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「私は“優等生”なんかじゃない。稽古場ではいつだってダメな自分と戦っている」星組 礼 真琴さん

【宝塚スターインタビュー】第12回は星組 礼 真琴さんです
星組 礼 真琴さん

星組のトップスター就任。 正直、不安でいっぱいです

「就任が決まった時、まず感じたのが、ズシンと重い物がのしかかってくる感覚でした。自分にできるのだろうか、いや、やらなければいけないんだと……。正直、喜びやうれしさで浮き足立つような感覚は、一切ありませんでした」

 前トップスターの紅ゆずるから“重いバトン”を受け取り、10月14日付で星組のトップスターに就任。その直前に行った今回の取材。
「心が追いつかないまま、すべてが動き出して。責任感と不安に押しつぶされそうな日々の中、しだいに〝その日〟が現実になっていくのを感じています」

 歌も踊りも芝居もできる、その才能と実力を武器にスターへの階段を駆け上がってきた。早くから大役をまかされ、どんな壁も軽々と乗り越える、礼真琴を評する時に多くの人が口にするのが“優等生”という言葉だ。そんな彼女にとっても、トップスター就任は大きすぎるほどに大きい出来事。
「なぜか、なんでもできる無敵艦隊のように思われてしまうことが多いのですが、全然そんなことないんです。稽古場ではもがいてばかり。泣き虫ですし、メンタルも弱いし、自信があるとしたら“できるまであきらめない”負けず嫌いな性格だけ。自分で言うのもなんですが、これでも努力をしてきているんです(笑)。なのに“優等生”と評されてしまうのは……人に頼るのが苦手、弱音を吐くのも苦手。自分のことをあまり話さない私の性格もあるのかもしれません。まわりからすると、ひとりで解決しているように見えるのかもしれませんが、本当は苦しい時や助けてほしい時も多々あるんです……」

 その裏側には、注目を浴びているからこそ簡単に弱音を吐くことが許されない、スターならではの現実も。そんな礼さんの歩みをそばで見てきた、柚希礼音、北翔海莉、紅ゆずる。元星組トップスターたちが彼女にかけた言葉が「自分ひとりで頑張っても意味がない。頼れるところは、頼ること」だった。
「その言葉に続いたのが“ひとりで頑張らなくてもいいんだ、まわりにこんな頼もしい仲間がいたんだと、気づける時が必ずくる”でした。でも、最初はやはり皆さまに納得してもらえる姿を披露しなければいけませんし、頑張らなければいけない」

 そんな礼さんの力強い同志が花組の次期トップスターに就任が決まった柚香光さんだ。これまでも同じような道を歩み、今はまさに同じような状況下に。「言いたいこと、思っていることが目を見ただけで伝わる」と笑う。不器用ゆえにひとりで戦うことも多かった。でも、そばにはそんな自分を気遣い支えてくれる人も必ずいた。そのありがたみを誰より知っている彼女だからこそ、最後にはこんな言葉も。
「今の私がなにより“怖い”と感じているのが自分の存在が変わってしまうこと。できることなら、大好きな星組の皆さんやファンの皆さんとの距離感や関係性を変えたくない。遠い存在ではなく、身近な存在であり続けたいと思っています」

【この記事はMarisol 2019年12月号より掲載されたものです】

Profile

れい・まこと●2009年、宝塚歌劇団に入団。その後、星組に配属。13年、『ロミオとジュリエット』で新人公演初主演を務める。その才能で早くから注目を集め、演技力の幅広さから女役も経験。そして2019年10月、ついに星組トップスターに就任した

NEXT STAGE

フレンチ・ミュージカル『ロックオペラ モーツァルト』

「私は“優等生”なんかじゃない。稽古場ではいつだってダメな自分と戦っている」星組 礼 真琴さん_1_2
©宝塚歌劇団
新たな星組トップコンビのお披露目公演は、世界各地で上演されてきた人気作。35歳でこの世を去ったモーツァルトのドラマティックな半生をミュージカルとして描き出す。主演:礼真琴、舞空瞳 11/20〜27:梅田芸術劇場メインホール 12/3〜15:東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)

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