「時/とき」をテーマに、時代や国籍の異なるアーティスト19組を紹介しています。
会場となっているのは、九段下にある登録有形文化財『旧山口萬吉邸』をリノベーションした会員制のビジネスイノベーション拠点「kudan house」。
滅多に足を運ぶことのないこの歴史的建築である邸宅を拝見できるチャンスとばかりに、この展覧会を知った開催日翌日には予約をして行ってきました。
こちらの展覧会は、予約制となっていて一枠もゆったりとした人数設定のため、ひとつの空間ごとにほぼ占有できるような贅沢な鑑賞ができます。
建物内のメインロビーには、この展覧会を象徴するようなアイコニックな赤と白のストライプが描かれた作品が展示されています。
額装されているわけでもなく、立て掛けるように展示されたこの大きな作品は、背後の重厚でクラシカルな建築と絶妙なコントラストを醸していて、個人的に一番好きな展示でした。
ちなみにこの作品は現代のものかと思いきや、1970年の作品という意外性も。たしかに近くで実物を見ると現代アートにはない趣を感じます。
空間に何の違和感もなく作品がフィットしていて、尚且つ建築空間にもアクセントが与えられ、作品もさらなる輝きを魅せる素晴らしい相乗効果。
明るさも内装の色調もやや暗めの重厚感のある空間に、生花を飾ったようなフレッシュな彩が加わります。
こちらは日本人アーティストの2020年の作品です。
ベーシックな和室空間に現代アートが加わると、一気に空間がアップデートされる感じがします。
和室から続くサンルームにも作品が。
細長く続く先に立つ木製の作品。
大きな窓から眺める外の木々と同調するかのような一体感。
小さい作品ながら等間隔に並んだ配置と色合いが、この空間にテンポを与えます。
もともとこの地下がどのように使われていたのかはわかりませんが、地下という場所を生かした無機質でややストリート感の漂う雰囲気に。
こちらにも多くの作品が展示されていますが、コンテンポラリーでモダンな作品がこの地下空間と相まってお互いに引き立て合っています。、
建築好きな私としては、どちらかというとこの建築目当なところはありましたが、行ってみると作品の素晴らしさと共にこの建築空間を生かした展示の妙に感動を覚える展覧会でした。
全ての空間に素晴らしく溶け込み馴染んでそして作品と空間がお互いに引き立て合う。
ある意味でアートを生活や日常的に取り入れる最良のポイントがそこにあるのでは、と感じる素晴らしい展覧会でした。
予約制ではありますが、皆様もぜひkudan houseで味わうアートを体感してみてください!