作品を重ねるたびにその輝きは増すばかり。舞台上で圧倒的な存在感を放つ宙組の男役スター、芹香斗亜。インタビュー中に彼女が何度も口にした「今、とても楽しい」という言葉、5つの質問の答えから見えてきたのは、男役13年目の余裕。積み重ねてきた経験により手に入れた、揺るぎない実力と自信。
Q.日々、舞台に立ち続けるそのモチベーションとは?
この仕事をしていると質問されることがあります。「毎日、舞台に立つのは大変なこと。楽しめない日はありますか?」と。そのたびに、私は答えに困ってしまうんです。なぜなら「毎日、楽しいから」。その理由は何事も「おもしろい」と感じてしまう私の性格にあるのかもしれません。例えば、楽屋で誰かが大きなクシャミをする。それだけでゲラゲラ笑えてしまう。日常の些細なことが「おもしろい」に変わる。普通に生活しているだけでたくさんの「おもしろい」に出会う。なので、ネガティブになっている暇がないんです(笑)。ただ、舞台だけは怖い。常に楽しさよりも怖さが勝ります。大勢のお客さまに見ていただく以上、そこにスキがあってはなりませんし、もちろん失敗も許されない。何度経験しても怖さが消えることはありません。でも、それが私のモチベーションにつながっていることもまた確かで……。もしかしたら、それすらも私は楽しんでいるのかもしれませんね。まるでスリルを楽しむ絶叫マシーンに乗っているような感覚で(笑)。一時期はそんな自分が不真面目に思えて「何事も計画立てて実行する人間になろう」と努力し、背伸びしたことも。今はグルッと一周回って本来の自分に戻ったような感覚なんです。以前は自分らしくいることが不安だったけど、今の私には経験と積み重ねてきたものがある。より毎日を楽しみながら世界を広げていきたいと思っています!
Q.芹香斗亜の記憶力。いいですか、悪いですか?
私は驚くほど記憶力がよくなくて。ある一定の時間を超えると"ロケット鉛筆"方式でどんどん消えてしまうんです。そして、その時間は皆さんが想像している以上に短い。過去の思い出話は「そんなことあったっけ?」の連続です。でも、そのおかげで、まるで初めて聞いた話のように新鮮な気持ちで楽しめる。悪いことばかりではないんですよ(笑)。
Q.美しさの秘けつを教えてください!
最近は"手間ひまかけること"が大事だなと。特に大切にしているのがクレンジングです。大ざっぱにウワッと洗い流すだけの洗顔は卒業しました(笑)。そんな私の美のお手本が真風(涼帆)さん。私の誕生日にもアイメイクリムーバーをプレゼントしてくださって。日々、「何を使っているのか」「どんなケアをしているのか」チェックさせていただいています。
【この記事はMarisol 2020年4月号より掲載されたものです。本誌では5つの質問を掲載しています】
Profile
せりか・とあ●2007年、宝塚歌劇団に入団、星組に配属。12年に花組へ、17年に宙組へと組替え。3つの組で経験を着実に積み重ねながら実力を伸ばしてきた。特にここ数年は大人の色気がグッと増したと評判で、恋に落ちる観客が多数。男役としての貫禄と自信を身につけ、輝きを放つスターとしてその期待はますます高まっている。
NEXT STAGE
『FLYING SAPA―フライング サパ―』