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珠城りょう「トップスターは孤独」と言うけれど就任後の約4年、私はたくさんの愛をいただいた【宝塚スター スペシャルインタビュー】

月組トップスターに就任してから約4年、心から愛し、すべてを注いだ宝塚の舞台を去る決断を下した。今だから語れる苦悩、そして、幸せや喜び。その言葉から見えてきたトップスターの素顔
宝塚スターに質問!珠城りょう_1

退団までの残り少ない時間、悔いなく舞台を楽しみたい

「宝塚に入団したばかりのころは、とにかく舞台に立てるのがうれしくて。舞台の端でも、限られた出番でも、自分の力を最大限に発揮しようと前のめり。ショーのプロローグに出られず、舞台袖から食い入るように上級生を見つめたことも。当時は悔しい思いもたくさん経験しました」

 入団2年目から抜擢に次ぐ抜擢で大きな役をまかされるように。そして、9年目には月組のトップスターに就任。その異例とも言えるスピード就任は世間でも大きな話題を呼んだ。しかし、輝かしいキャリアの裏側には苦悩も。「正直、トップ就任のお話を聞いた時は素直に喜べませんでした。まだまだ未熟であることを、誰よりも自分が一番理解していたので……。思わず“今ですか?”という言葉が飛び出し、その後は黙り込んでしまったことを今でもよく覚えています」

 珠城りょうの宝塚人生は重責との闘いだった。「まわりを納得させるためには結果を出すしかない、舞台で認めてもらうしかない」とひたすらに努力を積み重ねる日々。しかし、若いトップスターには厳しい評価や意見が届くことも。 「どんなに努力をしても認めてもらえない」と絶望的な気持ちになってしまったこともあったそうだ。そんな彼女を舞台につなぎ止めていたのは宝塚への、そして、月組への深い愛。 「舞台に立つのが怖くて。逃げ出したいと思ってしまう日もありました。でも、応援してくださるお客さまによい舞台を届けなければいけない。今思うと、その使命感に逆に支えられていた気がします。私はひとりになるとすごく弱いんです。でも、よりよい舞台を作るためにみんなの前では“明るく元気な珠城さん”でいようと思える。家でひとり落ち込んでも、稽古場や劇場に行けば前を向ける。月組の仲間やファンの皆さんの存在が私を強くしてくれました」

 言葉にせずとも気持ちを理解してくれた仲間たち、つらい時期を一緒に乗り越えてくれたファンの存在……多くの人に支えられてきたエピソードを語り「トップスターは孤独とよく言うけれど自分はそうではありませんでした。それどころか、たくさんの愛をいただいた」と続けた珠城さん。苦しんだこともあったが、それ以上に温かいものに出会えた。2021年8月15日、そんな宝塚の舞台を彼女は去ることが決まっている。「退団というゴールが決まってからはより純粋に舞台を楽しめている自分がいて。入団したばかりのあのころに戻ったような気持ちなんです。トップスターとしての自分に自信があるかと尋ねられたら、今もまだ胸を張って“はい”とは言えないかもしれない。でも、月組の仲間と築いてきた絆や信頼関係には自信がある。最後まで心と心をぶつけ合いながら、みんなと一緒に最高の舞台を作っていきたいと思ってます」

【この記事はMarisol 2021年2月号より掲載されたものです】

Profile
たまき・りょう●2008年、宝塚歌劇団に入団、月組に配属。16年、月組トップスターに就任。磨きがかかった色気と包容力で客席を魅了。ダンス、歌の実力はもちろん、"芝居の月組"を率いる高い演技力が評価されている。21年、次回大劇場作品にて退団することを発表ずみ。集大成のステージに注目が集まる。

珠城りょう「トップスターは孤独」と言うけれど就任後の約4年、私はたくさんの愛をいただいた【宝塚スター スペシャルインタビュー】_1_2
©宝塚歌劇団

ロマン・トラジック『桜嵐記(おうらんき)』
スーパー・ファンタジー『Dream Chaser』

南北朝の動乱期、南朝の行く末には滅亡しかないことを知りながら、父の遺志を継ぎ、戦いに明け暮れる日々を送る楠木正行。復讐を心の支えに生きる後村上天皇の侍女・弁尚侍とのつかの間の恋を経て、初めて生きるための戦いへと臨む正行の、はかなくも鮮烈な命の軌跡を描く物語と、珠城りょうが描く夢を詰め込んだゴージャスなショー。主演:珠城りょう、美園さくら 5/14~6/21 宝塚大劇場 7/9~8/15 東京宝塚劇場

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