【1】アラフォーがむくみやすいのはなぜ?むくみの正体って何?
☆私が解説します!
横浜血管クリニック院長 林 忍先生
慶應義塾大学病院外科非常勤講師。血管外科専門医として下肢静脈瘤やリンパ浮腫などさまざまな血管の病気の診療を行う。
女性のお悩みとして多い「むくみ」。そもそも、むくみはなぜ生じるのだろう? アラフォーになると特にむくみやすくなる理由とは?まずはその原因を詳しく解説。
アラフォーの9割以上が、むくみを感じているという事実!
マリソル読者にむくみに関するアンケート調査を行ったところ、頻度や部位は違うものの、9 割以上の人がむくみを感じ、若いころより症状を感じている人が多いことが判明!(マリソル調べ)
女性ホルモンのバランスの乱れがアラフォーむくみの大きな原因
まず知っておきたいのが、むくみが起こるメカニズム。
「人間の体の約6割は水分で、その²⁄₃は細胞内に、¹⁄₃は細胞外にあります。細胞外の水分には血けっ漿しょうやリンパ液、細胞間を埋める間質液があり、これらの水分は細胞や血管を行き来して栄養を届けたり、老廃物を除去したりしています。通常は血管から滲み出る水分と、血管に戻る水分の量は一定に保たれているのですが、なんらかの原因で、血管から細胞間に出る水分が増えたり、血管からリンパ管に吸収される水分が減ると細胞間に余分な水分がたまります。これがむくみの正体です」
むくみには一過性のものとなんらかの病気が原因のものがあり、ほとんどの場合は一過性のものなのだそう。
「一過性のむくみは生活習慣に原因が。塩分をとりすぎて血液の塩分濃度が上がると体は濃度を薄めようとして水分をため込むのでむくみます。また、お酒を飲むと体の水分が失われ血液濃度が高くなるため体は濃度を低くしようとし、この時の余剰な水分がむくみになります。また、脚がむくむ人が多いと思いますが、脚の血液を心臓に押し戻す時にポンプとして働くのがふくらはぎの筋肉。長時間同じ姿勢で脚を動かさなかったり、運動不足で筋肉が減っていると筋肉のポンプが働かず血液が停滞し、むくむのです。そのほか冷えや栄養不足もむくみの原因です」
では、アラフォーになるとむくみやすくなる理由とは?
「女性は生理前に黄体ホルモンが分泌されると体に余分な水分がたまりやすいのですが、アラフォーになると女性ホルモンの減少に伴い、バランスが乱れるためむくみやすくなるのです。ただ、アラフォー以降のむくみは下肢静脈瘤という病気の場合もあるので症状がひどい人は放置せず早めに病院へ」
むくみの主な原因はコレ!
☆食事
塩分やアルコールのとりすぎは体内の水分バランスを乱し、むくみを招く。加齢でカリウムやカルシウム、マグネシウム、ビタミンB1、タンパク質が不足することも原因に。
☆運動不足
運動不足で筋肉が減ると、脚の血液を心臓に押し戻すポンプ作用がうまく働かず血液が脚に停滞してむくみに。筋肉は加齢によっても減少し、アラフォーのむくみはこれも原因。
☆冷え
体が冷えて血行が悪くなると脚の毛細血管まで血液が循環しなくなり、血液やリンパの流れが滞ってしまい、むくみにつながる。冬は体が冷えやすいためむくみやすい。
☆ホルモンバランスの乱れ
女性は生理前に黄体ホルモンの分泌量が増えると体に水分をため込みやすくなり、むくみやすくなるが、アラフォーになると女性ホルモンが減少してバランスが乱れるためむくみやすくなる。
【2】今日から始めるべきは"むくみを寄せつけない"生活
脚の筋肉を鍛える習慣をつけ、食事でむくみ予防成分の補給を
よく体がむくむという人は、ふだんの生活習慣に問題があるので、まずそれを改善すべき。
「脚がむくみやすい人は、運動不足などで脚の筋肉が減っている可能性大。よく歩くようにするだけでもいいので体を動かして脚の筋力を鍛えましょう。座り仕事など同じ姿勢が続く時も、時時動き回るようにしてむくみ予防を。かかとの上げ下げなどちょっとした運動でふくらはぎの筋肉が動けば、末端の血液が心臓に戻りやすくなるので仕事の合間などに取り入れましょう。マッサージをして滞った血液やリンパ液を流すのも効果的です。体を冷やさないこともむくみ予防には不可欠なので、湯船にゆっくりとつかる習慣をつけるのもよいですね」
また、偏った食事の改善も大切。脚の筋肉を鍛える習慣をつけ、食事でむくみ予防成分の補給を
「まず塩分やアルコールのとりすぎを控えましょう。ふだんから体内の余分な塩分を排出する働きのあるカリウムやカルシウム、マグネシウムを多く含む食品をとるようにするとむくみが防げます。血液の循環をよくするビタミンEが多い食品をとるのもおすすめです。また、タンパク質が不足するとむくみやすいので、ダイエット中などといった理由で肉や魚などのタンパク質を抜いたりせず、しっかりとりましょう。そもそも過度なダイエットは栄養の偏りを招くうえ、筋肉の減少も招いてむくみ体質になるのでNGです」
ストレスや睡眠不足も改善すべき。
「ストレスがたまっていたり、睡眠不足が続いたりすると、自律神経のバランスが乱れ、水分代謝機能も乱れてしまってむくみやすくなります。十分な睡眠をとるようにし、なるべくリラックスできる時間を増やしてストレスをためない工夫をしましょう」
■こんなあなたはむくみやすい!
□お酒をよく飲み、飲む量も多い
□味つけが濃い食べ物が好き
□体を動かすのが苦手で、運動をしていない
□冷たい飲み物や食べ物をよくとる
□立ちっぱなしや座りっぱなしでいることが多い
□過度なダイエットをしている
□肉や魚などは食べないようにしている
□睡眠不足が続いている
□一日に2ℓ以上、水分をとっている
□ストレスがたまっている
↓
☆多く当てはまった人ほどむくみやすい
上の項目は、すべてむくみを招く習慣。多く当てはまるほどむくみ度はひどくなりやすいので要注意。こんな習慣は早速今日から見直して。
<むくみを寄せつけない生活 POINT1>
体の「ポンプ機能」を強化する
脚の筋肉を鍛えると末端に滞っていた血液やリンパ液を心臓に押し戻す力が強まるので、下のような簡単にできる運動をこまめに取り入れて。着圧ソックスを利用するのもおすすめ。
<むくみを寄せつけない生活 POINT2>
24時間、体を冷やさない工夫を!
冷えはむくみのもとなので、とにかく冷え対策は万全に。冷えやすい環境で長く過ごす時は必ずはおりものなど衣類で保温を。また入浴は手っとり早く血流をよくできるので毎日の習慣に。
<むくみを寄せつけない生活 POINT3>
むくみを押し出す食生活を意識!
おすすめ食材はこれ!
カリウム含有食品
カリウムが多い食品は、昆布やワカメなどの海藻類のほか、バナナ、キウイ、アボカド、じゃがいも、ほうれん草、切り干し大根、大豆、納豆、小豆など。
ビタミンE含有食品
ビタミンEが多い食品はアーモンド、ヘーゼルナッツ、ピーナッツ、オリーブオイル、アボカド、ほうれん草、かぼちゃ、モロヘイヤ、卵、ごま、ウナギなど。
<むくみを寄せつけない生活 POINT4>
睡眠の質を上げる
一日、立ち仕事などをしていると重力で脚に余分な水分が停滞しがち。これを押し戻すのに睡眠は重要で、体を横にすることで下肢の水分が心臓に戻りやすくなる。脚を少し高くして寝るとさらにむくみが解消しやすくなりおすすめ。
【3】3ステップのディープリンパケアでむくみ体質を改善!
☆私が解説します!
RUBYZ代表 夜久ルミ子先生
薬剤師や鍼灸マッサージ師、CIDESCO国際エステティシャンなどの資格をもち、独自の「ディープリンパマッサージ」を確立
深層リンパへのアプローチで老廃物の排出が10倍以上に!
「リンパ管は体の表面近くの浅層のリンパと深層のリンパに分かれています。通常のリンパマッサージは体の表面をさっと流して浅層リンパだけに働きかけますが、浅層リンパは静脈の毛細血管の血流だけを利用してリンパ液を流すので排出できる老廃物はごく少量。これに対しディープリンパケアは深層部のリンパ液に働きかけます。まずストレッチをして筋肉内にある深層のリンパ管を刺激。次に詰まったリンパ節を刺激して開放し、最後に押し流します。深層のリンパ節が開くと浅層のリンパ液が深層に流れ込みます。深層では静脈だけでなく動脈や筋肉もリンパ液を押し流すので、浅層リンパの10倍以上もの老廃物を排出できます。ですからむくみにも効果抜群なのです」
3ステップで簡単だから、自分の気になる部位に合わせて取り入れてみて。
【ディープリンパケアの3ステップ】
STEP1 ストレッチ
まずストレッチをして筋肉内にある深層にあるリンパ管に刺激を与える。これにより、深層のリンパ液が流れやすくなる効果も。
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STEP2 リンパ節を開く
リンパ管の要所要所にありフィルターの役目をするのがリンパ節。ここが詰まっていると流れ全体が滞るので圧をかけて刺激して開放。
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STEP3 リンパを流す
リンパ節を開いたところで手で軽く押し流すと浅層リンパが深層に流れて、開いたリンパ節に流れ込み、老廃物が効率よく排出される。
【脚のディープリンパケア】
最も気になる脚のむくみを解消するには、膝裏やそけい部にあるリンパ節を開くのがポイント!
STEP1 ストレッチ
ストレッチで脚の筋肉を伸ばし、深部のリンパの流れを促進。膝裏や鼠蹊部のリンパ節も開きやすい状態に。
STEP2 開く
脚の重要なリンパ節は足首の中央や膝裏、鼠蹊部にあるのでここに圧をかけて開放。
STEP3 流す
最後に手のひらでリンパ液をリンパ節に向かって押し流すようにマッサージ。
【手のディープリンパケア】
リングが抜けにくくなって気づくのが手のむくみ。指の間や爪の脇などをよく刺激するのがコツ
STEP1 ストレッチ
スマホ操作などで意外にこり固まっているのが手。まずはストレッチでほぐして血流をアップ。
STEP2 開く
指は神経が走る第2関節の側面や、 爪の外側、指の骨のつけ根などを刺激するのが効果的。
STEP3 流す
手のリンパ節は手首の中央にあるので、指のつけ根から手首へと押し流して。
【お腹のディープリンパケア】
おなかのポッコリは脂肪でなくむくみの場合も。鼠蹊部や脇のリンパ節を刺激して。
STEP1 ストレッチ&開く
おなかの場合はストレッチとリンパ節の開放を同時に行うので2 ステップでOK。
STEP2 流す
最後はリンパ節のある鼠蹊部と脇へ流し、老廃物の排出を促進。
【顔のディープリンパケア】
起床時の顔のむくみが即効で解消するのがこの方法。耳の前後や鎖骨にあるリンパ節を刺激して
STEP1 ストレッチ&開く
顔もストレッチとリンパ節の開放を同時に行えるので簡単。
STEP2 流す
まずは耳の前後のリンパ節へ流し、最後に鎖骨の大きなリンパ節に流すのがポイント。