当時在籍していた雑誌「エクラ」で、人気スタイリストの村山佳世子さんが「今、買うべき10着・着回し」というテーマで使用していた1着でした。
サテン地でほのかな艶があって、上半身にはドレスっぽいドレープ。けれどもそれがランダムな折りたたみで、全体的もほぼ縫い目が見えないデザインと、「ゴージャス」と「カジュアル」の絶妙なさじ加減でした。
そしてなんと言っても惹かれたのが色味。大人の大好物、グレージュです。優しさ、暖かさ、ノーブルさがあいまった人気色ですね。
きちんとした場所にも着ていけそうだし、それでいて気軽にカーディガンとスニーカーを合わせてしまえば、上品こなれカジュアルに・・という有用性は、そのとき撮影現場でしっかり目撃していました。
でも、お値段ははっきり覚えていないのですが10万円代だったかな。素敵なお洋服があると評判のブラミンクのものです。それなりに迷いました・・。
けれども、えい!と購入。
時々ふつうに街で着ていると、いい意味で(と信じたい笑)若くておしゃれな感じの子に、二度見をされることがあります。良い生地感、吟味された色味って、なんとなく目に留まることがありますよね、私も他人の着こなしを眺めているとき、そんなことがあります。
そんなとっておきのワンピースですが、先日「やっぱり、いい服って解決力があるなぁ」と感じさせる一幕がありました。
兄が宮古島でリゾートウエディングをすることになり、かしこまりすぎてない、でもそれなりに華とお祝い感のある服を探すことに。
最近忙しすぎて、時間がなかったので急遽、プチプラの通販でいくつか取り寄せてみたりしたのですが・・ 家で着てみるものの、決め手に欠けて、迷いのるつぼへ。
そこで思い出したのがこの一着。
早速休みの日に取り出して着てみて、娘たちに感想を求めると「すごくいいと思う!」と。
私もついつい、「新しく買わなくちゃ」とばかり思っていたのですが、この秘蔵っ子を文字通り蔵から取り出し、着用することに決定。
その時つくづく思ったのは、「いい服って、やっぱり“解決力”があるなぁ」ということでした。
小は大を兼ねないけれども、大は小を兼ねるというのとも、似ているかもしれません。
人間でも器が小さいよりは大きいほうが、あらゆる場面に対応できる、というのとも似ているかも(笑)。
それまでの数週間の悩みや、ちょっと無駄に思えた動きを、ズザーッと取り去り、解決してしまう「懐の深い服」の威力を思い知ったのでした。
すごく素敵な服に出会うと、いや〜、この値段か! と躊躇することってよくあります。迷うのは当たり前です。
でも、納得の一目惚れで、その服を見たとたんに、さっきの私のようにあらゆる形容詞が思い浮かぶような、気に入り方をしたとしたら。
そんなときはやっぱり、買いです。
結局、時短にもつながって、自分のスタイルを自信を持って認識することにもつながるのだなぁ、と。
おしゃれはさまざまな値段でバランスよく楽しみたいのは変わらないけれども、時に、こんな「いい服」を見つけたら、また手元に置いておきたい。
いくつかの“解決力”を、懐刀にしておきたいなぁ、と改めて思ったのでした。