いつもはスルーしがちなこういう穏やか系な映画だが、樹木希林さん最後の作品ということもあり観てみる気になった、日々是口実なKBである。
茶道のお稽古を通じてお茶器、お床、お花、お菓子、着物、お点前から季節を感じ一期一会を体感する。
派手に建物が爆発してお茶の雨が降るようなこともないし、
彼氏を泥棒猫にとられてこの世の地獄を見るわけでもなければ、
連続殺人の犯人が意外なあの人ということもない。
ストーリーには全く緩急がない。
しかし、季節の映像を登場人物の心情にうまくリンクさせ、流れゆく日々を主体的に受け止める、ということが人生なのだな、と感じさせられた。
大学時代に体育会系茶道部だった私なので(なんだそれは)、茶道のお稽古のあれこれをまず懐かしく、黒木華ちゃにんや多部未華子ちゃんが正座で立てなかったり、ふくささばきが覚えられないのをほほえましく観た。
私もお稽古の時に正座でしびれ、先生に「か、下半身が、べ、別の生き物になっております!」と絶叫し、立ち上がった途端斜めに崩れ落ちるという流派を作りかけたくらいの猛者である。
着物の着付け資格を取ったのも、器に興味が出たのも、和菓子が大好きになったのも、部屋に飾る花は豪華なブーケより一輪が好きなのもおおよそ茶道の影響だ。
利休七則 という利休の教えをお稽古の最初に復唱していた。
この映画はまさにこの世界観を映像化したものだと思うので紹介する。いまだに覚えている!
茶は服のよきように
炭は湯の沸くように
夏は涼しく冬は暖かに
花は野にあるように
刻限は早めに
降らずとも傘の用意
相客に心せよ
心をこめ、本質を見る、季節を大事にし、命を尊び、どんなときも落ち着いて、相手を尊重しよう
日本人でよかった!と心からじんわりするとても素晴らしい感動をもらった作品。
おススメします!
また作品を見直そう。