ー「Star」は一種の手紙やメッセージのようなものですね。これまで待っていてくれたファンへも、そして会える瞬間を待ち望んでいる僕へも伝えたかった気持ちを表現したくて。だからこそ、デジタルシングルという形を選びました。プロモーション等は一切せずに、チャン・グンソクを待ってくれているすべての方に、音楽という形で僕の思いを込めたメッセージを伝えたかったから。それと比べて、今回のシングルはより攻めた方法で僕の持つ世界観を表現したかったんです。成長し、本当の男にならなければならない、そんな岐路に立たされているチャン・グンソク本来の姿を。実は30歳を過ぎればすべてが変わると思っていたんです。仕事も人間関係も、恋愛も。でも、実際に30歳になってみると、表面的には昨日と何も変わっていないはずなのに、ある時から自然と自分自身が変わっていることに気づきました。「こうならないとダメだ、変わるんだ!」そう無理に変わろうとするのではなくて、時間の流れとともに自然と今の自分が出来ていったんです。だからこそ、今の僕を表現したかった。より正直に、よりセクシーになろうという思いが込められています。また今回、作詞に参加したのも、より正直にセクシーにという思いがあったからだと思います。ただ単に歌うだけの歌手ではなく、自らストーリーを伝えられる、ストーリーテラーになりたいという欲があったんだと思います。
●歌うこと、演じることの面白さ、アーティストとして大切にしていることはどんなことですか?
ーまずひとつめに行動の理由と意味を持つことを大事にしています。僕が今、ここでこれをやっている理由、そしてその理由の裏付けが必要になるんです。ただ単に、今までやってきたからやらなければいけないと思うのではなく、自分が本当に全身全霊で取り組みたいと思える作品を選びたくて。除隊後に作品をまだ選べていない理由でもあるんですが、俳優として久々に活動をするにあたり、のめり込んでしまう程の情熱を注ぎたい、そう思える作品とまだ出会えていないんです。やっぱり俳優と作品って、運命的な何かがあるんじゃないかと思うほど、相性の良いものと出会うのが難しいですね。そう考えると、恋愛面でも運命の人とまだ出会えてないので困っています(笑)僕の運命の人は一体どこにいるんでしょう?
●アーティストとしてどんなことにインスピレーションを得ていますか?
ー生涯をかけてアーティストという職業の中で生きてきましたが、何かからインスピレーションを得て、そこに理由や意味を裏付けるのは難しいんです。僕の性格上、ある瞬間パッと頭に浮かんだことを、そのままキャッチして、さらに真剣に考えこむことがあるんです。例えば、友人とお酒を飲みながら話している時も、僕とは違う職に就いている友人を通じて、別世界を味わってみたり、全く知らないアーティストの曲を聞きながら、こんな世界もあるんだと感じた時は、いつもメモをたくさん取る方ですね。なので、携帯にはあれやこれやとメモがたくさんあります。でも翌日にメモを見返してみると、よく分からないものも多いです。特にお酒を飲んだ次の日は…。
●長い間ファンに愛されてきた唯一無二の存在、カリスマ的存在のグンソクさん。ご自身がアーティストとして、人間として成長したなと感じることはどんなところですか?
ー僕自身、とても強くなっているなと思います。ある時、こんなことがありました。面倒だったり、どこか気がかりな問題をいつも避けてしまったり、個人的な欲望よりも周囲への配慮を優先してしまっていたんです。でも逆に、「自分のために、あるいは自分がやりたいように生きるってどんな気持ちかな?」という自分自身への問いというか…。もちろん、だからと言って自己中心的に正義感もなく考えることとは違いますが、「僕の人生は僕のもので、自分が一番最高だ」という気持ちがより強くなった気がします。もちろん道理として周囲の人への礼儀に反しないことが大前提ですが。約3年間、本当に多くの出来事があったけれど、会えない時間の中で僕は僕なりに、柔らかさもありつつ強くなれたと思っています。
●やってみたい役やジャンルはありますか?最近観て面白いと思った映画やドラマはありますか?
ー王道のラブストーリーをやってみたいです。考えてみたら、20歳の頃に「ファン・ジニ」というドラマに出演して以来、王道のラブストーリーものをやっていない気がします。やはりドSキャラの影響なのか、ラブコメや横柄な役柄を演じることが多くて。ひとつ確かなことは、デビュー30周年を迎え、これまで本当に多くの作品に携わって来ましたが、まだお見せ出来ていない部分がたくさんあるということです。なぜだと思います?それほど、僕自身が絶えず成長しているから。
●最近よく聴くお気に入りの曲やアーティストはいますか?
ージャスティン・ビーバーの曲をよく聞いています。スタイリッシュだし流行ってるから好きなんでしょ?と思われるかもしれませんが、ジャスティン・ビーバーこそ、自分自身の成長を素直に音楽で表現している人だと思うんです。幼い頃にデビューをして、有り余るほどの人気を得たからこそ、責任感ももちろん芽生えただろうし、人間不信に陥ることも多かったんじゃないかと思います。それでも、運命の人と出会って変化していく姿を自分自身で受け入れ、その感情を素直に表現している姿を見ると、本物のアーティストだなと思います。
●韓国のアーティストがアカデミー賞を受賞する快挙、グラミー賞を賑わせるなどグローバルな人気を得ています。その理由はどんなところにあると思いますか?
ー理由はたくさんあると思います。韓流文化やK-POPの成長、文化産業推進力などな
ど…。ただ、僕はシンプルにこう考えたいですね。ストーリーさえあれば、人は興味を示すということ。つまり、多種多様なストーリーがあるからこそ表現方法も多様化する。それだけ韓国人の中に、個々が持つ独特なストーリーがたくさん存在しているんだと思います。だからこそ僕も素敵なストーリーテラーになりたいですね。
●ファンにとって、存在自体が癒しや原動力となっているグンソクさん。ご自身を突き動かす原動力、そして癒しは?癒しアイテムはありますか?コロナ禍のモチベーションの上げ方や気分転換法があれば教えてください。
ー僕のヒーリング方法は本当に単純ですよ。自然を楽しむこと。遠出は出来なくても、玄関前の花壇や植物を見ているだけで心が浄化される気がします。年を取ったからかもしれないですが、自然を前にすると、本来兼ね備えている真面目な部分が見えてくるんです。でも逆に、季節の移り変わりを感じる時には、植物から新しい芽が出ている姿を見て勇気をもらったりもします。最近は庭でネギテク(韓国語でパテク。ネギの価格高騰に伴い、最近韓国ではネギを植えて財テクの代わりにネギテクという単語を使う)をしています。ネギを自分で育てていると愛着が沸いてきて、たまに怖くもなります。食べてしまったらネギが苦しむんじゃないかって。
●私服もいつもおしゃれで知られていますが、最近お気に入りのデザイナーやスタイルは?
ー本当に不思議なことですが、内面に抱く思いが変わってから好みも大幅に変わりました。そのうちのひとつがファッションですね。以前は派手なプリント柄だったり、色々な質感を楽しめる服が好きで果敢に着こなしていたんですが、今はカラーと素材に重きを置いています。その日の気分に合わせてカラーを何種類か合わせて自分を表現するのも面白いし、素材や柄で表現するのも醍醐味ですね。でも今、僕はルイ・ヴィトンのデザイナーを務めるヴァージル・アブローが作った、ものすごく派手なキーポルバッグを持ち歩いています(笑)
●SNSにアップしているYAMECHEFのお料理がいつもとっても美味しそうですが、料理のインスピレーションはどんなところから得るのですか?グンソクさんにとって料理はどんな存在ですか?
ー料理は、色々な食材を試して食べてみることでインスピレーションを受けています。僕が皆さんに知ってほしいのは、材料を前にしたら緊張せずに、自信を持ってやり遂げること。色々と試して、食材の正しい組み合わせさえ理解していれば、それにより生まれるハーモニーがあるんです。失敗したって再挑戦すればいいし、美味しくなかったら残してもいい。ただ、料理を作った時に、楽しいという気持ちを皆さんが感じてくれれば嬉しいです。僕にとって料理は、ただ料理を作って、誰かが美味しく食べてくれる姿を見て感じる楽しさよりも、ただ純粋に、僕の手で何かを造り出せるという部分に、楽しさを感じることだと思います。
●最近ハマっていること、挑戦してみたいことはありますか?
ー本当に趣味と呼べるものは色々とやってきたので、むしろまだやっていないことって何があるかな、とたまに悩むのですが、いまだに答えが見つかっていないので、創作面で何か出来ないかと考えています。例えば、フラワーアレンジメントだったり、絵を描くことにも興味があります。今やっている分野だと作曲にもハマっていますね。趣味でやっているバンドがあるんですが、メンバーたちと集まっている時が一番幸せです。
●日本に来日できることになったら真っ先に行きたいところは?私はソウルに行けたらテソンチプに直行してトガニタン(牛の膝軟骨のスープ)を食べたいです。
ーハハハハ。トガニタンは意外ですね。僕も意外に思われるかもしれませんが、日本に行ったら、真っ先に赤坂にある「一龍」という店のソルロンタンが食べたいです。そこのスープとカクテキ、スユク(ゆで豚)の味が忘れられません。オーナーのおばあさんも元気にしていらっしゃるのか気になりますし。
●マリソルは40歳前後の女性のためのファッション誌ですが、10年後の自分はどんな自分でありたいですか?
ー10年後は、今と同じく大人になりすぎず、何の制限も制約もなしに、やりたいことをやって生きていたらいいですね。もちろん、難しいとは思います。でも責任感のない大人にはなりたくないんです。
●最近お気に入りの香りはありますか?
ーう~ん。難しい質問ですね。君の香りかな…?(笑)
●マリソル読者がまた韓国に旅ができるようになった時、どこをオススメしたいですか?その理由は?
ーソウル消防災難本部の構内食堂。僕が社会服務要員として1年10か月間働いていた場所で、昼ご飯もほぼこの食堂で食べていました。味はもちろんですが、僕が感じていた日常を、多くの方に共感してもらうのも面白そうだなと思います。ちなみに、外部の方も食堂は使用可能で価格もお手頃ですよ。
●グンソクさんが兵役中もチャン・グンソク展に多くのファンが足を運ぶなど、改めて人気の熱量を感じました。なかなか直接ファンのみなさんに会えない状況ですが、最後にマリソル読者のファンのみなさんに一言お願いします!
ー本当に一言で話しますね。待っててくれ。