というわけで、今週、ご紹介するのは、岩岡ヒサエ先生のヒット作『孤食ロボット』です! ちょっと変わったタイトルですが、孤食ロボットとは、単身者が健康的な生活を送れるように、自炊をサポートしたり、外食のメニューをアドバイスしてくれる小さなロボットのことです。
しかもこのロボット、売り物ではありません。食品総合会社「○×(マルバツ)フードカンパニー」の加盟店で、買い物したり、食事したりして、3000ポイント貯まるともらえるという景品。しかも単身者の人にだけ届けられるという、ちょっと変わったシステムです。
ひとり暮らし経験者ならわかると思いますが、よっぽどマメでない限り、食は相当おざなりになっていきますよね。作品に登場する人たちもそうで、仕事が忙しくて、毎日のように外食してる女性デザイナーや、妻に先立たれて、毎日、宅配弁当を食べているおじいさんなど、まさに味気ない食生活を送っている人がほとんど。
そんな家にやって来ては、「塩分とりすぎ」だの、「同じものばっかり食べている」だの、口うるさくロボットが言うものだから、最初はみんな面食らって、うっとうしく思うのですが、ロボットの細やかなサポートを受けるうちに、彼らの心も次第に解きほぐされていきます。そして食生活だけでなく、人生にも潤いを取り戻していくという心温まるストーリー。
もちろん毎回、レシピや作り方が初心者でもわかるように親切に描かれていて、マンガを読んでいると、つい作りたくなっちゃいます。1話読み切りのオムニバス形式で綴られているのも読みやすくていいんですよね。
さらに孤食ロボットにもそれぞれストーリーがあって、記憶を消されてしまったり、持ち主に虐待された過去をひきずっていたり……。そういえば以前、知人が動物愛護センターから犬を引き取ったことがあったのですが、前の飼い主に虐待されていたそうで、「シャカシャカと音のするパーカーとかを着ると、犬が異常に怯える」と言っていたのを思い出しました。うーん、切ない。
ちなみにパクチー先輩が大好きだったエピソードは、『小橋さんと豆腐の白あえ』。お話も泣けたけれど、白あえがめっちゃおいしそうで、つい作ってしまいました!!
それでは、試し読み、どうぞ~!!
漫画大好きライター。女性誌や男性誌でインタビューやカルチャー企画を担当。手塚治虫の「W3」でマンガ愛に目覚める。「パクチーが持つ効能のように、みなさんの体内の毒素を排出してくれるような漫画を紹介していきたいと思います」