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「窮地に立たされている 夫の役に立ちたいけれど……」【40代お悩み相談】

みうらじゅんさんと辛酸なめ子さんが、40代のお悩みに独自の視点で回答! 今回は、「夫の役に立てないのが心苦しい」という方からのお悩みです

【今月のお悩み】「仕事で窮地に立たされている夫の役に立ちたいけれど……」

夫は朝から晩まで休みなく働き、過労死するのではと心配。数カ月前、部下の責任を取らされて大幅な減俸になりましたが、仕事量は増える一方。転職を望んでいても41歳という年齢の壁があり、書類審査で落とされることがほとんどで、うまくいきません。私は体が弱く、フルタイムで働けないので経済サポートもできない。夫の役に立てないのが心苦しい。私にできることは何でしょうか。
(千葉県・けい・43歳・専業主婦)
「窮地に立たされている 夫の役に立ちたいけれど……」【40代お悩み相談】_1_1

☆辛酸なめ子さんの回答

疲れて帰ってきた時は、お風呂に温泉の素を入れておいてもらえるだけでもうれしいもの。家を徹底的に癒しの場とすれば、毎日良質な眠りでご主人はリフレッシュできます。自宅パワースポット化を目ざしていただけたら幸いです。


☆みうらじゅんさんの回答

ダンナさんが求めているのは「お疲れさま」のひと言。 言葉担当でお願いします!

 結婚されて何年になるのかわかりませんけど、ダンナさんのことを心配できるなんて本当いいですね。どんなに裕福でも夫婦関係が冷めていちゃ、何のための結婚かわかりませんから。

 でね、けいさんのその優しさでダンナさんを癒したいなら、経済的サポートよりも「お疲れさま」のひと言じゃないですかね。どんな仕事をしてる男でも「お疲れさま」と声をかけられると抜群にうれしいですからね。
 男が、わざわざ高いお金を払ってクラブとかスナックに行くのは(あるいは愛人のもとに通うのは)、お姉さんたちが「お疲れさま」と言ってくれるからです。そうやって男を最高の家に帰ったような気分にさせるのが彼女たちの仕事。水商売って、それで成り立っているといっても過言じゃないでしょう。

 たぶん、けいさんも言ってらっしゃるとは思いますが、ダンナさんはまだちょっと足りないと思ってるのかもしれません。で、「疲れた」と言って催促しているんじゃないでしょうか。

 所詮、夫婦は他人だから、相手をねぎらう気持ちは言葉にして、しかも大げさに言うくらいじゃないと伝わらないんじゃないかな。ですからけいさんは家庭内の言葉担当に徹して、ダンナさんに優しく「お疲れさま」と言ってあげてください。これは、けいさんが無理をして外で働く何十倍ものサポート力がありますよ、きっと。

 あと、同じ男としてちょっと思うことがありまして……。ダンナさん、本当にお疲れなんでしょうか。本当に疲れてる時って「疲れた」とも言えないような……すいません。あくまで推測ですが。
 ではなぜ、人は「疲れた」と言うのか。実は、外で楽しいことがあった時もね、それが後ろめたくて言う場合もありますから。例えば地方出張に行くとけっこうおいしいものを食べたりすることもあってね。でも、家に帰って「いやあ、昨日、すっごく高級なカニ食べてさあ。うまかったんだ」なんて言ったら、きっと奥さんはムッとして、「あらそう」とか「何、私にはおいしかった話だけ?」と言うんじゃないですかね。とたんに機嫌が悪くなる。

 女の人は気づいてるかどうかわかりませんが、世界は女の人の機嫌で回っているんです。男は、奥さんや恋人がご機嫌であってくれたら、それでいい。外で神経すり減らしているのに、家に帰ってまた奥さんのご機嫌を取るなんて、それこそ疲れちゃいますよ。なので、ひょっとするとダンナさんは仕事やその他のことで楽しい思いをしたことがあっても、気を遣って「疲れた」ってことにしてませんかね?
 たいていの男は、自分の仕事より家事や子育てのほうが何倍も大変なことを知っています。だから、楽しい気分だったとしても、家の10歩くらい手前から暗い表情をつくって、「疲れた」と言いながら家の中に入っていく……。

 まあ、その場合でも、けいさんの優しい「お疲れさま」はダンナさんに効くと思いますよ。申しわけなくて「疲れた」と言えなくなるんじゃないでしょうか。
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    ●JUN MIURA: イラストレーターなどなど。「マイブーム」「ゆるキャラ」など数々のブームを生み出す。『みうらじゅんと宮籐官九郎の世界全体会議』(集英社)が大好評発売中!

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    ●NAMEKO SHINSAN: 漫画家、コラムニスト。巫女的な感性でアイドル観察からスピリチュアルまで、あらゆる事象を取材。近著に『辛酸なめ子の世界恋愛文學全集』(祥伝社)などがある

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撮影/露木聡子 ヘア&メイク/木下 優(Rossetto/辛酸さん)取材・文/鈴木裕子(みうらさん)

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