンハウス)、『人生エロエロだもの』(文藝春秋)など
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●NAMEKO SHINSAN: 漫画家、コラムニスト。巫女的な感性でアイドル観察からスピリチュアルまで、あらゆる事象を取材。近著に『魂活道場』(学研)、『おしゃ修行』(双葉社)などがある
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