★お話をうかがったのは…
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ヘア&メイクアップアーティスト AYAさん
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資生堂 清水沙耶花さん
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白鳳堂 岩崎沙希子さん
メイクの仕上がりも化粧品の持ちも、ツールの状態しだい!
そもそもお道具のお手入れは、なぜ必要? 「ブラシがメイク道具として最高のパフォーマンスをするために、またそのいい状態を長持ちさせるために、お手入れは不可欠です」(岩崎さん)。お手入れが行き届いているか否かは、使うコスメにも影響。「清潔なメイクツールを使うことで、皮脂などによって粉体同士が結合してしまう『ケーキング』を防止できます」(清水さん)。また、プロから見ると私たちのメイク悩みがツールによるものということもよくあるそう。「チークの苦手意識の原因がブラシの粉含みの悪さにあったり、ふわふわのスポンジでパッティングしただけで肌に透明感が出たり……お道具を整えることでメイクスキルもアップします」(AYAさん)。いいことずくめなツールのお手入れ。無頓着だった人も正しいケアを学んで今すぐスタート!
メイクへの安心と信頼を担保してくれるのがツール
「アシスタント時代から続くメイクツールのお手入れ手順は、少しずつ自分で工夫を加え、今のスタイルに落ち着きました」と話すAYAさん。「当時は先輩たちの道具を管理するという重責の中で、さまざまなタイプのタオルを試したり、時には自分のパフに柔軟剤を使ってふわふわに仕上がるか実験してみたり、試行錯誤を重ねました」。そんなAYAさんにとってメイクツールのお手入れにはどんな意味が?「私たちプロにとって、お道具のお手入れはメイク以前の“心構え”。そこをきちんと整えておくことが仕事への安心感や信頼感につながると思っています。それは日常の皆さんのメイクとも通じる気が。道具が整っていることで、肌への負担が減ったり、より美しい仕上がりがかなったり……キレイへの安心と信頼が、お道具によって確かなものになると思います」
【 1 】動物毛ブラシの正しい洗い方
天然の動物毛ブラシは石けんで洗う。おなじみのミューズを使用
【Step1】全体を洗う
ブラシも洗顔と同様、たっぷりの泡で洗うことが大事。ぬるま湯でぬらしたら親指でブラシを広げ、内側に泡をまんべんなく行き渡らせる。
【Step2】中を洗う
ブラシの内側に詰まった粉体を泡で押し出す動作を何度も繰り返す。洗面器のお湯に色がつかなくなってきたら、終了のサイン。
【Step 3】すすぐ
仕上げのすすぎの際にも柄の部分はぬるま湯につけないよう注意。毛量の多いブラシほど先端が広がりがちなので、形を整えながら絞る。
【Step4】タオルドライ
吸水性の高いタオルで包み込むように水気を取る。ここでもお花の蕾をさわるような感覚で、ブラシの先端をスーッと整える。
【Step5】平置きで乾かす
すべてのアイテムを「1秒タオル」の上にのせ、乾かしタイム。化繊ブラシや毛量の少ないブラシは約1日、毛量の多い動物毛ブラシは2〜3日乾かす。
【 2 】化繊ブラシの正しい洗い方
ファンデーションブラシやリップブラシなどの化繊毛は専用クリーナーで。スポンジクリーナーN198 120㎖¥750/資生堂
【Step1 全体を洗う】
クリーナーを手のひらに10円玉大程度出し、まずはサワサワッと優しく予洗い。そこから数回、同じ要領で色が出なくなるまで洗う。
【Step2 中を洗う】
今度はぬるま湯の中でブラシの根元を固定。毛先をバラつかせながら、中に詰まったリキッドファンデーションや粉体を出しきる。
【Step3 すすぐ】
再び手のひらにぬるま湯を取り、優しくサワサワッと先端をすすぐ。ここでもブラシの柄はぬるま湯につけないように注意する。
【Step4 タオルドライ】
最後にタオルで両面から押さえるようにして、吸水。この時も、ブラシ本来の毛流れを大切にしながら、タオルドライするのがコツ。
【Step5 平置きで乾かす】
すべてのアイテムを「1秒タオル」の上にのせ、乾かしタイム。化繊ブラシや毛量の少ないブラシは約1日、毛量の多い動物毛ブラシは2〜3日乾かす。
ブラシをふくタオルはホットマンの「1秒タオル」を愛用。押し当てるだけで瞬時に水分を吸水(本人私物)
【 3 】パフやチップの正しいお手入れ方法
パフ&チップは石けん洗い
チップやパフも固形石けんをたっぷり泡立て、基本は色が出なくなるまで洗う。洗い方はアイテムによって若干の差が!
チップは親指と人さし指でグイッと色を押し出す。
スポンジは片手でギュギュッと絞るように洗う。
パフは片手で包み込みながら指先でなで洗い。
【 4 】ビューラーやコームの正しいお手入れ方法
ウォータープルーフマスカラなど汚れが落ちにくいビューラーやコームもこまめに。ウェットティッシュや綿棒が活躍。
ウェットティッシュでふき取る。
先端にクレンジングを浸した綿棒でオフ。
【 5 】メイクツールのお手入れ方法Q&A
誰に聞けばいいのかわからず、なんとなく放置してきたメイクツールに関する小さな疑問。そのすべてをここでスカッと解消!
Q.ブラシの洗い時は?
A.〝気になった時が洗い時〞が正解です!
「ブラシの汚れが目立つ、粉含みが悪い、メイクの仕上がりがよくないと感じたら、洗いましょう。だいたいの目安は1 週間から10日くらい」(清水さん)。「道具のパフォーマンスが落ちてきたと感じたら、その時が洗い時です」(岩崎さん)
\こうなっていませんか?/
Q.ブラシの洗いすぎはダメ?
A.動物毛は特に使い込むことで「筆が育っていく」ことも
「ハードな洗いすぎは毛切れの原因に。特に動物毛は皮脂がなじんで使いやすくなることもあり、それを『筆が育つ』と呼んでいます。頻繁に洗うことよりも毎日のお手入れが大切。手のひらで毛先をはたいたり、タオルで余分な粉を落としたり。使用後だけでなく、使用前にも行うのがポイント」(岩崎さん)
Q.ブラシやパフ、ドライヤーや乾燥機にかけるのはアリ?
A.ブラシの劣化の原因になるので避けましょう
「下の写真を見てもわかるとおり、ドライヤーの熱を加えることで毛が傷み、材質や使用感が変わってしまったり、劣化が早まったりすることがあるので避けましょう。パフを乾燥機に入れるのも同様の理由でおすすめできません。紫外線も傷みの原因になるので、日陰で乾かすことも重要です」(清水さん)
\比べてみるとこんなに違う!/
Q.ブラシやチップの替え時は?
A.見た目や使い心地の変化を敏感に感じ取って
「変色、肌当たりが悪くなる、ブラシの毛先が広がる、毛が抜ける、パフの目が粗くなる、スポンジの弾力がなくなる、などを感じたら」(清水さん)。「ブラシやパフは洗わずに使っていると粉含みや肌あたりに差が。細部に注意を払うことでメイクも上達します」(AYAさん)
新品の状態
汚れた状態
こうなったらブラシやチップの買い替え時!
★INFORMATION
お手入れ方法を直接レクチャー!
白鳳堂のショップでは種類豊富 なブラシのラインナップが一堂に見られるほか、ブラシのお手入れに関する疑問にも専任のスタッフが親切に回答してくれる。