①呼吸とエクササイズでおなかヤセ!
パーソナルトレーナー、 ヨガインストラクター 橋本はづきさん
腹式、胸式、丹田呼吸を組み合わせれば効果絶大
おなかヤセに呼吸が効く理由を、 橋本さんにさらに詳しく伺った。
「おなかの筋肉は、表層にあるアウターマッスルの腹直筋と、それをサイドから支える腹斜筋、そのさらに下にある腹横筋というインナーマッスルから成ります。そして腹横筋と腹斜筋の間には腹膜があり、この膜が内臓が下がらないよう支えています。ただ、私たちはふだんの生活でアウターマッスルばかり使いがち。また、筋トレなどの運動で主に鍛えられるのもアウターマッスル。逆にインナーマッスルはあまり使われないため衰えていきます。すると腹膜もゆるんで内臓が下垂し、血流が悪くなって内臓脂肪も皮下脂肪もつきやすくなります。こうしておなかがポッコリ出てしまうのです。これを防ぐのに効果的なのが呼吸です。呼吸はインナーマッスルを効果的に鍛えられるので腹膜も引き締まり、おなかヤセ効果が高いのです」
<<おなかの筋肉は 4層構造になっている!>>
ではどんな呼吸がよいかというと、3種類の使い分けがいいそう。
「呼吸には胸式呼吸と腹式呼吸がありますが、おなかヤセにはこの2つに加えて丹田呼吸という3種類を組み合わせるのがベスト。肋骨を広げる胸式呼吸は、運動効果が高く、インナーマッスルとアウターマッスルの両方が鍛えられ、代謝アップ効果もあります。交感神経を優位にするので、特に朝に行うのがおすすめ。一方、おなかを上下させる腹式呼吸は、副交感神経を優位にし、筋肉の緊張を緩め、リラックスを促す呼吸なので夜に行うのがおすすめです」
そして丹田呼吸とは腹式と胸式を組み合わせた呼吸法。
「丹田呼吸は、吸う時は腹式、吐く時は胸式の要領で行うもので、2つの呼吸の効果が得られます。特にインナーマッスルを鍛える効果が大。仕事の合間など、気づいた時にこまめに行って」
呼吸の特徴…肋骨を広げる
【胸式呼吸の効用】
*交感神経を優位にする
*筋肉を刺激する
・新陳代謝アップ
・運動量が得られダイエットに適している
・瞬発力を使うスポーツに向く呼吸
*やる気を起こさせる
胸式呼吸は交感神経を優位にし、体が一気に温まるので、朝行うのに最適。インナーマッスルとアウターマッスルが鍛えられる。
呼吸の特徴…おなかを上下にさせる
【腹式呼吸の効用】
*副交感神経を優位にする
*免疫力がアップする
・血液の酸素濃度アップ
・セロトニン分泌
・腸の蠕動作用の活性化(便秘改善ほか)
*リラックスできる
副交感神経を優位にし、リラックス作用がある腹式呼吸は、睡眠の質を高めるので、夜に最適。硬くなりやすい腹直筋を緩める効果も。
呼吸の特徴…吸う時は腹式、吐く時は胸式を意識
【丹田式呼吸の効用】
*姿勢を正す
*精神を統一させる
*オンオフの切り替えができる
*肩の力が抜ける
腹式と胸式を組み合わせたのが丹田呼吸で、2つのいいとこどりができる。インナーマッスルを鍛える効果が高い。オンとオフを切り替えたい時や、精神を統一させたい時に。
「朝に胸式呼吸を行えば、重だるさが解消し、一日を活動的に過ごせますし、夜に腹式呼吸を行えば睡眠の質が高まります。また、丹田呼吸にはやる気アップにも、リラックスにもいいので、オンオフを切り替えたい時に最適。3つの呼吸を使い分けて、おなかヤセと健康を目ざして。呼吸をしながら行うエクササイズもプラスすると効果がさらに高まりますよ!」
3種類のおなかヤセ呼吸をマスター
1.あおむけになり、両膝を立てる
あおむけに寝て、両膝を立て、手は体の横に置く。首と肩の力を抜く。
2.息を吸っておなかを膨らませる
息を吸っておなかを膨らませる。手をおなかに当て て行うと、おなかの動きがわかりやすく、おすすめ。
3.息を吐きながらおなかをへこませる
息を吐きながらおなかをへこませる。吸った時間の倍の時間をかけて吐くのがポイント。この呼吸を1分間ほど続けて。
1.左右の手を肋骨に当てる
楽な姿勢で立ち、左右の手を肋骨に当てる。座って行ってもOK。
2.息を吸って肋骨を左右に開く
息を吸って、肋骨を膨らませていき、左右に開く。この時わき腹が縦に伸びるのを意識。
3.息を吐きながら肋骨を縮める
息を吐きながら肋骨を縮めて、おなかを絞るように締める。わき腹は伸ばしたまま行って。この胸式呼吸を1分間ほど続ける。
1.おへその5㎝ほど下の丹田を意識
楽な姿勢で立ち、おへその5 ㎝ほど下にある"丹田"を意識。
2.息を吸っておなかを膨らませる
腹式呼吸の要領で、息を吸って、おなかを膨らませる。
3.息を吐きながらおなかをへこませる
胸式呼吸の要領で、息を吐きながら、わき腹を伸ばしたまま、おなかを絞るように締める。この呼吸を1 分間ほど続ける。
呼吸×エクササイズで効果アップ
1.あおむけになり、両膝を立てる
あおむけに寝て、足は腰幅に開き、両膝を立て、膝の間はこぶし1 個分ほど開く。かかとはなるべくおしりに近づけ、手は体の横に置く。
2.おしりを引き上げ、息を吸う
おしりを引き上げて、肩から膝までが一直線になるようにし、息を吸っておなかを膨らませる。
3.息を吐いておなかをへこませる
肩から膝までを一直線に保ったまま、息を吐いておなかをへこませる。この腹式呼吸( 2、3)を3 回。
4.膝を抱えてリラックス
終わったらゆっくりとおしりを下ろし、両手で膝を抱えてリラックス。
1.足を大きく開き、軽く膝を曲げる
両足を大きく開いて立ち、足先は斜め45度に開く。両手を後頭部に当て、両肘を開き、両膝を軽く曲げる。
2.おなかを締めて上体を左にひねる
息を吸ってわき腹を伸ばし、吐きながらおなかを締めて上体を左にひねる。上体が倒れないようにまっすぐ保ったままひねって。
3.おなかを締めて上体を右にひねる
同じ要領で、上体を右にひねる。これを左右交互に30回。おなかは常に締めたまま行うのがポイント。
おなかを締め、わき腹を伸ばす意識を
歩いている時に丹田呼吸を取り入れる場合は、おなかを締めながら、わき腹を伸ばすことを意識。歩く姿勢もよくなる。
座っている時に行うと姿勢改善に
座っている時も、丹田呼吸を時々取り入れて、おなかを締めながらわき腹を伸ばすことを意識。姿勢のくずれがリセットできる。
腰が丸くなると丹田の力が抜ける
座っている時は、腰が丸くなりやすいが、こうなると丹田の力が抜け、おなか太りしやすいのでNG。時々、丹田呼吸を行って。
②久式4STEPマッサージで美腹に
ボディメンテナンスセラピスト 久(ひさし)優子さん
血液とリンパの流れを促し、脂肪や老廃物を撃退
おなか太りの大きな原因となる 血液やリンパ液の滞り。
「血液の流れが滞ると代謝が落ち、リンパの流れが滞ると老廃物がたまってむくみます。これらがおなか太りを招くのです。これを効果的に改善するのが久式4STEPマッサージ。
STEP.1は〝伸ばす〟です。ふだんの前かがみ姿勢で圧迫されていたおなかを伸ばすと血液がスムーズに流れるうえ、おなかにたまっていた脂肪も動きやすくなります。STEP.2の〝たたく〟では、硬くなった脂肪をほぐして排出されやすい状態にし、血液やリンパの流れも促します。STEP.3は〝押す〟で、浅部と深部にあるリンパ管を押して刺激しつつ、骨のキワや筋肉を押すことで関節や筋肉を正しい位置に戻し、血液やリンパを流れやすくします。STEP.4の〝流す〟では老廃物を一気にリンパ節に流し、体外に排出。この4つで美腹になるのです。朝昼夜いつ行ってもOKなのでさっそく始めてみて」
<<この4ステップで、おなかヤセ!>>
【 ケアすべきはココ! 】
●あばら
老廃物は骨のキワにたまりやすく、おなかまわりでは特にあばら骨(肋骨)の下にたまりやすい。押して血液やリンパの流れの改善を。
●わき腹
わき腹は悪い姿勢などで縮んで硬くなっているので、伸ばしたり、たたいたりして緩めるとくびれができやすい。
●みぞおち
前かがみ姿勢などによって圧迫されやすいみぞおちは、血液やリンパが滞って硬くなりやすいのでほぐして。
●腹部リンパ
おなかにある大きなリンパ節。ここは老廃物がつまりやすいので、たたいたり、押したりしてよく刺激を。
●腸骨内側
腸骨の内側の骨のキワも老廃物がたまりやすい部分。たたいたり、押したりして流れを促進して。
1.両腕を上に伸ばし背伸びをする
両かかとをくっつけ脚をそろえて立ち、両腕をまっすぐ上に伸ばす。手のひらを内側に向け、かかとを上げて背伸びをする。次にかかとを下ろす。これを3〜5回。
2.上体を右に倒し、左わき腹を伸ばす
腕をまっすぐに上げたまま、上体を右に倒す。左のわき腹が伸びるのを意識。
3.上体を左に倒し、右わき腹を伸ばす
次に、同じように上体を左に倒し、右わき腹が伸びるのを意識。この2、3を交互に5回。
4.上体を後ろに倒し、おなか全体を伸ばす
腕をまっすぐに上げたまま、上体を後ろに倒す。この時、みぞおちから下腹までが伸びるのを意識。これを5回。
1.山型の手で、おなかをたたく
手を山型にして、左右の手で交互におなかをたたく。でんでん太鼓のイメージで左右交互に10回。
2.握りこぶしの内側であばらの下をたたく
手を握り、人さし指と親指側の側面で、あばら骨の下の縁に沿って、内側から外側までたたいていく。
3.握りこぶしの外側で腸骨の内側をたたく
握りこぶしの小指側の側面で、腸骨の内側あたりを左右交互にたたく。左右交互に10回。
4.握りこぶしでおなか全体をたたく
手を握り、そのままおなか全体を左右交互にたたく。おなかの中央からわき腹までまんべんなくたたいて。左右交互に10回。
1.3本の指でみぞおちを押す
両手の人さし指、中指、薬指をみぞおちに当て、体を前に倒しながらグーッと押す。これを2秒× 3回。
2.同様に肋骨の下を押す
両手の人さし指、中指、薬指を肋骨の下に当て、体を前に倒しながらグーッと押す。肋骨の下をまんべんなく行って。1 カ所2 秒× 3 回。
3.親指で腸骨の内側を押す
両手の親指を腸骨(腰骨)の内側に当て、体を前に倒しながらグーッと押す。これを2秒× 3 回。
4.わき腹の真横を体を倒しながら押す
両手の親指をわき腹の真横に当て、体を倒しながら押す。これを2秒× 3回。次におしりを左右に振りながら押す。これも2秒× 3回。
1.背中からおへその上へと
押し流す片手の指の腹を反対側の背中に当て、わき腹を通って、おへその上へと押し流す。これを5回。
2.背中からわき腹、下腹へと押し流す
片手の指の腹を反対側の背中に当て、わき腹を通って、下腹へと押し流す。これを5回。
3.握りこぶしでわき腹から
そけい部へ流す両手を軽く握ってわき腹に当て、そけい部に向かって押し流す。これを5回。
4.握りこぶしでおなか全体を上から
下へ押し流す両手を軽く握り、おなか全体を上から下へと押し流す。全体をまんべんなく行って。
マッサージにはオイルが活躍!