アラフォーはこんなに疲れている!
歳をとって加速? どうして疲れるの?
☆私が解説します!
医学博士 梶本修身先生
疲れは、体でなく脳の自律神経中枢の疲弊によって起こる
そもそも〝疲れ〟とはどういう状態 のことをいうのか、最初にその基本的なことから知っておこう。
「日本疲労学会では、疲れとは〝運動や労力などの身体作業負荷あるいはデスクワークなどの精神作業負荷を連続して与えた時に見られる身体的あるいは精神的パフォーマンスの低下現象〟と定義されています。つまり心身に負荷がかかることを続けた時に、思考力や注意力が低下したり、動作が緩慢になったり、目のかすみや頭痛、肩こり、腰痛が現れるなどして、パフォーマンスが低下することをさします」
このような症状が出ると誰もが〝体が疲れた〟と思いがちだが、実は疲れは体でなく〝脳〟で起きるのだとか。「運動をして〝体が疲れた〟と感じても、実際には筋肉や内臓はほとんど疲れていないことが研究によりわかっています。ではどこが疲れているのかというと〝脳〟です。具体的に言えば脳の自律神経の中枢です。運動をすると呼吸や心拍、体温などを調節しなければならないため、脳の自律神経中枢がフル稼働して疲弊します。この時、脳の自律神経細胞で活性酸素が発生し、細胞が酸化ストレスにさらされ、その疲れは、体でなく脳の自律神経 中枢の疲弊によって起こる結果、自律神経細胞本来の機能を維持できなくなって生じるのが疲労です」
運動だけでなくデスクワークなどの頭を使う作業で感じる疲労も、自律神経中枢の疲弊によって起こるそう。
「ご存じのように、自律神経には交感神経と副交感神経があります。交感神経は心身が活動的な時や緊張や興奮状態の時、ストレスがある時に優位になります。一方、副交感神経は心身がリラックスモードの時に優位になります。このうち交感神経が優位になっている時は最大のパフォーマンスを発揮できるよう、脳の自律神経中枢はフル稼働状態になります。つまり交感神経優位の時、自律神経中枢が最も疲弊し、疲れを感じるのです。仕事で頭を使っている時も交感神経が優位な状態なので疲れやすくなります」
では、疲れと年齢の関係とは?「自律神経機能は老化が激しく、10代をピークに年々低下し、40代になるとピーク時の半分以下にまで低下してしまいます。そのため加齢とともに疲れやすくなるのです」 そこで知りたいのが、効率よく疲れをとるコツ。
「交感神経優位な状態が疲れの最大の原因なので、交感神経が支配する時間を減らし、副交感神経が優位な時間を増やすことが疲労を減らすコツです。例えばランニングのような運動は交感神経を優位にするので、疲れたからスッキリしようと思ってランニングをすると、疲労に疲労を重ねるだけで逆効果。このように間違った方法をとっていると〝何をしても疲れがとれない〟という事態に陥るので要注意。正しい疲労解消術を知っておきましょう」
知ってた?
■すべての疲労は脳が原因!
自律神経のうちの交感神経が優位な時は、脳の自律神経中枢の細胞がフル稼働状態。これが脳を疲弊させ、疲れが生じる。左のような項目は、すべて交感神経を優位にし、脳を疲れさせ疲労を招く。疲れている時にランニング、入浴と重ねて行うと、疲れが足し算的に増すことに。
知ってた?
■慢性疲労症候群
"疲労"は病気ではなく生理的な現象だが、日常生活に支障が出るほどの強い疲労感を長期間感じる場合は"慢性疲労症候群"の可能性が。日常生活が損なわれる強い疲労感が6カ月以上持続または繰り返し、筋肉痛や発熱、リンパ節の腫れが生じることもある。
知っていた?
■自律神経機能は年々低下
脳の自律神経機能は加齢とともに急降下。年齢を重ねるにつれ疲れやすくなるのはこのため。自律神経機能の低下は食い止められないが脳を疲れさせない生活に改善すれば低下速度が緩やかに。
今すぐチェック!
■あなたの脳のお疲れ度は?
以下の項目で自分が当てはまることをチェック。1つでも該当したら、脳疲労がたまっている可能性大!
□物事はキリのいいところまで、やり遂げたいほうだ
□職場など長く過ごす空間に、苦手な人がいる
□責任感が強く、遅くまで残業しても苦にならない
□長時間座り姿勢で作業をしている
□何かに集中して没頭するとまわりが見えなくなりがち
□疲れると栄養ドリンクをよく飲む
□疲れると高カロリーのものを食べがち
□長時間のドライブでもあまり休憩をしない
□熱めのお風呂に長湯をするのが好き
□休日は遠くの旅先に足を延ばすことが多い
□いびきをかくと言われたことがあり、日中眠くなる
□趣味などで、つい夜更かししてしまうことがある
□ストレス解消のため習慣的に体を動かしている
□満員の電車やバスに乗って移動することが多い
□屋外で過ごす時間が長い
☆次回UPは12月23日。脳疲労改善のための具体的な方法を実践!