実業家サミュエル・コートールドが収集したコレクションを核に1932年に設立されたコートールド美術館に展示されている印象派・ポスト印象派の作品が鑑賞できます。
主な展示として、日本の風景のようだと語られたファン・ゴッホによるアルルの風景《花咲く桃の木々》、19世紀後半の近代都市パリの風俗を映すルノワールの《桟敷席》やマネの《フォリー=ベルジェールのバー》、科学調査が作品の秘密を解き明かしたゴーガンの《ネヴァーモア》やモディリアーニの《裸婦》など絵画・彫刻約60点。
一番の目当ては1882年に制作されたマネ最晩年の傑作《フォリー=ベルジェールのバー》の鑑賞。
当時パリで最も大きな劇場であったフォリー=ベルジェールにあるバーを描いたもの。
中産階級から上流階級まで様々な人が集い、キャバレーやバレイ、アクロバット、パントマイム、サーカスを楽しんだ場所です。
その楽しげな雰囲気とは対極的に、この絵に描かれたバーメイドの表情は上の空で物憂げ。
その背景としては、この場所は売春婦を買う秘密の場所としても有名であり、そのような時代背景が女性の表情を通して暗に表現されているのかもしれません。
マネは《草上の昼食》や《オランピア》でも同様の暗喩をしています。
絵画左端のワインボトルにマネのサインがあるので、実際に見に行かれる場合は見てみてください。