ほんの少し前まで「辞めるリスクのある人材」という認識とされていた女性社員がマネジメントの勉強も経験も積まぬまま役職が与えられるという時代となった。
私も漏れなく20代のころは「女は辞めるから評価はやらないよ」と言われて育った口で、そのことに「まあそうだよね」とおおむね納得していた世代。
それが数年経っても会社を辞める予定もなければ必要もない。制度上、男女の差はなく、仕事にも差がないことから業務実績を出すには出してきた。
しかし男性の昇進祝いはあっても女性のそれはまずなかった。
それなのに、だ。
政府の方針に右ならえで会社も面舵一杯。
いざ役職を与えられると、うれしい反面心の準備もできていなければ会社の基盤も準備ができていない。
これは困った。
役職だけもらっても、男が活躍するように会社組織というのはできている。
という女の叫びがまとめられている。
基盤を整える前に目標が先走りした結果、こういうひずみを生んでいるのだろうと思う。
会社でも家でも、おかれた立場を集中して全うできる女性は周囲の協力や環境が整っていないと難しいだろうという結論。
筆者が冒頭で言う。「女性活躍推進の真の目的は経済政策」なるほど、これは確かにそうなんだろう。
経済的にこの国に貢献できるかを考えた場合、会社にしがみついて役職をもらうことじゃあないね、という結論も出そうだ。
働き方が多様化してきている。
女性管理職の比率を上げることが女性活躍推進の真の姿ではないことが明確になったのなら、生き方も踏まえて自分の環境を踏まえた活躍の方法を考える時なのかなと逆に考えてしまった。
本書を読み始めた時、女性活躍推進の影で叫ぶ女にフォーカスが当たっており本書の落としどころが見えないなと思っていたが、「多様化のスタートはまずは女性から」ということらしい。
こうして何でもかんでも女性女性と冠がつく間はまだななめの存在なのかもなあと思いながら読了。
共感できる内容もたくさんあるので、なんとなく仕事や家事、またはその両立に疲れてる方にはおススメします。