坪田あさみ エディター・ライター
先月から月一回、日本橋髙島屋s.c. 新館にて「エディター坪田あさみのediting room 〜毎日をもっと素敵にするヒント〜」というイベントを開催しています。その時にご参加された方から「一生物の見極め方とは?」というご質問をいただきました。
おそらく質問者は「間違いのないお買い物の参考にしたい」もしくは「お誕生日などの記念にずっと使える価値のあるものが欲しい」という一般的な意図からだったと思います。
はて自分は「一生物」をどのように捉えているのかな? と少し考えるきっかけになりました。
ハイブランドのバッグなど高いものを購入する時の自分への言い訳として「これは一生物だから〜」という呪文。これをブツブツと唱えながらお買い物をされた経験のある方も多いのではないでしょうか。
実は私も30代半ばまでよくこの呪文を使ってました。その頃の私の中での「一生物」とはこの上っ面のつぶやき程度。本気で一生使うかどうかを考えて買っていた訳ではないと思います。
言葉の重軽はさておき、世の中には本当に言葉通りの「一生物」は存在するのでしょうか?
30代前半に買ったものが70代になっても似合い、みすぼらしくへたることなく、本人も飽きずに使い続けたいと思えるアイテム。こう書くと奇跡のように感じてしまいます。
エターナルと言われるパールやダイヤモンドでさえも、年齢によって似合う玉のサイズやカラット数、加工の仕方やデザインはどんどん変わっています。使いたいシーンやコーディネートの仕方も違ってくるでしょう。ゆるやかとはいえ、ジュエリーや時計にもトレンドは存在しています。
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▲一粒ダイヤのピアス。おそらく20代後半で手に入れた物なのでプチっと控えめサイズ。さりげない大きさですがピアスの重ね付けが流行っている今なら大人もいけます。流行に左右されないシンプルなデザイン。
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▲30代前半に買ったTASAKI by MHTのパールネックレス。カジュアルに使いたいと思ってこれを買ったのですが、パールが持つコンサバ感を当時はうまく使いこなせず、これまであまり出番なし。でもこれからの年齢こそ活躍させたい。
ただ、一般的な意味から少しずらした「一生物」と思えるものなら、少なからず存在することに気づきました。
少し見方を変えた私が思う「一生物」の定義は以下の3つ。
1/同じものを何度も買い替えながら、使い続けると言う意味での一生物。
2/使い込めば込むほど、新品の時よりもカッコよくなる経年変化を楽しめる一生物。
3/劣化しにくい宝石や地金、かつ思い入れや何かしらの意味がある一生物。
1の「同じものを何度も買い換えながら」というのは、私の例で言えば、グッチのホースビットローファーなど定番中の定番モデルがそれに当たります。
▲きちんと感があるのに、私にとってはスニーカー感覚で履き心地最高なのが最大の魅力。買い続けることを決めているホースビットローファー。
自分の足に合っていて、お手入れをしながら大切に履き、でも靴は消耗品なのでボロボロになってしまえば処分し、再び同じものを購入して履き続ける。新品に差し替えられているから、正確には全く同じ物ではない(一見同じようでも少しずつアップデートされている)けど、これぞ一生物ですよね。
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▲メインで使っている時計はここ数年この2本。ベルトを変える度に気分を変えることができます。特にエルメスはベルトを替えること自体が楽しみのひとつ。
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▲毎日つけている基本のリングは、トリニティリングとTリングの2つ。それにプラスしてその日の気分や着こなしで他のリングを重ねづけします。
ダイヤモンドのピアスなどもそうですね。いつかデザインが古くなれば、リデザインしてもらうこともできるので、それも正真正銘「一生物」と言えるのではないかと思います。
こうして考えてみると、当たり前ですが「一生物」はまさしく「ザ ・王道」なベーシックなものばかり。ゆえに今のトレンドの物とも違和感なく合わせられるし、何年たってもエターナルな魅力を放つということなんでしょうね。
さらに素材や人件費などの問題で、ハイブランドの定番アイテムが値下がりすることはほとんどないと言われています。むしろ高くなる一方なので、特に2の要素がある「一生物」は早く買っておいた方がお得です。