【1】糖質オフダイエットの5つのメリット
☆教えてくれたのは…
AGE牧田クリニック 牧田善二先生
糖質は体で脂肪に変わる最大で唯一の肥満の原因
アラフォーになってから、太りやすくなったと感じている人は多いと思うが、その理由はやはり代謝の低下。
「若いころは代謝が活発で体もよく動かすので食べても太りにくいのですが、加齢とともに代謝は落ちるので、食べたらそのぶん、太りやすくなってやせづらく、リバウンドもしやすくなります」と、肥満治療に携わる牧田善二先生。
牧田先生によると太ってしまう最大にして唯一の原因が〝糖質〟なのだそう。
「糖質は、ごはんやパンや麺、お菓子、甘い清涼飲料水など、ふだん私たちが最も多くとっているものに多く含まれています。糖質をたくさんとると血液中に糖が増え血糖値が上がります。するとそれを下げようとして〝肥満ホルモン〟とも呼ばれるインスリンが分泌され、これによって糖が肝臓や筋肉にとり込まれます。そしてエネルギー化されず余った糖は中性脂肪に変わり、脂肪細胞にたまります。これが太る仕組みです。血糖値は糖質が多いものをとるほど急激に上がり、余った糖がどんどん体脂肪になってしまいます」
太るのは高カロリーな油の多い食べ物のほうなのでは? と思うかもしれないが油は実は太らないそう。
「油はとっても体の脂肪になるわけではなく、食べすぎると便として出てしまい、あまり体に残りません。また、油には細胞膜やホルモンの材料になったり、肌や髪のうるおいを保ったりといった重要な働きがあり、減らすのはおすすめしません。それに対して糖質は体に100%吸収され、脂肪に変わります。つまり太る唯一の原因は糖質なのです」
例えばステーキランチとざるそばの場合、ざるそばのほうが太らないと思いがちだが、ステーキランチの肉と野菜でおなかをいっぱいにするほうがざるそばよりやせるのだそう。ただ、現代人の多くが〝糖質中毒〟なのだとか。
「太りやすい人や、太っている人のほとんどは〝糖質中毒〟です。糖質をとると血糖値が急激に上がり、しばらくするとその反動で今度は血糖値が急激に下がります。するとイライラしたり眠くなったりするため、また糖質がとりたくなってとってしまい、再び急激に血糖値が上がり……という悪循環に陥ります。こうして糖質がやめられない糖質中毒になるのです。これが続くと糖尿病にもなりやすいので注意」
糖質オフの方法は、糖質の多いものを減らせばいいだけなのでシンプル。
「糖質オフは、カロリーは気にしなくていいので細かい計算の必要はありませんし、肉も脂っこいものも食べてOK。お酒も種類に気をつければ飲んで構いませんし、外食も控える必要がありません。無理な我慢がいらないのでストレスがなくリバウンド知らず。血糖値が上がりにくいので太らず、大幅な体重ダウンも可能です。まず3〜4週間続ければ糖質中毒から抜けられ、その後は続けやすくなります。糖質オフは一時的なダイエットというより、糖尿病などの病気予防にもなる一生続けていい食事法なのでぜひ実践を」
【糖質とは】
糖質は、炭水化物から食物繊維を引いたもの。ごはん、パン、麺などの主食の原料になる米、小麦などの穀類に多い。甘いお菓子、果物、清涼飲料水などのほか、いも類やかぼちゃ、にんじんなど野菜の中にも糖質の多いものがある。
【糖質オフダイエットのメリット1】
糖質オフによるダイエットは、糖質を制限するだけでカロリーは気にしなくていいので、これまでのダイエットで必須だった面倒なカロリー計算をする必要がないので簡単でラク。
【糖質オフダイエットのメリット2】
控えめにするのは糖質だけなので、肉や油は自由に食べてOK。ボリュームたっぷりのステーキや、揚げ物、チーズ、ナッツなど、脂質が多いものも食べていいのでストレスフリー。
【糖質オフダイエットのメリット3】
通常のダイエットではお酒はタブーだが、糖質オフならワインや蒸留酒などの低糖質のお酒は自由に飲んでOK。休肝日を設けたり、量を減らす必要もなく、お酒好きにはうれしいかぎり。
【糖質オフダイエットのメリット4】
太りやすいと言われる外食や飲み会だが、糖質オフはメニュー選びしだいで外食でも飲み会でも実践できるので参加してOK。付き合いを断る必要がなく、楽しくダイエットができる。
【糖質オフダイエットのメリット5】
糖質オフをすると血糖値の上昇を抑えられ糖尿病予防につながる。また糖質をとりすぎると肌が"糖化"し、これが肌の老化も招くが、糖質オフをすればこれが防げて肌の若さを保てる。
【2】正しい糖質オフダイエットの基本ルール
糖質オフの方法はいたって簡単。糖質を減らす代わりに、ほかのものはしっかり食べるのが大きなポイント!
【糖質オフダイエットの基本ルール1】
まず、どれくらい糖質をオフするか以下の2つから選択。もうちょこっとだけ体重を減らしたい人や、最初から極端に減らす自信がない人はレベル1から始めて。増えすぎた体重の大幅ダウンを目ざす人は、もっと糖質を抑えるレベル2にトライ。
【レベル1】1 日の糖質量を100g以下にする方法。ごはんで言えば茶碗約2.2杯分。 少しは主食をとれるので比較的ラク
【レベル2】1 日の糖質量を60g以下に。主食を3食とも抜かないと60g以下に抑えにくいので厳しい方法だが効果は大。
【糖質オフダイエットの基本ルール2】
目標体重を決めて行うことも重要。右上の計算式で、自分の身長から美容体重を出してみて、それを目標にするのがおすすめ。糖質を減らすと体重が大きく落ちやすいとはいえ、アラフォーのマリソル世代は美容体重以上にやせると、やつれてしまい老化が加速するのでNG。
【糖質オフダイエットの基本ルール3】
食事はまず野菜や汁物から食べると血糖値の上昇が緩やかになり、満腹感も得やすい。次 に肉・魚・卵などのタンパク質をとり、主食を最後にすれば自然と主食の量が抑えられる。
【糖質オフダイエットの基本ルール4】
肉や魚、卵、大豆食品などのタンパク質は減らさずにとること。油も血糖値を上げないのでとってOK。特にオリーブオイルは血糖値の上昇を抑える効果があり◎。お酒もワインや焼酎、ウイスキー、糖質オフビールならOK。
【糖質オフダイエットの基本ルール5】
糖質を減らしてもカロリーは減らさないように、タンパク質、野菜(いも類や根菜類、かぼちゃを除く)、きのこ類、海藻類をしっかりとって。果物は基本的に糖質が多いのでNGだがアボカドは糖質が少ないのでOK。調味料にも糖質が多いものが多いがマヨネーズはOK。おやつは甘いものは避け、ナッツ類やチーズなどに。
【3】朝食で糖質オフする方法
忙しいアラフォー世代は、朝あまり時間がなく朝食を抜く人も少なくないかもしれないが、ダイエットのためには何かしら口にするべき。1 日のうちでは糖質をとっても脂肪に変わりにくい時間帯ではあるので、血糖値を急上昇させないようにうまく糖質をとるのがポイント。
①朝イチの野菜ジュースはNG
野菜ジュースには糖質が多く血糖値を急上昇させるので朝イチで飲むのはNG。特に果物やにんじんを多く使っているものは糖質が多め。飲むなら糖質が少なめのものに。果物はどうしても食べたいなら朝がおすすめ。ヨーグルトなどタンパク質と一緒にとって。
②ごはんやパンはとってもOK
主食をある程度とるレベル1 の方法の場合は、ごはんやパンを朝か昼にとるのがおすすめ。夜は食べたものが脂肪に変わりやすい時間帯だが、活動量が多い朝や昼は食べても比較的太りにくい。
③朝食は抜かずに必ずとる
朝食を抜くと前日の夕食から昼食までの時間が開きすぎてしまい、体が脂肪を蓄えようと働いてしまって昼食を食べた時にドカンと血糖値が上がり、太りやすいのでNG。簡単に食べられるものでもいいので必ずおなかに何か入れること。
④タンパク質を積極的にとる
体を作るのに不可欠なタンパク質は不足しやすいので、朝からしっかりとるのがおすすめ。納豆や卵、豚汁などは朝のタンパク質補給にぴったり。タンパク質をとると体温も上がりやすくなって1 日活動しやすくなる
【4】昼食で糖質オフする方法
働くアラフォー世代の昼食は、手作りのお弁当や、コンビニ、外食の場合がほとんどだと思うが、そんな状況でも糖質オフは可能。何げなく選んでいる食品が糖質のかたまりだったりすることもあるので、選び方のコツを覚えておこう。
①糖質をとるなら昼に最も多めに
どうしてもごはんやパンや麺が食べたい場合、食べたものが比較的脂肪に変わりにくい昼に一番多めにとってうまく発散を。ただし市販の弁当のごはんは、茶碗1.5~2杯分も入っているので全部食べると糖質オーバーに。完食しないこと。
②単品メニューは避ける
カレーライスやそば、パスタ、丼物などの単品メニューはほとんどが糖質のものが多いので避けるのが正解。肉や魚などタンパク質のおかずを主菜とし、汁物や野菜などがついた定食を選んで、ごはんを最後に食べ、半分残すのが太りにくくおすすめ。
③コンビニ商品の隠れ糖質に注意
昼食をコンビニで買う時、隠れ糖質に注意。弁当類には、煮物、揚げ物(衣に糖質が)、ポテトサラダ、ごはんなど糖質が多いものが意外と多く、これを選ぶと糖質とりすぎになってしまう。選ぶならサラダチキン、ゆで卵、サラダなどタンパク質や野菜を中心に。
④スープ選びにも気をつけて
スープを選ぶ場合、コンソメスープなら糖質少なめだが、クラムチャウダーやポタージュには小麦粉が使われ、糖質が多め。選ぶならコンソメに。またヘルシーなイメージのある春雨スープだが、春雨の原料はデンプンで高糖質なので気をつけて。
【5】夕食で糖質オフする方法
食べたものが最も脂肪に変わりやすい夜は、糖質の量を減らしたほうがいい時間帯。夕食を家で食べる場合は、主食は抜くのが正解。外食や飲み会の場合も、以下のようなコツで糖質の大幅カットができる。
①ワインは◎。ビール、日本酒はNG
すすめはワインで、飲んでもほぼ血糖値が上昇しない。糖質を含まないウイスキー、ジン、焼酎もOK。避けるべきは糖質が多い、ビール、カクテル、梅酒、日本酒。
②シメのごはんや麺はカット
お酒を飲むとつい最後に、おにぎりやお茶漬け、ラーメンなどシメの炭水化物をとりたくなるものだけれど、食べたものが脂肪に最も変わりやすい夜は控えるべき。肉や魚などのタンパク質や野菜を食べて満腹感を高めて、シメはナシに。
③居酒屋は糖質オフの強い味方
実は糖質オフをしやすいのが居酒屋。焼き鳥や刺身、焼き魚、枝豆、冷ややっこなど、糖質が少なく食べてOKなメニューの宝庫なのだ。こういったおつまみを中心に選んで、お酒の選び方にも気をつければ、思う存分飲んで食べても太りにくい。
④メニューしだいで大幅糖質オフ可能
洋風居酒屋でも選び方しだいで大幅に糖質カットが可能。左上のようにペスカトーレ、ピザ、クリームコロッケ、ビールという組み合わせだと糖質量は100.5gにも。でも下のようなタンパク質中心のメニューを選べば糖質量を93.3gもカットできる。メニュー選びを工夫して。
【6】間食・おやつで糖質オフする方法
昼食から夕食の間は食事の間隔があき、空腹感を感じる時間。空腹を我慢すると体が飢餓状態になり、脂肪を蓄えようとして太りやすくなるので間食はむしろとるのがおすすめ。甘いものやスナック菓子などはNGだが、糖質が少ないおやつを選んで小腹を満たして。
①糖質が少ないおやつはコレ
おやつを食べる場合、ケーキ類や菓子パン、クッキー、スナック菓子などは糖質が多いのでNG。糖質が少なくおすすめのおやつはナッツ類、チーズ、ハイカカオのチョコレートなど。血糖値が上昇しにくく栄養を補うこともできるうえ、嚙みごたえもあるので満足感も高い。タンパク質がとれるゆで卵やヨーグルトなどもOK。
②ドリンクは甘くないものに
せっかく糖質が少ないおやつを選んでも、飲み物に糖質が多いものを選んでいたら意味なし。コーラや缶コーヒー、フルーツジュース、ミルクココアなどは糖質が多いのでNG。ブラックコーヒーや紅茶、豆乳、ハーブティーなど無糖のドリンクを選んで。
③パンならタンパク質がとれるサンドイッチを
小腹がすいてどうしてもパンが食べたくなったら卵やツナなどタンパク質がとれるサンドイッチなら比較的血糖値が急上昇しにくく栄養補給もできてベター。最も避けたいのは菓子パン。例えばメロンパンは1 個の糖質量が約60gも! 菓子パンは糖質のかたまりなので避けること。
【7】糖質オフダイエットのQ&A
会食が続いた場合、出張先の場合、運動をする場合など、糖質オフに関するさらなる疑問に牧田先生が回答!
A .翌日は糖質量を極限まで抑え、ビタミンB₁の補給を
「会食が続いて、どうしても付き合いで糖質を多めにとってしまった場合、翌日は糖質量を極限までカットして帳尻合わせをしましょう。それに加え、糖質の代謝を促すビタミンB₁をしっかりとるのが効果的。豚肉や枝豆などビタミンBが多い食品をとりましょう」
A.食物繊維不足で便秘になりやすいのでしっかり補給して
「これまでごはんやパンなどの炭水化物を多くとっていた人がそれをやめると、食物繊維不足になり便秘になりやすくなります。これを防ぐために、野菜やきのこ類、海藻類など食物繊維が多い食品をしっかりとって食物繊維を補い、水分もたっぷりとりましょう」
A.NO! 減らさずに食べると太ります
「GI値とは炭水化物が分解されて血糖値が上がるまでの時間のことです。このGI値が低ければ糖質も気にせず食べていいと思いがちですが、それは間違い。例えば白米よりGI値が低い玄米も、100gあたり約34gの糖質を含んでいて、これは角砂糖約8.5個分に相当。つまり糖質が多いのに変わりはなく血糖値は上がるので、減らさずに普通に食べていると太ってしまいます」
A.食後すぐに運動をすれば太りにくく
「どうしても我慢できず、糖質をとってしまった時は食後にすぐ運動をすることです。食事をすると血糖値がどんどん上がり、通常60分後にピークを迎えます。このピークの前に運動をすればとった糖がすぐにエネルギー源として使われ、脂肪に変わるのを防ぐことができます。運動といってもちょっと歩幅を大きくして早歩きするだけでもいいので、出張先でもできますよ」
A.糖質が多い和食は避け、イタリアンやフレンチに
「和食はヘルシーというイメージがあると思いますが、実は砂糖、みりん、酒などの糖質が多い調味料を使ううえ、ごはんはもちろん根菜類も糖質が多め。ですから和食は避けましょう。肉や魚や野菜に、血糖値の上昇を抑えるオリーブオイルやワインもとれるイタリアンやフレンチが◎」
A.腎臓障害や膵炎、糖尿病の人、やせすぎの人は避けましょう
「腎臓障害がある人や、活動性の膵炎の人は避けてください。経口血糖降下剤やインスリン注射をしている糖尿病の人も、まずは主治医に相談を。また、過激なダイエットをして筋肉量が著しく減っているやせすぎの人もNG。まずはタンパク質と糖質の量を増やすなど体に必要な栄養をとりましょう」
A.糖質がなくても脳は問題なく働きます
「糖質がないと脳が働かないと言われていますが、それは誤り。健康体であれば一時的に血糖値が下がっても筋肉細胞や肝臓に貯蔵されたグリコーゲンが再びブドウ糖に戻されて脳のエネルギー源になり、それが底をついても脂肪がエネルギー源となりケトン体が生じ、これで脳は働きます」
A.やせたい人は運動前後も糖質をとらないほうがいい
「長距離のマラソンをしている人や、筋肉を太く大きくしたいアスリートの場合は運動前後に糖質をある程度とるべきですが、ダイエットをしたい人は別。運動前後に糖質をとるとそれが優先的にエネルギー源として使われてしまい、脂肪が燃えずやせられないので、糖質はとらないでおきましょう」