読んでくれてる人がいるなんてアタイうれしい!
前回の「働く女性ほんとの格差」は、女性活躍推進法の影響で身辺があわただしくなった女性の叫びを学んだ。
今回の「日本型組織の病を考える」は、女性キャリアのトップオブトップの村木厚子さんの繁盛記。
マリソルでも特集してくれないかな、という素晴らしい本でした。
その後まもなく、郵便制度悪用事件で起訴されたが無罪を立証して厚労省に復職したという異形の方である。
女性が男女雇用機会均等法成立の前にキャリア官僚を目指す、というそもそもの発想がどこから来ているのか、またそうした時代に考えられるあらゆる横やりをかわしてきたその術、そして件の事件でも自分を信じた結果、無罪はおろか自分を起訴した検察の証拠捏造をつきとめて逮捕させるというウルトラCを決めてしまったその金メダル級のパワーを本書で知ることができた。
ご結婚が早く、30歳前には出産を終え、かつ同期と結婚した村木さんはシッターさんのフル活用と夫の家事協力によりキャリアとしての職務、転勤を断ることなくやり遂げる。
過程には単身で長女を帯同して転勤ということもご経験されているよう。
仮に今、私に転勤の辞令が出たら夫の心配性が加速し、半日と持たないため無理であろう。蛇足。
前回に続き、やはり女性のキャリアというのは
しがらみのない独身
夫の理解はそこそこでも実家の協力が得られる夫婦
夫が家事または育児に理解と協力が望める夫婦
または家事育児をある程度アウトソースできる財力のある夫婦
と、制限が大きくかかるのだろう。
これに加えて「女が頑張っても面白くないとは思わない夫」というファクターが加わる。
会社組織が寄与するのは休暇や手当等キャリア形成よりも働きやすい環境醸成に傾いたものが多いように思う。もちろんありがたいものではあるのだが、フルタイム、転勤、出張は当たり前のようにできて初めてキャリアを築けるという組織が現在の主流。制約がある条件下で個人の能力を活かせる方法でのキャリア形成、という組織・制度はなかなか定着しないもんなのかね。
頑張って行きたい学校に入ったのに結婚と出産で中断したキャリアは中断された時をピークに、以降育つケースはまだまだ少ない。
能力提供型よりも時間提供型がまだまだ主流。
村木さんは夫婦でキャリア官僚だからとにかく時間的拘束は長く、だが使えるお金はある程度確保できること、ご主人の考えができる人ができることをやるというナチュラルボーン公務員の考えの方のためキャリアをあきらめなくて良かったようだ。
女性のキャリア形成にはヒト・モノ・カネ・情報の「環境」がとにもかくにも大事だということを痛感する。
となると、環境=結婚と考えると相手選びこそ自身のキャリア形成に重要なファクターとなってくる。
後半は彼女の高校時代から公務員を決意した背景、そして現在の取り組みを紹介している。
ヘビーな内容だけど、とても面白くてすっと読めてしまった。
ものすごいキャリアの方だが、「名探偵コナン」が大好きなところ、ご家族とのほっこりしたやりとりなど合間合間に人間味が感じられて読んだ後のカタルシス効果はかなりのものがある。
法廷ドラマがお好きな方にもおすすめできるスピード感ある本。
多くの方におススメします。
本日は以上です。