坪田あさみ エディター・ライター
「私に似合うのはこういう色」「こういう服が自分らしい」という経験値は時に正しいですが、年齢を重ね、肌や髪やスタイルがどんどん変わるアラフォー世代にとっては必ずしもそうとは言えません。
アラフォー世代はこれまでの服がなんとなく似合わなくなってしまうモヤモヤ期でもあり、おしゃれが楽しくなくなってしまう人も多いようです。
さらに「若作りに見えかねない」「体のラインが恥ずかしい」と自らストッパーをかけ、ますます選択肢を狭めたり、昨今の安心感の強いベーシック服流行りと相まって「いつも同じような無難な格好の人」になってしまうことも。
そうした悩みを時々相談されることがありますが、私が思う回答は次の3つです。
1/あなたがこれまで着たことのない服は世の中にまだたくさんあります!
2/若い頃に似合わなかったものが逆に似合うようになることがあります!
3/新しいものに挑戦するならアラフォーのうちから!
というもの。
前置きがひたすら長くなってしまいました(笑)。そんな私が最近購入したアイテムは、最初の写真のジャンプスーツです。
今冬シーズンからちらほら見かけ、20年春には大人向けおしゃれブランド各社から多くリリースされているジャンプスーツ。
私はギリギリコンビネゾンぐらいは何着か持っていましたが、袖までついてるジャンプスーツは「トイレが面倒でしょ」というオバさん的発想から躊躇していました。
着てみてわかったのはジャンプスーツが面倒なのはトイレだけです。そこは正しかった(笑)。その代わり着用感はすごく楽ちん。お腹周りに締め付けはないし、一枚でコーディネートが完成するワンピースのようなものだからインナーに悩まず朝もすぐに出かけられます。切り替え場所によっては脚も長く見えます。
そして、ツイード仕立てのマニッシュかつ女らしい今どきなデザインのおかげで、昔のヤンキー感は皆無。むしろ若い子より大人の方が似合うと感じるぐらいです。昔はこういうアイテム、なかったですよね。
▲ジャンプスーツは後ろ姿がポイントです。ウエストが高い位置で切り替えられているので脚が長く見えるというメリットも。パンツ丈はヒールを履いてジャストになるよう7cm長くお直ししました(大柄さんあるある)。
出かけた初日は鏡に写った自分の姿を見て、「インにハイネックを重ねた方がいいのかな?」と不安になり、店に飛び込み白いハイネックシャツを買ってみたり、「靴はフラットの方がいい?」と鏡の前でにらめっこ。どんな丈のアウターを合わせたらいいかも最初はよくわかりませんでした。
そして気がついたのは、ベーシック流行りの昨今では、なかなかこうしたおしゃれの筋トレをしていなかった、ということ。
旧知のアイテムの増加はあっても、どう着こなしたらよいかわからないアイテムにあえて手を出すこと自体少なくなっていたのかもしれません。
そしてアラフォーの私たちにとってよくないと思うのは、「これこそが自分らしい/らしくない」という思い込みではないでしょうか。
38歳の時に似合わなかったものが、43歳でまた似合うようになることもあります。
肌質も髪型もメイク法も、トレンドもシルエットも何もかも変化し続けている中で、「似合う/似合わない」だけがいつまでも変わらないということはないはずですよね。
実際、私も30代後半はカーキがすごく似合わない気がして避けていましたが、今またしっくりきています。そんなこともあるんです。
いろんな要素が組み合わさって服も自分も進化し、年齢を重ねることで似合うものが広がることだってあるはずではないでしょうか?
また「大人になったらお買い物に失敗しない」という思い込みも同様。大人だってまだまだトライ&エラーをすべきです。失敗をしないと経験値が増えないからおしゃれ筋も頭打ちで、若い頃につけた筋力を消化していくのみです。それって賢いようで、あんまり楽しくないですよね。
そこでおしゃれ筋を鍛えるためには、一度も買ったことのないアイテムや着たことのない色を購入してみるのがよいと思います。
手持ちのワードローブに合うとか合わないとか一切考えず。自分のときめきだけを信じて買ってみてはいかがでしょうか?
▲若い時は全く興味がなく、決して着なかったピンク。この日はあえて白を多めに合わせました。普段はグレージュやネイビー、カーキなど落ち着いた色みとコーディネートしますが、甘×甘な色だとどうなるか実験。本当はピンク×ピンクもやってみたいのですが、さすがに外に出るのが恥ずかしかったので自粛しました(笑)。ピンクはちょっと枯れてきた年齢の方が、どう転んでも甘くならないからちょうどいいと信じて、この春はいっぱい着る予定。
人に「今日、どうしたの?」と驚かれることもあるかもしれません。似合っていないような気がしてそわそわするかもしれません。でもそれでいいんです。それがいいんです!たまには目新しいアイテムを投入して、ワードローブに不協和音を奏でることも大事なのではないででしょうか?
まとまっていることだけがよいわけではないはずです。
これは私の勝手な実感ですが、服でも顔でもまとまりすぎていると人の記憶に残りにくいと思います。本人が嫌だと思っている部分が人から見たらチャームポイントということはよくあることです。いつも完璧な着こなしをしている人の服って、実はあまり覚えていないんですよね。
おそらく「可愛げ」ってそうしたまとまりすぎない部分から生まれるのではないでしょうか?
ちょうど季節も変わりどきの今、新しい気分で一度も着たことのない未知の服に挑戦してみてはいかがでしょう?
私が春に気になっている未知の服は、おしゃれブランドが手がけるシャカシャカブルゾン(昔はスポーツブランドにしかなかった)とサファリジャケット(昔はおばさんぽい気がして着たことがなかった)。手を出すかどうかはまだわからないけど、意外と「今」の自分にこそ似合うかもしれません。目新しいものに挑戦しながら、これからもおしゃれ筋を鍛えていきたいと思います。