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あなたにとっての「一生物」とは?誰もがお買い物でつぶやいたことのある、あの呪文について考えてみました【エディター坪田あさみのおしゃれと暮らしと時々名品 #07】

ファッションエディター坪田あさみさんがアラフォーに向けて提案する日々考えているおしゃれのこと。今回は、ちょっと高価でも少しずつ買い集めたい「一生物」について。
坪田あさみ エディター・ライター

坪田あさみ エディター・ライター

大学卒業後、出版社勤務を経て独立、女性誌や広告、カタログを中心にフリーランスのエディター・ライターとして活躍。日本橋髙島屋S.C.新館にて月一回の連続講演プログラム「dot me 日本橋の#夜活」を開催中。今後のテーマはファッション、フラワー、インテリア、メイクアップなど様々。お申込み方法などはインスタグラム@asamit1201をチェックして。
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先月から月一回、日本橋髙島屋s.c. 新館にて「エディター坪田あさみのediting room 〜毎日をもっと素敵にするヒント〜」というイベントを開催しています。その時にご参加された方から「一生物の見極め方とは?」というご質問をいただきました。
 
おそらく質問者は「間違いのないお買い物の参考にしたい」もしくは「お誕生日などの記念にずっと使える価値のあるものが欲しい」という一般的な意図からだったと思います。
 
はて自分は「一生物」をどのように捉えているのかな? と少し考えるきっかけになりました。

ハイブランドのバッグなど高いものを購入する時の自分への言い訳として「これは一生物だから〜」という呪文。これをブツブツと唱えながらお買い物をされた経験のある方も多いのではないでしょうか。

実は私も30代半ばまでよくこの呪文を使ってました。その頃の私の中での「一生物」とはこの上っ面のつぶやき程度。本気で一生使うかどうかを考えて買っていた訳ではないと思います。

言葉の重軽はさておき、世の中には本当に言葉通りの「一生物」は存在するのでしょうか?

30代前半に買ったものが70代になっても似合い、みすぼらしくへたることなく、本人も飽きずに使い続けたいと思えるアイテム。こう書くと奇跡のように感じてしまいます。
 
エターナルと言われるパールやダイヤモンドでさえも、年齢によって似合う玉のサイズやカラット数、加工の仕方やデザインはどんどん変わっています。使いたいシーンやコーディネートの仕方も違ってくるでしょう。ゆるやかとはいえ、ジュエリーや時計にもトレンドは存在しています。

 
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    ▲一粒ダイヤのピアス。おそらく20代後半で手に入れた物なのでプチっと控えめサイズ。さりげない大きさですがピアスの重ね付けが流行っている今なら大人もいけます。流行に左右されないシンプルなデザイン。

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    ▲30代前半に買ったTASAKI by MHTのパールネックレス。カジュアルに使いたいと思ってこれを買ったのですが、パールが持つコンサバ感を当時はうまく使いこなせず、これまであまり出番なし。でもこれからの年齢こそ活躍させたい。

ピアス/ティファニー  ネックレス/TASAKI by MHT
 
ただ、一般的な意味から少しずらした「一生物」と思えるものなら、少なからず存在することに気づきました。

少し見方を変えた私が思う「一生物」の定義は以下の3つ。

1/同じものを何度も買い替えながら、使い続けると言う意味での一生物。

2/使い込めば込むほど、新品の時よりもカッコよくなる経年変化を楽しめる一生物。

3/劣化しにくい宝石や地金、かつ思い入れや何かしらの意味がある一生物。
 
 
1の「同じものを何度も買い換えながら」というのは、私の例で言えば、グッチのホースビットローファーなど定番中の定番モデルがそれに当たります。

あなたにとっての「一生物」とは?誰もがお買い物でつぶやいたことのある、あの呪文について考えてみました【エディター坪田あさみのおしゃれと暮らしと時々名品 #07】_1_4

▲きちんと感があるのに、私にとってはスニーカー感覚で履き心地最高なのが最大の魅力。買い続けることを決めているホースビットローファー。

 

自分の足に合っていて、お手入れをしながら大切に履き、でも靴は消耗品なのでボロボロになってしまえば処分し、再び同じものを購入して履き続ける。新品に差し替えられているから、正確には全く同じ物ではない(一見同じようでも少しずつアップデートされている)けど、これぞ一生物ですよね。

  

 

2は、バーバリーのトレンチやシャネルジャケットなどブランドを代表するアイコンアイテム。例えばバーバリーのトレンチを2〜3着所有して、長年ぐるぐると着回しておけば、おばあさんになった時にいい具合に体に馴染み、素敵に着こなすことができるかもしれません。シャネルのマトラッセやエルメスのバッグ類もそうかも。経年変化がある方がむしろかっこいい物たち。

 

ただし使い込みすぎてやられてしまうとおばあさんになった時に逆に辛いから、大切に使うかほどほどで買い換えるという1の要素も含みつつ、ちょうどいい具合に育てたいアイテム。

 

また2で同時に思い浮かぶのは服ではなく家具。私は家具を買う時に、いつも20年、30年、40年と長いスパンで考えます。そして一生使えるとわかったら心の中でニヤリ、「一生物だから〜」というあの魔の呪文が頭の中に鳴り響きます。そして清水の舞台からも気持ちよく飛び降りることができるのです。

 

家具は毎日使う物です。どんなに素敵なバッグや靴でも毎日使うことはできないけれど、家具なら長年にわたって毎日使うことができます。そう考えるとコストパフォーマンス的にもバッグや靴より何倍も優秀ですよね。

  

 

3つ目に当てはまるのはジュエリーや時計のジャンルです。カルティエのトリニティリングは結婚指輪でもあるので、確かに一生もの。そして私がおばあちゃんになっても定番モデルとしてあるでしょうから、もし万が一なくしてもこっそり買い直すことができます(笑)。

 

ちなみにうちの夫はこのリングを「早く使い込んだ感を出したい!」と結婚当時から言っていましたので(むしろそうしたい願望でこのリングに決めた)、こちらも経年変化したほうがかっこいいという価値観を持つ人には2の要素もありますね。

 

30代半ばから大切にしているカルティエやエルメスの時計は、どちらも自分にとっての節目の記念に購入したため思い入れがあり、またおばあちゃんになってもつけられるベーシックなデザイン。レザーのベルトはその時のトレンドや年齢、気分に合わせて色を変えたり、素材を選んだりもできますから、ちょこちょこアップデートできるという意味で1の要素も含んでいます。

 

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    ▲メインで使っている時計はここ数年この2本。ベルトを変える度に気分を変えることができます。特にエルメスはベルトを替えること自体が楽しみのひとつ。

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    ▲毎日つけている基本のリングは、トリニティリングとTリングの2つ。それにプラスしてその日の気分や着こなしで他のリングを重ねづけします。

時計/カルティエ、エルメス  リング/カルティエ、ティファニー

  

ダイヤモンドのピアスなどもそうですね。いつかデザインが古くなれば、リデザインしてもらうこともできるので、それも正真正銘「一生物」と言えるのではないかと思います。

 

こうして考えてみると、当たり前ですが「一生物」はまさしく「ザ ・王道」なベーシックなものばかり。ゆえに今のトレンドの物とも違和感なく合わせられるし、何年たってもエターナルな魅力を放つということなんでしょうね。

 

ちなみに貧乏くさい話ですが、高価な物を買う時に決断できないという人は、日割り計算してみてください。きっと早く買えば買うほど安上がりになることに気づくはずです(実際、本気で日割り計算したことはないですが 笑)。

 

さらに素材や人件費などの問題で、ハイブランドの定番アイテムが値下がりすることはほとんどないと言われています。むしろ高くなる一方なので、特に2の要素がある「一生物」は早く買っておいた方がお得です。

 

上記の3つの定義から「私は一生物をすでに持っていた」と言う人も多いかも入れないですし、これを読んで「今のうちに早めに買っておこう」と思った方もいるかもしれません。ちなみに私は原稿を書きながらバーバリーのトレンチを着回しながら古くしていくというアイディア通り、さっそく購入計画を立てました(笑)。

 

私の中で「一生物」の理想は、おばあさんになった時にもかっこよく使いこなせる物。そのためにも上記の3つのどれかに当てはまる物に出会ったら、今度こそ「これはまさしく一生物ですからっ!」と高らかに宣言して堂々と買いたいと思っています。

 

 

 

 

【編集部注】掲載されたアイテムはすべて坪田さんご本人の私物です。現在は販売されていない場合もありますので、ご了承ください。

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