「入団8年目。新たなステージの 幕開けの予感がしています」月組 暁千星さん

【宝塚スターインタビュー】第10回は月組 暁 千星さんです
月組 暁 千星さん

体格はいいのに顔は幼い。アンバランスな自分がずっとコンプレックスだった

「最後の新人公演『エリザベート─愛と死の輪舞─』で主演を務めさせていただいた時はとにかく必死で。洋服のことを考える時間もなく、洗濯ずみのシャツを探して着るような毎日。大好きなファッションを楽しめる余裕が生まれたのは最近の話なんです(笑)」

 華やかな存在感と実力で早くから重要な役をまかされるように。その傍ら、宝塚と東京の各公演期間中に一度だけ行われる新人公演(※公演中の演目を入団7年目までの生徒だけで演じる)で主演を何度も経験。本公演の舞台に立ちながら新人公演でも責任を担う、多忙な日々を送ってきた暁さん。
「こういう取材で、聞いていただくたびに困ったのが“趣味はなんですか?”という質問。当時の私は常にいっぱいいっぱいで、舞台以外のことに興味をもつ余裕が本当になかったんです」

 入団8年目を迎えた今年、新人公演を卒業。時間や心に余裕が生まれつつある今は、その質問の答えにも困らなくなった。「興味の幅が広がり、いろんな自分を発見したい気持ちが高まっているのを感じている」と微笑む。
「例えば、映画や本。以前は出演する作品にまつわるものしか見る余裕がなかったのですが、それとは関係ない作品も今は楽しめるように。ミステリー好きの私がふだん読まないような本もまわりにすすめられるまま読んでみたりして」

 5歳からバレエを習い始め、一時期は本気でバレリーナを目ざしたことも。しかし「中3で今と同じ172㎝になってしまった」という高身長を理由にその道を断念。そんな時、出会った新たな夢が“宝塚歌劇団の男役”だった。
「宝塚には教科書がないので、最初は試行錯誤の連続でした。そんな歩みの中で痛感したのが“ほかの誰かになることはできない”ということ。例えば、私はシュッとしたクールな男役に憧れていたので、このベビーフェイスがずっとコンプレックスだったんです。でも、
顔を変えることはできないので(笑)、体格はいいけど顔は幼いというアンバランスさを武器に変え、可愛らしさの中に男らしさが光るようなギャップを強みにしていけたらいいなと。今はそう考えるようになりました」

 最近も『夢現無双─吉川英治原作「宮本武蔵」より―』で演じた吉岡清十郎の男らしさが話題に。素顔はおっとりチャーミングな彼女だが、舞台上では雄々しさを増すばかり。しかし、そんな自分に満足することなく、暁さんは目の前にある課題を次々と口にする。
「何かにフォーカスを絞り全力を注いでいないと頑張れていない気がして。“今のままで大丈夫?”と不安になってしまう性格なんです。ダラ〜ッと過ごす時間や長期休暇も不安になるので苦手。家でもやることがないと急に腹筋を始めたりしますからね(笑)。以前はそ
の対象が宝塚だけに向いていたけれど、余裕が生まれた今は自分自身にも向いている。自分の人生を育てることは男役を育てることにもきっとつながる。これからもいろんな世界を見て経験して、成長していきたいと思っています!」

【この記事はMarisol 2019年8月号より掲載されたものです】

Profile

あかつき・ちせい●2012年、宝塚歌劇団に入団。その後、月組に配属。新人公演主演を4回務め、17年、『Arkadia―アルカディア―』でバウホール初主演。以前は少年や青年役が多かった彼女だが、最近では大人の男を演じる機会が増え、ぐっと男らしく。成長目覚ましいその姿にさらなる注目が集まっている


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©宝塚歌劇団
ミュージカル史に残る名作を"宝塚歌劇バージョン"に再構築。今年1月に大好評を博した作品が、新たなキャスティングで再登場。大都会ニューヨークに降り立った若き海軍水兵たちのつかの間の恋と冒険を描き出す。主演:珠城りょう、美園さくら 7/27〜8/12:梅田芸術劇場メインホール

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