ヒョソプさんは、2015年「ポンダンポンダン王様の恋」でドラマデビュー。2016年の「タンタラ」で注目していたのですが、2017年「適齢期惑々ロマンス〜お父さんが変!?〜」ののち、「恋する指輪」で主演、2018年「30だけど17です」であまりにも発光していて驚いていると、「トップマネジメント」2019年「アビス」で次々と主演を務めたライジングスター。「ホン・チョンギ」でヒョソプさんと共演しているクァク・シヤンさんと、ソン・ウォンソクさん、3人は同じ事務所ということで、ヒョソプさんと「お父さんが変」の双子の兄役でも共演したウォンソクさん、「シカゴ・タイプライター」「アリス」でし知られる演技派シヤンさんと一緒に、このコラムで取材をせていただいたことがあるのですが、本当に仲睦まじく微笑ましかった思い出があります。ちなみにシヤンさんも「ホン・チョンギ」で賞を取っています。また、「エクストリーム・ジョブ」など映画でも活躍のコンミョンさん、「偶然見つけたハル」などでもほっこりキャラで魅せてくれた、気になる役者キム・ヒョンモクさんの共演も見どころです。
実年齢ではヒョソプさんの方がユジョンさんより4歳年上ですが、大先輩俳優となるユジョンさんと息を合わせたヒョソプさんが、「ホン・チョンギ」を語ります。
ー僕と大勢のスタッフが心血を注いで制作した「ホン・チョンギ」という作品が、日本で放送されると聞き、とてもわくわくしていますし緊張しています。このドラマはスタッフ全員が一丸となって一生懸命に制作しました。ドラマを準備した期間、積み重ねた努力、そして撮影した時間が、視聴者の皆さんの目にどう映るのかがとても気になりますが、楽しみながら見ていただけることを期待しています。
●演じられた役柄の紹介をお願いします。
ー僕が演じた役柄はハ・ラムという人物です。ハ・ラムは子どもの頃、雨乞いの儀式の時に、ある悲運な事件によって視力を失います。その後、宮殿に入り、長い間王室への復讐をもくろみながら星座を読む書文観(朝鮮時代の書雲観(気象庁))で働いています。
●出演を決めたきっかけは?
ー以前から時代劇というジャンルに興味がありました。チャン・テユ監督の作品が好きでよく見ていたので、一緒にお仕事できて光栄でしたし、どんな作品になるか興味を持ったのが一番大きな理由です。キム・ユジョンさんと共演できることも光栄でしたし、とても嬉しかったです。
●見どころを教えてください。
ー「ホン・チョンギ」は、ハ・ラムとホン・チョンギという絵師のファンタジーロマンスです。序晩の2人のプロローグを注意深く見ていただけると、よりドラマに深く入り込めるのではないかと思います。とても運命的な恋なんです。この2人のすれ違う運命が、どうやってひとつになっていくかという部分にフォーカスを当ててご覧いただけると、さらに楽しめるでしょう。
●役柄とご自身で似ている点、異なる点は?
ーハ・ラムと異なる点があるとすれば、ハ・ラムという人物はとても器の大きな人物で、度量があります。我慢強い性格で忍耐力があり、鋭い部分も持ち合わせた包容力のある人物です。僕はハ・ラムに比べるともう少し人間味があります。似ている部分があるとしたら、落ち着いていてクールなところだと思います。
●印象に残っている場面・セリフは?
ー今ちょうど思い浮かんだセリフがあるのですが、「すごく会いたかった」「だが私は今、お前のそばに行けぬ」というセリフです。これは、ハ・ラムがホン・チョンギへの気持ちを表したセリフなんです。
●現場のムードメーカーはどなたでしたか。
ー僕ではありません(笑)作品自体が深みのある内容だったので、撮影中もそれほど、飛び跳ねるような軽い感じではありませんでした。それにもかかわらず、唯一我らの光、ホン・チョンギ役のユジョンさんが、いつもエネルギッシュに現場を盛り上げてくれました。それにコンミョンさんもすごくイタズラ好きで、いつも明るくて本当にありがたかったです。それから意外にシヤンさんがふざけたりからかったりしていたんですが、ドラマに登場するシヤンさんの姿は、不思議なくらい元々の性格とは正反対で、一緒にいるといつも楽しかったです。
ー時代劇というのは歴史的に存在した時代をフィクションとして創り上げた、また別の世界です。もちろん考証はありますけど僕たちが実際にその時代を生きたわけではないですから。なので当時の話し方や行動などをどう想像して作るかが第一の悩みでした。次に話し方や語気が違うので、普段話すトーンと、時代劇のトーンの適度なバランスを取る努力をしました。それから当時の文化や思想が今とはかなり違い、歴史の勉強ももちろん必要でした。やはり初めて挑戦するジャンルだったので緊張しました。幸いユジョンさんは時代劇の経験が豊富ですし、監督も時代劇を手がけたことのある方でしたので、いろいろなアドバイスと協力を得ながら演じられました。
●衣装や言葉遣いも普段の撮影と異なると思いますが、どのような準備をされましたか?
ー特に台本を読みながらよく辞書を引きました。思ったよりも知らない単語がたくさん出てきて、四字熟語からはじまって普段聞いたこともない単語が多かったので、まず単語を熟知することが必要でした。それに衣装も日常生活で韓服を着る機会があまりないので、髪型や韓服の衣装に慣れるまで時間がかかりました。
●ファンタジー時代劇というめずらしいジャンルへの挑戦でしたがいかがでしたか?
ー時代劇も難しいのにファンタジーまで加わり本当に大変でした。それにこれほどCGを多く使った作品は初めてで、ブルースクリーンやグリーンスクリーンの前で何度も演技をしたのですが、その時点ではCGがどう出るかがはっきり分からないので、演技の難しさを感じました。CGスタッフや監督とじっくり話し合って、どんなシーンになるか細かく相談しながら演技をしました。
●魔王を演技するときのCGのシーンを撮影するとき苦労した点などありますか?
ー僕が直観的に見られるものではないので、想像しながら作り上げなければなりませんでした。それに魔王はよく飛び回るのでワイヤーもたくさん使いました。最終的に完成した魔王の扮装は、初期の段階から何度も修正を重ねながら作り上げたものです。付け爪にメイク、長い付け毛もあり、ヘアメイクだけで2~3時間かかるので、魔王のシーンを撮る時は毎回準備が大変でしたし、その格好で演技するのもまた一苦労でした。ワイヤーに絡まないようにとか、細かいことに気を付けながら演技しなければならなかったので、ものすごいエネルギーと集中力を要しました。
●2~3時間かかったんですか?
ーそうです。顔はともかく、手の場合は上からシリコンで覆って指も全部扮装しました。もちろんCGも使いましたが、ほとんど特殊メイクをして撮影しました。だからこそいい思い出になりましたし、意味深かったように思えます。
●一人三役という難しい役柄でした。どのように演じ分けされていましたか?
ーまず魔王はまったく違う存在なので区別しました。魔王は神のような存在で人間ではありませんから、神の話し方や行動、戦い方など、すべてを無から作り上げる必要がありました。そこでとにかく監督と何度も意見を交わしました。動きは激しくないだろう、ということから始まり、細かい表情から話し方、話す速度まで細かくチェックしていきました。それ以外には昼は役人ハ・ラムとして昼の顔、夜はとしての顔に分けられます。日月星は王室への復讐を成し遂げようと目論んでいますので鋭さが必要だと思いました。セリフもきっぱりした口調で話し、仮面の下でも鋭い表情をしていた記憶があります。ハ・ラムの場合は優しくて慈愛に満ちたイメージが強くありました。日月星と区別をするため口調を変えるべきか、発声を変えるべきか悩みましたが、最終的には感情に忠実に演じることにしました。
●ハ・ラムの神秘的な赤い目が印象的でしたが、はじめから演出で決まっていたのですが?それとも誰かからのアイディアでしょうか?
ー赤い目は原作の設定なんです。それに基づいて同じように書いたのだと思います。
●あれはコンタクトレンズですか?
ーここでも苦労したポイントが出てきますね…。(笑)コンタクトレンズをつけました。実はBTSのVさんがつけたBTSレンズというのがあって、色はピンクなんですけど、それがCGで一番自然に映ると言われて、ハ・ラムの時は常につけていました。それを8カ月間つけていたので、かなり目も無理しましたが、スタッフの配慮で休憩を入れたり目薬を入れたりしながら無事に撮影を終えました。
ー原作者の代表作をもう一度読みました。小説からドラマの人物にどう作品化したかという研究も必要でしたので、復習するつもりで読みました。
●キム・ユジョンさんとの初共演の感想は?
ーユジョンさんは大先輩の俳優で、僕よりも経歴の長い先輩ですし、経験が豊富な方なので、共演できたのはとてもありがたい機会でした。それに演技だけではなく人間的にも学ぶ点が多く、とても落ち着いていて話が通じる人でしたので、しっかりコミュニケーションを取りながら、作品を作っていけたのだろうと思います。思っていたよりも慎重なところのある方で意外でした。
●ホン・チョンギとのキスシーンが話題になりましたね。撮影時のエピソードがあれば教えてください。
ーあれはたぶん…4月だったかな。僕の誕生日近くに撮影したのですが、ユジョンさんがサプライズケーキを用意してくれた記憶があります。それからキスシーンを傾斜のある所で撮影したんです。キスシーンを撮っていると段々顔が下がっていくので、気付いてみたら傾斜で僕が滑っていたんです。(笑)そんな大変さもありました。あの日は暑くも寒くもなく、楽しく撮影しました。
●クァク・シヤンさん、ソン・ウォンソクさんとは親しいと思いますが、共演について知った時どう思いましたか?
ーすごくうれしくて、ありがたかったです。先輩たちとは作品でご一緒する前から知り合いだったので、作品で共演するのもまた新鮮な気がしました。お互いに仕事であまり会えなかったのに頻繁に会えるのもうれしかったです。おかげでリラックスした現場になりました。
●楽器を弾くシーンがありました。どのくらい練習したのですか?
ーハ・ラムはコムンゴ(伝統楽器)も上手に演奏できる多彩な才能を持つ人物です。撮影を始める2カ月くらい前からコムンゴを借りて、週に1~2回個人レッスンを受けました。コムンゴを見ないで演奏するのが難しかったです。
●今作がご自身に残したものは?
ー堅固さですかね。この作品で自分が本当に強くなったと感じます。撮影が終わってからようやく感じることができたんです。挑戦の連続でしたし、忍耐力が必要な役であり作品でした。一回り大きく成長したと思いますし、今後の作品が楽しみです。
●今後の俳優としての目標は?
ーいつも言っていることですが、僕の目標は今を生きることです。今、与えられていることに最善を尽くすことが僕の目標です。
●日本の視聴者に自宅でのオススメの過ごし方を教えてください。
ー猫を飼ってください。(笑)猫でも犬でもペットがいると癒やされます。とてもありがたい存在です。僕が飼っている猫の名前はバウルで、飼っているというよりも共存だから一緒に暮らしています。僕が餌やおやつ、水をあげていますが、実際には僕が得ていることのほうがもっと大きいです。最近このような状況でつらい思いをしている皆さんにペットを飼うのをお薦めします。
●日本のファンにメッセージをお願いします。
ーこんにちは「ホン・チョンギ」でハ・ラム役を演じた俳優アン・ヒョソプです。この作品を撮影したのはかなり前のことですが、久しぶりに「ホン・チョンギ」の話をしてみると、当時の記憶がよみがえり、わくわくしながら撮影したのを思い出しました。このわくわくした気持ちが、日本の視聴者の皆さんにも伝わってほしいです。これから放送される「ホン・チョンギ」をどうぞお楽しみに!そして応援をよろしくお願いします。ありがとうございます。
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コンミョンさん
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ソン・ウォンソクさん