さて、今週ピックアップするマンガ『町田くんの世界』は、肉食系ラガーマンとは正反対のポジションにいる高校生の町田くんが活躍する物語です。町田くんは、運動も苦手なうえに、テストも赤点。見た目も地味系で、キラキラ度ゼロ。少女マンガの主人公としては、ありえへんキャラです。
そんな彼の唯一の長所といえば、「人間が好き」というところ。人に興味があるから、周囲の人のことをとてもよく見てるし、自分のことのように考えられるんですね。だからクラスメートが悩んでいるとき、家族が困っているとき、救いの手を差し伸べることができるんです。町田くんに心のツボを押された人は、やがてみんな彼のファンになっていきます。
そんな中のひとりが、同級生の猪原さん。すごい美人で成績も優秀ですが、中学生のときにイジメられた過去を持つ彼女は人間不信で、授業もサボりがち。そんな彼女も町田くんのやさしさに触れ、次第に心をひらき、やがて町田くんに惹かれていくのでした。
じつはパクチー先輩は、世の中、斜めに見ている歪んだタイプなので、町田くんのような人が本来は苦手。いやいや、他人にそんなわかったふうな口をきいてほしくないとか、偽善的だわーとかとか、突っ込みたくなるわけですが、町田くんはちょっと別もの。彼は人づきあい以外は、からっきしダメな人間で、要領が悪くて、不器用なんですよ。「町田くんもいろいろ苦労してるんだなあ」と思うと、そのやさしさがホンモノのように感じられるのでした。
何より周囲の人にとって、町田くんのような人がどれだけ心の支えになることか……。そういえば私の友人S子は、現在、小学生の息子を子育てしていますが、「勉強も運動もそこそこでいい、とにかく『大丈夫?』と人に話しかけることができるように息子に教えこんでいる」と言っていました。「これが言えるようになったら将来、絶対モテるようになるから」と……。未来の町田くんを育てているようです。すごいぞ、S子!! 一家にひとり、ぜひ町田くんを!!
それでは、試し読み、どうぞ~!