入団9年目で月組のトップスターに就任。その存在感と実力で早くから注目を集め、プレッシャーと闘いながら、異例とも言えるスピードでスターへの階段を駆け上ってきた。そして、気づけば就任から約3年。その時間を振り返り「あっという間でした」と語る。今、珠城りょうは何を考え思い、どんな時期にいると感じているのか。質問の答えから見えてきた、素顔。
Q.珠城りょうが率いる今の月組の魅力とは?
それぞれの個性がきわだっているけれど、まとまりがある。皆がそれぞれお互いのことをちゃんと見ているので常に温かい空気が流れている。今の月組の魅力をあげるならそこでしょうか。舞台に立つ者の人間性から人間関係まで、すべてが舞台には表れると私は思うのですが、芝居であれショーであれ、ふと視線をかわす眼差しから月組の一人ひとりがしっかりつながっているのを感じる。そのたびに思うんです、「ああ、いい組だな」って。組全体もですが、私自身も今はいい状態であるのを感じています。トップ就任当初は舞台人としても男役としても未熟でしたので、今振り返ると「力りきんでいたな」と。実際、背負う役割や責任の大きさを痛感。そんな私の背中を押してくれたのが、同じ気持ちを分かち合える他組のトップスターさんでした。接点がないと思われがちなのですが、実は同じ立場同士、絆のようなものがあり、皆さん未熟な私を気遣ってくださって。「元気にしてる?」なんて些細なひと言からもそれが伝わり心がホッと和らぎました。人間関係はもちろん自分の心が健やかであることも舞台に立つうえで大切なこと。いい意味で肩の力が抜けた今、舞台に立つのがさらに楽しくなっています。
Q.珠城りょうの”危険な一面"とは?
ふだんからロックをよく聴きます。人は皆、激しい感情を隠して生きていると思うのですが、ロックを聴くと抑えていたそれが湧き上がるのを感じる。実は私、感情をむき出しにして壮絶な人生を送りこの世を去る、そんなハードな役を演じるのも好き。身も心も疲弊しますが「生きた!」という実感を得ることができるんです。音楽も芝居も魂の叫びに惹かれる。こう見えて意外とロックです(笑)。
Q.美しさの秘けつを教えてください!
今日の撮影中、うれしいことに「目がきれい」という言葉をかけていただいたのですが、私は間違いなく「目は口ほどにものを言う」と感じていて。眼差しにすべてが表れるからこそ、あたりまえですが、話す時は相手の目を見て伝えるようにしています。いろんなものに目を向けて心を動かし、心で感じ、自分を豊かにするのも大事なこと。健やかな心は眼差しに表れる。それはきっと美しさにもつながると信じています。
【この記事はMarisol 2020年2月号より掲載されたものです。本誌では5つの質問を掲載しています】
Profile
たまき・りょう●2008年、宝塚歌劇団に入団し月組に配属。入団3 年目にして新人公演で初主演を務める。13年にバウホールで主演を務めた『月雲の皇子』が好評につき再演。16年、月組のトップスターに就任。大劇場作品も6作を超え、実力はもちろん存在感と包容力にも磨きがかかるばかり
NEXT STAGE
ミュージカル・ロマン『赤と黒』-原作 スタンダール-