色香をまとう大人の男、すがすがしい青年、悪役から ユーモアあふれる役柄まで…… どんな役も乗りこなせる実力の持ち主。 入団以降、二度の組替えを経験。 月組から花組へ、そして、花組から再び 古巣とも言える月組に戻ったばかり。 「自分にできることは何か」、向き合い着実に経験を積み重ねながら歩いてきた 鳳月杏は今、何を思い感じているのか。
Q.花組から月組へ組替え。 今の心境を教えてください
入団当初、月組に配属されたばかりのころ。上級生のかたがたが私にかけてくださったのが「いいものをもっているのに、もったいない」という言葉でした。まだ出ていない芽のようなものはもっている、しかし、それを咲かせることができない。そんな未熟な私が殻を破るきっかけになったのが花組へ の組替えでした。花組で手に入れたもの、それをひと言で表現するならば"勇気"でしょうか。ショーでも芝居でも舞台上で感じたままに体現する、花組にはそれを恐れない空気が流れ ていて。私自身、刺激を受けて大きく変われた気がします。そ の証拠に、月組に戻り最初に立った舞台で"アドリブの応酬" という歓迎を受けて。勇気をもち渾身のアドリブで対応できている自分に成長を感じました(笑)。宝塚に存在する5組は それぞれ、カラーも違えば作品の作り上げ方もまた違います。 その違いをネガティブではなくポジティブに受け止める。すると、違うからこそたくさんの発見があり、新しい自分にも出会える。目の前の変化や経験を"意味のあるもの"にできるかどうかは自分しだい。今もこれからも臆せずに新しい扉を開け続けることができる人でありたい、私はそう思っています。
Q.最近、経験した "変化"を教えてください
大好きな海外旅行で言葉が通じないコミュニケーションのむずかしさを経験。言葉が通じるありがたさと大切さを知ってから、積極的に組の仲間たちに話しかけるようになりました。昨年は刺激を求めている時に訪れる街NYへ。NYでは必ずといっていいほどレッスンを受講。今回はサルサのレッスンを経験。扉を開けるには勇気がいるけど、その先にはたくさんの発見と刺激が待っているんです。
Q.美しさの秘けつを教えてください!
例えば、ダイエットも無目的だとダラダラしてしまいがちですが「友達の結婚式までに」「あのドレスが着たい」そんな目標があれば頑張れる。目標をもつことはとても大事だと思います。舞台に立つ私たちにとって衣装もそんな目標のひとつ。 役柄によって身につける衣装も変わる、それが似合うベストな自分を作り上げたい。その思いが食べすぎのストッパーになってくれるんです(笑)。
【この記事はMarisol 2020年3月号より掲載されたものです。本誌では5つの質問を掲載しています】
Profile
ほうづき・あん●2006年、宝塚歌劇団に入団し月組に配属。 14年、花組へ組替え。昨年、月組へ組替え。約4年という時間を花組で過ごす中で着実に経験を積み、実力を蓄え、男役 の包容力を身につけてきた。そんな彼女が古巣である月組でどんな力を発揮してくれるのか、注目が集まっている
NEXT STAGE
デジタル・マジカル・ミュージカル
『出島小宇宙戦争』