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【90年代の雑誌non-no】編集者駆け出し時代の思い出|マリソル編集長ウドBLOG #21

編集者の仕事って、本当に多岐に渡るのですが、その中でも自分が“ときめく”部分について、ハッとさせられた思い出など・・・。今に至る胸熱の駆け出し時代についてです。
雑誌ノンノ
90年代のノンノの数々。このころは月2回刊でした。発行部数も100万部前後が当たり前・・というインターネットが未出現の懐かしい時代です。
年末なので机回り、引き出し回りを整理して不要なものは処分したりしていますが、もう数十年も、絶対に処分できないものもあります。

そのいくつかが、集英社に入社して5年ほど在籍した、non-no数十冊など。

自分が関わった本をすべてキープしておくと大変なことになりますが、手元に残してあるのは、「これは新しい試みが出来た!」「仕上がりが可愛かったから捨てられない」などの特集が入っている号のみ(笑)。時にはそのときの全力ながらも、若干の反省が残るページもあるので、すべてを手元に置いているわけではありません。
(本当はすべて置いておきたいですがスペースの問題も。そして最悪、何かを探したくなったら、国会図書館にはあるんだよね・・?という、妙な安心感も。国会図書館!行ったことはないのですが)
「思い出選りすぐり」。もしかしたら、編集者あるあるかもしれません(笑)。

編集者の仕事がどんなもの、という具体的なイメージがあって入社したわけではありません。
先日、ひさしぶりに就職活動中の後輩から、出版社についてのOG訪問を受けることがありました。それで思い出した当時の志望動機が、あまりにも深く考えておらず、申し訳ないくらいなのですが・・
「毎月違うことが体験できて良いのかな、刺激を受けそうだな、と思ったから志望してみました」というとてもシンプルなことだったりします。


実際に入社してみて分かったのは、雑誌のひとつの(例:ファッション)特集が出来るまでには、さまざまなフェーズがあるということ。
ざっとひとつの典型をお話しすると、以下のようなプロセスです。


・展示会などで洋服を色々見る、もしくはタウンウォッチング、色々な人の何気ない会話のヒアリング
・会議で「こんな特集をやるといいと思います」というプラン出し
・自分に与えられたテーマとページ数について、どんな構成にしたらいいかページごとの「コンテ書き」
・コンテが決まったらカメラマン、スタイリスト、ヘアメイク、モデルなどをアサイン
・実際にロケやスタジオでモデル撮影
・グラフィックデザイナーに素材を渡してレイアウトしてもらう
・原稿を書く(ライターさんが別にいらっしゃる場合は、原稿をお願いする)
・文字校正、色校正などの確認作業 → やっと雑誌になる(最初のプラン出しから5か月後くらい)
・スタッフの方々へのギャランティーのお支払い(とそれに伴う交渉も時に)

という風な感じです。


かなり規模は違うのですが、大げさに言うと、映画でいうなら「監督」みたいなものかなと思います。

雑誌全体の世の中における方向性を考えたり、全体の予算も考える編集長が、「プロデューサー」だとすると、それぞれの現場の編集者は、その指示の下にはありながら、現場においては自分のジャッジが最優先される「ディレクター」だなぁと。

そういうとカッコいい感じがしますが、その特集が読者に受けたり、受けなかったりということはアンケートの結果でもハッキリと出てきますし、プロデューサーの視点から言うと、「なんか違った」と叱責を受けることもあるわけで、なかなかに・・1回1回が勝負ではあります。

充実した思いをすることもあれば、後悔が残ってしまうこともあるわけです。
ただただ、良かったこと,悪かったことを糧にしながら次に進むしかないわけなのですが。


ところで、とても印象に残っている会話がひとつ。
入社して1~2年目のころだと思います。
当時の先輩編集者のSさんが、「ねぇねぇ、編集の仕事のどの部分が一番好き?」とワクワクした表情で聞いてきたのです。

私は一瞬戸惑った後、「えっと・・。撮影現場で、モデルさんが服を着て現れたときです! 可愛い!とすごく感動します」と答えました。

というのも、コーディネートルームで見ていた”平らな”お洋服が、美しい人が着ることで膨らみと動きを持ったときに、「なんて素敵!」と、涙が出そうなくらい感動したことが鮮烈な印象で自分の中にあったからです。

その返答を聞き、優しくうんうんと頷いてくれながらも、その先輩は個人的に一番好きなのは「コンテを考えているとき」と教えてくれました。

見開きごとに、どんな構成にしたら、より新しく見えるのか、スムーズに読者に伝わるのか・・それを考えるということですね。

素敵だなぁ、そこを一番好きと言えることのほうがプロっぽいなぁ、と思ったのをとても強く覚えています。

そしてそのS先輩のみならず、いろいろなタイプの素敵な先輩が当時のノンノ編集部にはいらっしゃったのですが・・ 
皆さん、その後はいろいろな部署に散らばり、そして現在は部長や役員になられた方も多く,いまだに色々な形でお世話になっています。
と同時に、月日の流れの速さを感じて、あの日のみんなが“ヤングだった”頃を懐かしく思い出します。


さてさて先日、ヨンアちゃんの撮影現場にもお邪魔しましたが・・。
やっぱり、素敵なお洋服を着た可愛い被写体、を見ると本当に胸がいっぱいになってしまうんですよね・・。通常は見られないものを見ているミーハー心といいますか、「いま、私はずいぶんと得しているなぁ」という感想がいまだに抜けないのでありました。


忙しい毎日でドタバタしていても、”美しいもの””きれいなもの”をみると、その前後のことって、ちょっと吹っ飛んでしまうんですよね。単純です。

ちなみに、私が仕事の過程で二番目に好きなときは、写真をデザイナーさんに渡す前に、ベストの1枚を選ぶこと、そして最終的な見出しやタイトルを考えるときです。

おそらく、「どの部分が好き」というのは、編集者によって,答えが違うはずです!
私が得意、苦手としていることと、他の編集者が得意,苦手としていることは、おそらくそれぞれ違うと思います。でも,それで良いのだと思います。

でも、私の場合はとりあえず、ミーハー心だったり、美しい写真や面白い言葉の響きが好き!という単純ハートが仕事の支え。それで来年以降も頑張っていこうかと思います!


ちなみに、もしかしたら今の40代の方だと、ティーンのころに私が編集をしていたnon-noを見てくださっていたかもしれません。それで繋がりを感じてくださったら,この上ない喜びです。

新生Marisolもどうぞよろしくお願いいたします!
ポラロイド
撮影現場では、このような下書きコンテに、その場でさつえいしたポラロイドを小さく貼っていきながら、全体の雰囲気を把握していたものでした。とってもアナログ! でも文字通り色褪せない思い出。

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