森山大道が射抜く、人々の眼をとらえてやまない都市の魅力
【東京都写真美術館 9月22日(火)まで】
細胞がざわついた瞬間、シャッターを押す。意識下にあった記憶が街の風景に反応する。
「写真は記録に収斂される。誰かが写真を1枚撮れば、世界にひとつ記録が増える」と語るのは写真家・森山大道。スナップショットの名手といわれる森山大道の個展が開催される。スナップショットとは狩りの「早撃ち」に由来する「早撮り」のことだ。
1938年大阪府生まれの森山は、岩宮武二の助手を務めたのち上京し、細江英公の助手を経て1964年に写真家として独立。ざらざらとした素粒子感や白と黒のコントラストが強いスタイルは「アレ・ブレ・ボケ」と形容され、従来の写真の価値観を大きく変えた。1971年撮影の初期作《三沢の犬》の野良犬のように、ストリートから街をとらえ続ける姿勢はずっと変わらない。
そんな森山が、目まぐるしく移り変わる東京をどう切り取ってきたか。コロナ禍以前の、渋谷交差点の群衆。ショーウインドーのマネキンのサングラスの中には、街を行き交う人々や撮影する森山自身が映り込む。人々の欲望をかきたてるように都市を彩るカラー。その谷間にぽっかりと空いたような路地裏のモノクローム。街の見え方が変わってくるだろう。
『森山大道の東京 ongoing』
会場/東京都写真美術館
会期/9/22(火)まで
※月曜・8/11休(7/27・8/3・8/10・8/31・9/21は開館)
時間/10:00〜18:00(木・金曜は〜20:00、入館は30分前まで)
料金:一般700円
☎︎03(3280)0099
※新型コロナウイルス感染拡大防止対策のため、掲載の情報は変更になる場合があります。
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白坂由里